IS〜インフィニット・ストラトス 世界の狭間で 作:yuichi526
IS学園の施設の中で一番高い塔である中央タワー。その頂上付近にある一般の生徒達には知らされていない秘密の拘束部屋がある。そこに、キラ達はいた。
「・・・・」
一部屋に唯一存在する小窓から外を眺めるキラ。外に見える風景から察するにここは日本で時期的には春であろう。因みにこの部屋にはキラとヴァイスとゴーストが、隣の部屋にはあのネクストACのパイロット達が拘束されている。
「全く、散々だなおい」
そう言って、ゴーストがおもむろにポケットからタバコを取り出して、吸い始める。
「こんな狭い部屋で吸うんじゃねぇよ」
「吸わなきゃやってらんねっての」
(・・・・・)
彼らの今の服装はキラとヴァイスはパイロットスーツ。ゴーストはカーゴジャケットにカーゴパンツだった。ゴーストは機体から降りる時は弾倉入りの防弾チョッキも着ていたが、あの女性達に没収されている。
「どうする、隊長さんよ?」
「今はまだ大人しくしてた方がいいだろうね」
そう言いながらキラはまた外を眺めてかつての戦友の顔を思い浮かべていた。
(アスラン・・・シン。君達はいまどうしてる?)
ラクスとあの金髪の女性は恐らく医務室に連れて行かれた。治療を受けているのだろう。
そして、その頃千冬達はといえば。
「これは一体なんですか?」
「・・・・」
侵入者達の機体スペックデータを目にした真耶が声を張り上げる。その機体達にはまだこの世界には実現していないような技術がふんだんに使われていたのだ。
「羽根付きの二機には実弾無効化装甲。しかも、このフリーダムという機体にはコアの部分に核融合炉が搭載されています。残りの三機の動力源には未知の粒子が使われているようですね」
高出力のビーム兵器にビームシールド。ラファール・リヴァイヴを上回るほどの量の後付け装備など、他の国が見たらすぐに戦争に発展しかねない程の技術が盛り込まれている。
「厄介なものを拾ったみたいだな」
「織斑先生。このホワイトグリントとストレイドの動力に使われている粒子ですが、どうやら、人体や環境に非常に悪影響を及ぼすみたいですね。今は、完全に遮断されているので問題はないと思いますが」
「競技用ではないな」
これは完全なる兵器。人を殺すための兵器だと千冬は確信する。このまま、国際IS委員会に報告して身柄を引き渡すわけにも行かなくなってしまった。
「しかし、これらの事を考えると奴らがこの世界の住人と考えるのが難しくなって来たな」
「そ、そんなことってあり得ます?」
真耶は苦笑いをしながら応えるが、他の世界の住人と言うほうが確実に筋が通っている。異常な重力場の代わりにいた7人組。そして一人が言ったZ.A.F.Tという謎の組織。この世界の技術ではない技術を使っている未知の機体。
「では、織斑先生はこのISはISではないと」
「ああ、おそらくな。こいつらの存在を各国が知れば、めんどくさい事態にもなりかねん」
おそらく、躍起になってこれらを奪いにやってくるであろう。そんな事態はなんとしても防ぎたいものだ。すると、千冬は何かを感じ取り部屋を出て行ってしまった。
「織斑先生?」
驚いた真耶を尻目に千冬は部屋を出てそして、中央タワーを降りてIS学園の敷地内にある小さな池に向かった。その近くに植えられている木にある人影が見えた。
「やぁ、ちーちゃん」
「こんなところで何をしている?」
彼女の名前は篠ノ之束。ISの開発者で千冬の幼馴染であり、全世界から指名手配を受けている人物だ。どうやってこのIS学園に侵入したかは誰も分からない。
「やだなぁちーちゃん!!分かってるくせに」
とても高いテンションで千冬に抱き着こうとする束。それを、千冬はアイアンクローで阻止した。
「やめろ、どうせあいつら事で来たんだろう?」
「そりゃそうだよ〜、この束さんが作った覚えのないIS。まぁ、データを見る限りISとは限らないけどねぇ。とにかく、それらを持った七人組がいきなり現れたんだからちーちゃん達以外の人間には興味が湧かないこの束さんでも興味が湧くさ〜」
そう言いながら、空中投影型のディスプレイを四枚映し出した。それらは真耶が見ていたあの五機の詳細データとそして、あの7人の身体データだ。
