今回はオリジナルキャラ同士が出会います。
女子生徒2人を両脇に抱え込んだまま和人は、保健室までの道程を歩く。
外で爆発なんかがあったためほとんど学生はそちらの野次馬に向かったため誰にもみられることも、咎められることもなく保健室へ到着する。
「足で失礼」
両腕が塞がっているため、横開きの扉を足の爪先で開け室内に入る。
「先生、さっきの爆発で怪我人が2名出たので診てやってほしいんですけど?」
室内に入りつつ、用件を伝えたが・・返事が返ってこない。怪訝に思い2人を設置されているベッドに寝かせてから、部屋中を目視で見て回る。狭いのですぐにかたずいた。ーーどうやら保険医はの先生は違う場所で起きた怪我人を治療するため席を外しているらしい。少なくとも先生が使っているであろう机の上に置いてあった書き置きによればだが・・。
「誰もいないのか・・都合いいな。」
ドアの鍵を内側からかける。とりあえずこうしておけば部屋に誰かが来た際に時間稼ぎができる。窓も全て締め、外から覗かれないようにカーテンも伸ばしておく。
「流石に盗聴機等の類いはないだろうから、とりあえずはこれでいいか」
部屋の隅に置かれていた丸椅子をベッドの側まで持って来てその上に腰を下ろす。2人はまだ目を覚ます気配はない。
座る前に目を覚まされたら無理な事、制服の着衣の崩れを直してやることにした。まずは赤い髪をした女子生徒の方を・・・。
「・・・んっ? この子、どっかで見た覚えが・・・。ああ、思い出した! 数日前、射撃場にいた子だ」
思い出しつつもスカートの位置など直していく。今、この子が目を覚まさない事を信じて。ーー1人がかたずき、2人目に移る。こちらの女子生徒には見覚えはない、間違いなく初対面だ。
真っ黒い髪をセミロング程度の長さに切り揃えておる。体型はアリア以上ではあるが、横で横たわっている人よりは下といったぐわいだ。全体的な雰囲気に清潔感があり、巫女さんの格好等をしたらかなり似合いそうだ。
そんな事を考えながら直していくと・・鎖骨の上辺りの制服の下地が妙に血で赤く染まっていることに気がついた。
「こんなところに傷? 下地にしかついていないから外的要因でついた傷じゃないよな」
多少の罪悪感を感じながらも、制服を肩口までズラし傷口を確認する。そこには丸い形をした穴のような傷が2ヶ所あった。ーーその傷はまるでーー。
「なんなんだ? この傷は・・これじゃまるでーー」
「吸血鬼にでも噛まれたようだ・・・って言いたいのかしら?」
真後ろからの突然の声にビックリしながらもズラした制服を戻しながらもゆっくりと振り返る。
「あら? 驚かせてしまったかしら・・もしそうならごめんなさい。驚かすつもりはなかったの」
和人が振り返ると、つい先まで気絶していた女子生徒が上半身を起こし、穏やかな表情でこちらを見ていた。
「いつから起きていた」
「貴方が、私のアカミに手を出した・・あたりかしら」
女子生徒がそう答える。本当の事を話しているとは限らないが・・・。
ちなみにアカミとは、『戦姉妹』と書き、簡単に説明すれば2人組による特訓制度の事であり、アカミを組むと言うことは1人の先輩の下で直接受けつつ1年をす過ごすことが可能となるのだ。
「人聞きの悪い言い方をするな。あんた達をここまで運ぶ際に乱れた着衣を直しただけだ」
和人に寝込みを襲うような趣味は持ち合わせていない。
「あら? ではどうして窓にはカーテンが伸ばされていて、ドアには鍵がかかっているのかしら」
女子生徒はあたりを見渡し冷静に状況を解析して行く。確かにこの状況は端から見れば気絶した女子生徒にいやらしい事をするために密閉したともとれる。
「・・勘違いをさせる形を作ったことは謝る、すまない。・・だが、俺はあんたにどうしても聞かなければならないことがあってな」
和人は念のためポケットに入っているケースを掴みながら話す。
「俺から聞きたい要点は2つだ。まず1つ、君は何者だ? 2つ・・君は・・・テラフォーマーという名前を聞いた事はあるか?」
「・・・・」
和人の質問に対して子生徒はなにも答えない。
互いに無言の時間が流れる。ーーその無言の時間を破ったのは、和人だった。
