今度は中1です。
一言: リアルじゃ無縁イベント。それがバレンタイン。
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先にそちらをご覧ください
今年もまたこの季節がやって来た。
お菓子業界の陰謀。気持ちを告げる日。恋が実る日。恋が破れる日。
――甘く苦いバレンタインの季節が
帝丹中学校は、明日に迫ったバレンタインの話題で溢れていた。話題の中心は、今年度の新入生たち。
一年でサッカー部のエースとなった少年――江戸川コナン。
ミステリアスな雰囲気を持つ学年一の才媛――灰原哀。
哀の親友でテニス部のアイドル――吉田歩美。
生徒会書記にして学年次席の秀才――円谷光彦。
冬大会で数々のシュートを防いだ話題の新守護神――小嶋元太。
帝丹小学校で様々な伝説を創ってきた少年探偵団の五人であった。
「で、何のようだよ?」
その話題の五人の中の二人――コナンと元太――は、彼らのクラスである一年B組の教室でクラスメイトたちに囲まれていた。訝しげにクラスメイトたちを見ながらコナンが問いかけるが、彼らは黙したままである。
そんな彼らにしびれを切らした元太が口を開こうとした時、彼らの中の一人が口を開く。
「江戸川……さん。元太……さん」
「んだよ? さん付けなんて気持ちわりぃ」
普段はつけない敬称に身を震わすコナンたちを無視し、彼は続ける。周囲の男子はその様子を固唾を呑んで見守っている。よく見ると、他のクラスや上級生の姿もある。
「は、灰原さんと……」
「灰原と?」
「あああ、歩美ちゃんは!」
「二人がどうかしたか?」
元太が聞き返すが、先程と同様に無視される。周囲の男子たちは、頑張れと励ましている。
「チョコを用意しているのか!?」
「「……は?」」
大声で叫んだ彼は、やり遂げたとガッツポーズをし、そんな彼を周囲が祝福している。元太とコナンは、その光景にしばし呆然とするのであった。
「つまり、お前らは歩美たちがチョコを用意してるかを聞きたいと」
コナンが呆れた声で問いかけると、男子生徒たちは力強く頷く。そんな彼らにますます呆れるコナンたちだったが、男子生徒たちの無言の圧力に渋々口を開く。
「って言ってもな~。歩美はクラスの奴らに義理チョコ用意してるだろうけど……灰原はどうだろ?」
「あ~、確かにアイツもチョコ用意するって言ってた」
その言葉に沸き立つ一年C組男子一同。話題の二人と同じクラスである彼らは、義理とは言え美少女二人の手作りチョコがもらえることが確定したと思っているのである。逆に、義理という希望もなくなった他の生徒たちはうなだれている。
その様子を離れたところから眺める数名の男子と女子。彼らは帝丹小学校でコナンたちと同じクラスだったものたち。そんな彼らに共通するのは、沸き立つ男子たちへの哀れみの感情。何故なら、彼らは男子たちの喜びが無駄になることを知っているのである。
「哀れね……」
「本当。元太は勘違いしてるみたいだけど……義理じゃなくて友チョコよね。あと探偵団の仲間チョコ?」
「オレたちも去年はあんな感じだったのか?」
「悲しいことにね」
歩美と哀が用意するのは、義理チョコではなく友チョコ。それが真実であった。
同じ頃、一年C組の教室では哀と歩美の二人が女子生徒たちに囲まれていた。
「あのさ、聞きたいんだけど……」
「何かしら?」
「ほら、明日ってバレンタインじゃない?」
その言葉で彼女たちが言いたいことを悟った哀が、口を開く。
「貴女たちの分もちゃんと用意するわよ?」
「本当!? 灰原さん料理上手って聞いてたから楽しみ! ……って違う!」
予想が外れ首を傾げる哀に変わり、歩美がクラスメイトたちが聞きたがっていたことに答える。
「哀ちゃんったら……。そうじゃなくて、本命チョコを用意するのか聞きたいんだよ。あ、歩美は本命は用意しないよ。用意するのは友チョコと探偵団の皆への仲間チョコだけ」
歩美の言葉に何処かホッとする女生徒一同。次に彼女たちの意識はそういう事だったのかと納得している哀へと向けられる。
「私? 私も本命チョコは作らないわ。円谷くんと小嶋くんには仲間チョコ? をあげるけど、あとは貴女たちにあげる友チョコだけね」
その言葉に一安心と言った感じで息を吐く一同。哀たちと本命が被らないことに安心しているようである。
最も、その内の何人かは近い内に泣くことになりそうだと歩美は思う。
(他の小学校から来た子たちは、哀ちゃんとコナンくんの仲の良さ知らないもんな~)
歩美が改めて周りのクラスメイトたちを見ると、同じ帝丹小学校出身のものはいない。彼女たちは歩美に本命がいないことを知っているし、哀の本命が誰であるかも知っているからだろうと見当をつける歩美。
歩美たち帝丹小学校出身者からすれば、コナンと哀の仲(恋人一歩手前)は周知の事実であり、いつ付き合うのかと賭けさえされている程である。しかし、中学からの付き合いのものにはまだまだ認識されておらず、哀とコナンの双方は順調に被害者を増やしているのである。
「そういえば、哀ちゃんは明日どうする? 皆の部活終わるの待つ?」
クラスメイトの包囲から解かれ、ホッとした哀に歩美が問いかける。
「そうねぇ……。彼は待たなくていいって言ってるし……すぐ帰るわ。まぁ、一緒に帰ろうにも彼、明日は忙しいだろうしね」
「まぁ、あの様子だとね~。元太くんたちも人気みたいだし、一緒にお茶してく?」
「お茶ねぇ……」
悩む様子を見せる哀に、意地の悪い笑いを顔に浮かべながら歩美が言う。
「あ~いちゃん。別に無理して付き合わなくてもいいんだよ? コナンくんの為にご馳走作りたいんでしょ?」
その言葉にジト目を向ける哀。そんな視線を向けられても歩美は楽しそうである。最初は、未だ両片想いな二人に発破をかける為に始めたのだが、いつの頃からかコナンのことで哀をからかうのが趣味みたいになっている歩美であった。
そんな歩美の様子に、ため息を吐くと哀が答える。
「……別にご馳走なんて作らないわよ」
「じゃ、明日はお茶しよっ! ご馳走作らないなら、少しくらい遅くなってもいいでしょ? それに遅くなっても博士がいるんだし、博士が夕飯作ってくれるよ」
「それは……でも、ダメ。ほら、博士に任せたらアレだし。ね?」
「ま、仕方ないか。じゃ、今度付き合ってね?」
「ええ」
そこでホッと一息吐く哀は知らない。歩美が明後日まで阿笠がアメリカに滞在することを知っていることを。わざとアメリカにいる筈の阿笠を理由に断ることを追求しなかったことを。何より、にんまりと笑みを浮かべていることを。
(ふふっ、明後日が楽しみだよ。どんな言い訳してくれるのかなぁ)
久しぶりに季節ネタ。というか二度目のバレンタインネタ。続きは夜に……あげられるといいなぁ。
因みに、コ哀は成立済で工藤邸で同居。但し、周りは知らないという設定です。
コナンたちの部活。
これらは拙作内の設定です。
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