ひだんのアリア   作:覇王軍

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今回は説明回です。

この話で登場する吸血鬼はそんな物騒な人達ではありません。

比較的に見て・・てますが。


海上都市

保健室の出来事から数時間が経過し、昼休みになった。

 

「さて、どうしたものやら・・」

 

今朝がた会った2人と今後についていろいろ話し合いたいのだが、和人は彼女達の連絡先を知らない。おそらく、彼女達の方も和人の連絡先を知らないだろう。

 

「・・悩んででも仕方ない。自身の足で探すか。それで、見つからないのなら探偵科から諜報科学にでも依頼するとしよう」

 

椅子から立ち上がり、食事をとるため購買へと脚を向ける。ボリュームのあるパンを2つとコーヒー牛乳を買い、屋上へ移動する。

 

「ーーあら? 貴方は・・探す手間が省けたわ」

 

屋上の片隅には食事をして終わったら捜そうとしていた2人が仲良さそうにベンチの上で並んで座り、お弁当を食べていた。

 

「探す手間が省けたのはこちらも一緒だ」

 

和人は彼女達に近くに腰を下ろし、パンを食べ始める。パン2つとコーヒー牛乳を5分でかたずけごみはゴミ箱に捨てる。

 

「食事はよく噛んで食べないと身体によくないわよ」

 

「・・・太る・・・よ・・」

 

早食いした和人に2人は注意するがーー。

 

「すまんな。これは癖のようなものだ。あまり気にしないでくれ」

 

和人の食事は終わったが、2人の食事はまだ終わっていなかったのでそのままの待つことに。ーー和人の食事が終わって10分後、彼女達の食事も終わり本題に入る。

屋上には多少ながらも人はいるので音量を抑えて会話する。

 

「さて・・どこから話を始める?」

 

「まずは自己紹介から始めましょう、私達まだお互いの名前すら知らないのだから」

 

そう言って互いに生徒手帳を取りだし、本人確認も含めて自身の写真入りのページを開いたままにして自己紹介を開始する。

 

「まずは、俺からいこうか・・俺の名前は帝ノ和人(みかどのかずと)だ。学年は2年で所属は強襲科だ」

 

次に名乗ったのは赤い髪をした女子生徒だ。

 

「じゃあ、次は私かしら・・私の名前は南条智香(なんじょうともか)よ。学年は同じく2年、所属も貴方と同じ強襲科」

 

和人と同じように生徒手帳を開きながら名前と所属を言う。

 

「最後は・・私・・名前は・・湊。暁湊(あかつきみなと)・・学年は・・1年・・所属は・・車輌科」

 

湊と名乗った女子生徒は生徒手帳を出さかったが、和人としっかりと見てそう言った。

 

「なんて呼べばいい? 名字、それとも名前?」

 

「呼びやすい方でかまわないわ」

 

「私は・・名前で・・・お願い・します」

 

和人は少し考えて呼び方を決めた。

 

「じゃあ、南条さんと湊でいいか?」

 

「おっ・・・けい・です」

 

湊の方は了承してくれたが、智香のほうはブスッとしていて見るからに不服そうな表情をしていた。

 

「ーーーえーっと・・なんかマズイ事を言ったかな」

 

こういった事に慣れていない和人は自信なさげに智香に訪ねた。

 

「ちょつとね。・・ねぇ、なんで湊が呼び捨てで私は、名字プラスさん付けなのかしら? 理由を聞かせてもらっていいかしら?」 

 

「え? いや、だって、好きな呼び方で構わないって言うから・・俺的に言いやすい方にしたんだけど・・」

 

「確かにそう言ったわ・・だけど・・」

 

そこまで言うと智香は下を向いて黙りこんでしまう。

 

「あっ、えっと・だな・・・俺、なんかしっぱーー」

 

和人は理由は解らないが、とりあえず謝っておこうと思い、喋り出したがーー遮られた。

 

「名前・・私の事は名前で呼びなさい! いい名字で呼ぶのはダメよ!」

 