「ーー答える事はできないというわけかな。・・でも、君の正体については大体検討はついている」
「ーー何かしら?」
あのアカミを組んでいる方の女子生徒についていた傷を見れば一目瞭然だ。あの傷跡はあまりにもも有名過ぎる。
「君は・・吸血鬼なのだろう。日光の下で活動できるということは、よくある伝承通りの生き物ではないようだけど・・」
他に人の生き血を啜る怪物の類いはいない。ーーいや、もしかしたらいるのかもしれないが、和人は知らない。
「ーーできればこんなことしたくなかったのだけど、仕方がないわね。」
そう小さく呟きながら和人に向かって真っ直ぐに手をつきだす。手のひらは開かれており、何も握られてはいない。
「? なんのつもり・・ッツ!!!?」
和人の体が急に動かなくなる。まるで服の上から見えない力で押さえつけられているような感覚だ。
「知られたからにはこちらも貴方を逃がす訳にはいかなくなったの」
そういいながら、女子生徒はスカートのポケットからスマホを取りだし、電話をかける。おそらく上司の人に指示を仰ぐためだろう。
「・・・このままだと俺は、どうなるんだ?」
「さぁ、詳しい事は私にはわからないけど・・多分記憶処理とか施されるじゃないのかしら?」
要するにこのままこの子の仲間に捕まったら、和人は立場的にいろいろマズイ事になる。
和人の体はある手術により普通の人間とは異なっており、それを特定の機関での検査意外は許されていない。これを破れば、それそうおうの処罰を受けることになる。
「悪いんだけど・・このまま捕まるつもりはないよ」
体を押さえつけている不可視の拘束を破るべく、渾身の力を全身に込める。
「無駄よ。只の人に私の『サイコキネシス』ははずせないわ」
そう、外せない。突破などはできない。ーーーー今、彼女がサイコキネシスをかけている男が'普通'の人間ならだ。
「な・め・ん・なァァァァァァァァァァ!!!!」
和人の口からガラスがビリビリと震える程の絶叫をあがる。
それと同時に、身体の'変異'が始まる。
頭には触角のようなものが生え、瞳は血走った際に起こすような充血のようになり、手の爪は異様な程に長く伸びていく。
「ッツ!! ~~~急に力が強く!?」
女子生徒は和人の抵抗が急に強くなった事に戸惑いながらも逃がさぬようにサイコキネシスをかけ続ける。が、変異した和人の動きを完全に封じるにはパワー不足なのだろうポケットからゆっくりとした動きでケースを取り出していた。
(この・・中途半端な形と言えど変異しているのにまだ破れないか。・・なら、さっさと薬を打って)
ケースの蓋を開ける。中には針の長い注射器が3本入っており、その中から1本を取りだし、首筋に突き刺そうとした時に・・・外から扉をノックする音が聞こえてきた。
「「!!!!!?」」
ノックの音が聞こえてきた瞬間、女子生徒が腕を下ろす、すると和人の身体の自由を奪っていた圧力が消えて自由になる。急に自由になったため、打ちそうになっていた針の尖端が肌に当たったが、すんだところで止める事に成功する。女子生徒からの拘束が解けた以上刺す必用がなくなったし、人前で変異するのはマズイと思ったからだ。
「おーい、中に人がいるんだろ。鍵を開けてくれないか?」
互いに牽制しあっているため、動けずにいるとは・・黒髪の娘がいつの間にかベッドから起き上がり鍵を開けていた。
「・・・これ以上は・・怪し・・まれ・・る」
小声でボソボソと喋るためには途切れ途切れに聞こえてくる。
「なにやっていたんた? 居るんだったらさっさと開けてくれよ」
鍵を開けた途端に3人の男子生徒が乱暴に扉を開き、入ってきた。3人は横一列に並んでおり、どうやら左右の人が真ん中の人に肩を貸している形になっている。
どうやら、怪我人の搬送をしてきたようだ。
そして、治療のため真ん中の奴をベッドに寝かせ、中を覗かせないようにカーテンを閉める。中からは時々、うめき声が聞こえてきた。
「・・・ ハァ・気が削がれたわ。昼休みにでもまた、会いましょう」
「バイ・・バイ」
片方は、タメ息をついて、もう片方は、軽く腕を振りながら保健室を後にした。
「・・・・昼休み会うにしても何処でまちあわせなんだ?」
和人の疑問に答えてくれる人はいなかった。