「みてみてちーちゃん。あのフリーダムっていう機体には高度な暗号化ロックシステムがあってなかなか、ハッキングできなかったけど他の機体にはハッキングできたよ」
そう言って、一枚のディスプレイを見せてくる。そこにはあのフリーダムを除く4機の戦闘映像が映し出されていた。そこには宇宙空間での戦闘や、あの五機同様に見慣れない機体や戦艦と戦闘を繰り広げる様子が流れていた。
「ちーちゃんも分かってるだろうけど明らかに彼等はこの世界の住人じゃないし、あのISもISじゃない。これらを世界が知ったらどうなるだろうねぇ?」
「・・・・」
確かに、いま世界は数に制限があるISに色々と頭を悩ませているところだ。そこにISと同等の力を持ち男も使える兵器が知れ渡ればまた世界は大きく変わってしまう。
「まぁ、もともとあれらはIS以上の大きさらしいけど誰かがISと同じサイズにしたっぽいけどね。その誰かはこの束さんでも分からないよ?」
「どうしろと言うのだ?私に?」
「えへへ、分かってるくせに〜。彼等をいっそこの学園の生徒にしちゃえばいいんだよ」
「なにを馬鹿なこといっている!?」
しかし、そこまで言って千冬は言葉を飲み込む。確かに今にIS委員会に報告すれば余計な争いの種になる。ならば、世間的には一夏に次ぐISを使える男達にしてしまえばある程度の問題は減るだろう。
「まっ、束さん的には欲しい情報とか色々と手に入ったけどね〜」
「おまえ、本当はそれが目的で!」
すると、いきなり強い風が吹いたと思ったら束はどこかにその姿を消してしまっていた。
「全く!」
千冬が頭を押さえていると、後ろからある老人が歩いてきた。彼の名は《轡木十蔵》表向きはIS学園の用務員だが、本当の正体はこのIS学園の本当の運営者である。
「話は聞かせてもらいましたよ。確かにそう措置をとったほうが生徒達にとってもよいでしょうね」
「すみません、手間をかけさせます」
一方その頃キラ達といえば、ゴーストをどうするか決めかねていた。
「キラ、本当にこいつを雇うのか?」
「うん、今は少しでも戦力が欲しい所だからね」
「よっしゃ!報酬はC・Eに戻ったらたんまり貰うぜ!!」
「こんな戦争屋をかよ」
そんな事を言っていたら、牢屋の扉が開き千冬が入って来た。どうやらキラ達をどうするか決めた様だ。
「出ろ」
彼等は彼女に従う。牢屋から出ると隣の牢屋にいたあのネクストパイロット達も出てきた。
「あんたら、結構静かだったな。男だけで窮屈じゃなかったか?」
「・・・・」
二人とも応えない。そんな反応をされたヴァイスは気まずく首をポキポキ鳴らした。
「お前らのこれからの扱いを決めた。私的にもどうか迷ったがお前らはこの学園の生徒にする事にした」
「なんだと!?」
「マジかよ。この歳でまた学校でお勉強かぁ!?」
ゴーストとヴァイスがそんな反応し、キラはやっぱりと言う顔を。ネクストパイロット達はただだんまりだった。
「お前らも気付いてるだろうが、ここはお前らのいた世界とはどうやら違う世界だ。それにあの機体達の力はこの世界ではイレギュラーだ。余計な混乱を招く」
「分かりました。確かにその方が良いでしょうね」
そんな事をしていると真耶が室内に入って来た。
「織斑先生、二人が目を覚ましました」
どうやら、今まで気絶していた女性陣が目を覚ましたらしい。一同は急いで特設医療室へ向かう。
「ラクス!!大丈夫!?」
「・・・・」
キラがラクス、アナトリアの傭兵改めエドワードがフィオナの所へ駆け寄った。
「キラ?ここは何処ですの?それに貴方は誰ですの?」
「えっ?なに言ってるんだよ?俺だよヴァイスだよ!?」
しかし、彼女はキラの部下であるヴァイスを初対面であるかの様な目で見る。もしやと思いキラはある質問をしてみた。
「ラクス、最後に覚えてるのは?」
「確か、マルキオ様の診療所で子供達と遊んで・・・それからあまり覚えてませんわ」
「これってもしかして?」
「記憶喪失みたいだな」
キラは頭を抱える。違う世界に飛ばされただけじゃなくラクスは記憶を半分失ってしまったのだ。ヤキンドゥーエ戦の直後まで覚えているのはまだ幸運だ。
「更に面倒くさい事になっちまったな」
キラはとてもとても深い溜息を吐くのだった。
次回は一夏登場だなぁ。