朱に染まった顔を急に上げ大きな声でそういいはなった。

 

「? ああっ、わかった」

 

決意に満ちたその声に、うまく状況が理解できていないため戸惑いながらも頷いてしまう和人だった。

 

「ーーそれで、私は貴方の事をなんて呼んだらいいのかしら?」

 

「好きに呼んでくれて構わないぞ。常識の範囲内ならだけとな・ 」

 

変な風に呼ばれると凹むのであらかじめ、釘を打って牽制しておく。和人は一度痛い目を見ているからだ。

 

「・・そんな釘を刺さなくてもいいんじゃない。私は普通に和人って呼ぶから構わないし」

 

「私は・・先輩な・ので・・和人先輩・・って・呼びますね・・」

 

2人の極々普通な事に和人は安堵した。実のところ和人にはあだ名にはかなり嫌な思い出があるのだ。

 

「ーー自己紹介もしたし、じゃあ、聞かせてもらおうかな。君は吸血鬼でなんだよな?」

 

屋上は広く、人もまばらにだがいるため自分達の会話に聞く耳をたてている生徒がいないか周りに注意を配りながらも話の核心の部分をいきなり訪ねる。

 

「せっかちな人ね貴方は。いきなりそこからはじめるだなんて」

 

「悪いな。でも一番気になる所はそこなのでね」

 

湊は会話には参加せず、持参してきたであろう水筒からお茶をコップに移し、ちびちびとゆっくりと口に含んで飲んでいた。

そんな湊の小動物じみた仕草に普段ならホンワカとなごんでしまうが、今の2人の雰囲気はピリピリと張ったままである。

 

「ーーーこのことは誰にも話さないと約束してくれるなら」

 

「約束するよ。今から聞くことはみだらに話したりはしない」

 

智香の真摯な言葉に出来る限りの真面目な言葉で答える。

智香は、両目を瞑りフゥっと大きく一つ深呼吸をしたあとーー

 

「貴方の予想は当たりよ。私は吸血鬼よ」

 

和人の問いに答えた。

予想していたとはいえ、本当にそんな人外が世界に居たことに流石に驚いたのか目を見開き驚いている。とはいえ、今の世の中には'自分'のような人間も要るのだからそう驚くことではないと思い返したのか、すぐに驚きの表情は引っ込んだ。

 

「吸血鬼って本当に存在していたんだな。・・・でもよく伝承なんかで書いてあるみたいな太陽の光を浴びると灰になって死ぬ・・みたいな存在じゃないんだな。何か苦手な物とかないのか? 後、湊も吸血鬼なのか?」

 

「まず、私達吸血鬼は太陽の光を浴びても死ぬことはないわ。まぁ、多少、身体能力が落ちる程度の障害はあるけど・・それでも一流のオリンピック選手ぐらいの能力は維持しているわ。苦手な物は海水ね、私達の身体は海水を浴びると焼けてただれてしまうの・・一度試しに少しだけ肌につけたことがあったけど、それはもう痛かったわ!」

 

その時の事を思い出したのか、智香は自分の身体を抱き締めてカダガタと震えはじめてしまったので続き湊が説明することに。

 

「私は・・人間であり、吸血鬼では・・ありません。」

 

「? じゃあ、なんで一緒に居るんだ? 今の口ぶりから察するに智香が吸血鬼ってことは知っていたんだろう」

 

「そこを、説明するにはまずは私達が居た所を言う必用があるわ」

 

いつの間にか、復帰した智香が会話に参加してくる。

 

「貴方は'アクア・エデン'という場所を知っているかしら?」

 

「一応な。行ったことはないが・・確か、この国でギャンブルや風俗が合法になった日本唯一のカジノ特区がある海の上に浮かぶ超巨大な人工島だ」

 

そう少し前に完成した場所だ。そこにはギャンブルや風俗目的で訪れる観光客で年中賑わっているとTVのニュースでよく放送されている。

 

「そこがどうかしたのか?」

 

