IS〜インフィニット・ストラトス 世界の狭間で 作:yuichi526
人類最後の揺り籠であるクレイドル01。そこに人類最大の天敵が迫っていた。その接近を察知し、ノーマルACが防衛網を張りながら展開する。
「クレイドル01を確認、更にノーマルAC部隊を確認。排除行動に移る」
かつて、何億もの命を一人で奪った彼の機体は過去に共闘したライアークの主力であったホワイト・グリントと同じ図面を独自に入手し、更に改修を加えて色を黒に塗り替えたものである。因みにホワイト・グリントを設計したアーキテクトのアブ・マーシュは彼と遭遇したあとに行方不明になっていた。まさに黒い閃光と言うべき機体が揺り籠に迫っていのだ。
(よぉ、首輪付き・・・・)
「くっ・・・・」
彼の心の中でこんな悪行に誘った男の声が勝手に蘇る。
「なぜだ!?なぜお前はこんな事が出来る!?あそこにいる人達は何の罪もないんだぞ」
ノーマル部隊の隊員の一人が突撃してくるが、彼は無造作にオーメル製のノーマルのボディにライフルを連射した後、蹴飛ばして戦場から叩き落とす。鉄の塊が海に消えて行った。
「各機!!陣形を崩すな!!相手はあの人類の天敵だ!!」
「「「「ハッ!!!!」」」」
(貴方方にはここで果ててもらいます。理由はお分かりですね?)
次はリリウム・ウォルコットも声が、心の中で響く。
「終わらせる。」
心の中に響く声を振り払うように愛機である(ストレイド)のクイックブーストを吹かしながら敵の攻撃を軽々と避けて行く。
「奴に反撃させるなぁ!!!」
背面のミサイルポットが火を吹きミサイルが飛来して行く。そして、敵に直撃する前にミサイルの装甲が開いて中から8個の小型ミサイルに分裂した。いわゆるクラスターミサイルだ。
「回避行動!!」
「邪魔をするなぁ!!」
反応のいいパイロットが搭乗したノーマルは回避をするがそれでも何機も落とされて行く。そしてその消えたノーマルの穴を埋めるように他のノーマルが次々と参戦してくるどうやら物量で責めてくるつもりのようだ。相手の攻撃はプライマル・アーマーが防いでくれるが、限界がある。
(確信犯なんだろ?)
(所詮は獣だ)
「くぅ、いつも頭のなかでっ・・・」
過去の亡霊の声を振り払いながら彼は目の前の敵と戦い続ける。両手のライフル、背面の二つのミサイルポットを連射しながら敵を次々と光の花へと変えていった。
「もうやめてっ!!」
そんな声が聞こえてきたと思ったら、ストレイドに攻撃が直撃した。二発目を避けて攻撃してきた敵を探す。
「なにっ!?」
彼の目に入ってきたのは白く、ストレイドと同じ姿をした機体。ホワイト・グリントだった。
「こんなことはもうやめて!!こんなの貴方のすることじゃない!!」
「あれは、ライン・アークのホワイト・グリント!?」
「フィオナ・イェルネフェルト・・・アナトリアの傭兵・・・・」
あの共闘した時と同じく彼女と彼は天敵に問いかける。
「よく考えて見てください。本当は貴方は・・・・」
「生きているとは聞いていたがな」
フィオナの説得には動じず、天敵はアナトリアの傭兵に対し攻撃を開始した。
「フィオナ。近くで見ているんだろうが、遅かったな。おれはもう止まれない。」
黒と白の機体が交錯し、その後を爆発が追った。ライフルで撃ち合い、マニピュレーターで殴り合う。
「セレンさんだって、こんなこと。」
通信からセレンという名前が出た瞬間、天敵の動きが鈍る。彼女は天敵のオペレーターであり、良き母であった。
「そ、その名を言うなぁぁ!!!」
彼女が全てを教えてくれた。施設から天敵を引き取り、戦い方を教えてくれた。そして、彼女だけがあの戦いの時に天敵に殺されることになっても尚も彼に優しい言葉を掛けてくれた人であった。
「なにも知らないくせに!!」
ホワイト・グリントに突っ込もうとした瞬間、異変が起きる、真横からの重力に捕まったのだ。よく見ると空中に黒い穴が見えた。
「なんだあれは!?」
「退避!!」
天敵も機体を必死に動かした。脳から発せられる電磁パルスがAMSを通して機体に指令が送られてストレイドはオーバードブーストを発動する。しかし、音速を超える速度でも逃げられはしなかった。ノーマル、ホワイト・グリントが穴に飲み込まれてクレイドルにもそれが影響する。
「キャァァァァっ!!!」
フィオナの声が聞こえたかと思うと、ストレイドもその穴に飲み込まれて行った。
(当然か、お前は私が見込んだのだからな。なぁ、そうだろう?ジュリウス?)
「セレン・・・これが俺の罰か・・・」
ブラックアウトする前に天敵は蒼い翼を付けた白い機体を見た。しかし、どうでもよかった。この時はようやく彼女のもとに逝けると本気で信じたのだった。
最初、ACFAの主人公は天敵にするかセレンにするか結構悩みましたが結局天敵にしちゃいました。