確かに珍しい場所ではあるが、いまはとくに関係ないハズだ。

 

「私達はそのアクア・エデンからきたの。人と共存するために」

 

真剣な顔つきでそう告げる。

 

「ーーーーン? ちょっと待て、ということはだ・・そこには吸血鬼がわんさかいる場所なのか?」

 

「ええ、この国で吸血鬼が住んでいいのは基本的にアクア・エデンだけだから」

 

聞き逃してはいけない言葉が聞こえてきた。

 

「待て、待て、待て、・・じゃあ、何かアクア・エデンは吸血鬼と人間が共存しているのか。マジで」

 

「大真面目よ。多少の差別はあるけど・・・ね」

 

かなり衝撃的事実だ。世の中に吸血鬼なんて空想上の人外が本当にいたと言うだけでも信じがたいのに、その生物が人間と共存している・・むしろ驚かないほうがおかしい。

 

「ーーそこで、話は質問に戻るわ、湊が私と一緒にいるのは私を監視するためよ」

 

「監視・・なんでだ? 必要あるのか」

 

多少の差別があるとはいえ、共存できているのだ監視役などつけては余計な反感を買うだけだと和人は思う。

そんな和人の言葉に智香は、苦笑いを浮かべながら黙ってしまったので、今の質問には湊が答えた。

 

「吸血鬼の・・皆さんは、定期的に・・血液を摂取する必要が・・あるからです。そうしないと、ヴァンパイヤウィルスが・・弱まり、死んでしまうからです」

 

どうやらその辺は、伝承道理の体の造りをしているようだ。

 

「・・・なるほど、吸血衝動とかがパニックを引き起こす可能性があるからか。・・そうなると湊は安全に吸血するための・・その為の監視役か。・・それだと、湊は、その言い方は悪いが血液タンクってところかだぞ」

 

バツの悪そうな表情の湊。おそらくその通りだからだ。

 

「あと・・吸血鬼さんは・・吸血すると・・・特定の能力が使えるようにも・・・なります。・・・その能力も強力なため監視を・・つける・要因の・・1つにも・・なっています」

 

「能力? それはなんなんだ?」

 

「そのままの言葉の力よ。解りやすく言えば超能力の類い。私の場合は念動力【サイコキネシス】ね。使える能力は基本一人一つで人によって千差万別、様々な種類があるわ」

 

和人は、朝方自身の身を凄まじい力で押さえつけて事を思い出した。中途半端とはいえ変異してようやく多少動ける程度だった。アレはかなり強力な部類に入るだろう。

 

「今朝、俺が喰らったアレか」

 

「そうよ。でも能力は本当は、許可なく使ったらマズイのだけどね」

 

「ーーでも、あの時は許可なんてもらってなかったよな。使って大丈夫だったのか」

 

使用に何かしらの許可がいるモノを許可なく使用した場合、大抵は厳罰の対象となる事を和人は身をもって知っているため心配するが・・・・。

 

「心配はいらないわ。私は、許可なしの能力使用を許可されているから」

 

組んでいた脚をくみかえながら、あっけらかんと答える。ーーその際に少し下着が見えたのは秘密だ。

 

「・・・上の連中に信頼されている・・ということか」

 

智香は無言のままコクンっと頷く。ーーそうだろう。そうでなければ、許可など取れない。強い力とはそれだけで危険なのだから。

 

「ーーーまぁ、私達の事情はこんなところね。では、次は貴方の事を聞かせてもらえないかしら?」

 

「あぁ、わかったよ。じゃあ、そうだな。どこから話そうか」

 

自分の身の上話等を話すのは得意ではない和人は何処から話したらいいか迷いながら内容を組み立て、言葉をしっかりと選びながら話出す。

 

「ーーー2人は、少し前まで火星が赤かったってことは知っていたんだろう?」

 

選んだ末、自分が知っている限りの一番最初から始める事にした。

 





次も、説明回になると思います。

多分ですけど・・・。
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