2038年、10月・・・。
この世界は『武装神姫』であふれていた。
様々な神姫がいるなか、この物語の主人公藤岡 恭一が後に歴史に残るほどの出来事をおこすことを誰も知らない。
あたりは真っ暗の土手の帰り道。
恭一はいつも通りの帰り道を歩く。
すると、ポケットの中にある携帯が鳴り響く。誰からだろうと思い、ポケットから携帯を取り出すと。
携帯につながっていたお守りの紐がちぎれ、
土手の坂を勢いよく転がり落ちる。
お守りを取りに行こうと自分も急いで土手を駆け下りる。
草は案外少なかったので、容易に見つけられた。
このお守りだけは絶対に失くしてはいけないっものだった。
そう・・・。
亡くなった兄の唯一の形見なのだから。
見つかったので、坂を上ろうとしたとき近くにあった薄暗い電柱の下にかすかに小さな人影があった。
近くに歩み寄ると、
そこには1体の神姫がいた。
しかし、その神姫はいたるところに傷や汚れが見えた。
そのままにしておくのもかわいそうなので家に連れて帰ることにした。
神姫を初めて持ったので、神姫がこんなにも軽かったことに少し驚いた。
そして再び、土手の上の道を歩き家に向かう。
家に着き、玄関の扉を開け、「ただいま」という。
しかし、家から物音ひとつしない。
父はアメリカ、母はイギリスと家族は世界中を飛び回っている。
帰ってくるのはせいぜい正月くらいだ。
そのため、いつも家には兄と自分しかいなかった。
しかし、
もう兄もいないため家には自分しかいない。
かばんを部屋に置き、隣の部屋に行く。
隣は兄のいた部屋だ。
部屋にはいつも入れてくれなかった。
「仕事するものがたくさんあるから入るな!」といつも言われた。
しかし、もうそんな声がないとなると寂しいものだった。
ドアノブに触れ、初めて入る部屋に申し訳と興奮があった。
扉を開けるとそこにはさまざまな機材があった。
兄は亡くなる前は神姫の研究者をしていたというから、恐らく神姫関連の機材だろうと思った。
そして、綺麗な机の上には以前ネットやテレビで見た神姫の充電器「クレイドル」があった。
パソコンに接続されていたので、恐る恐るパソコンの電源をつける。
すると「クレイドル」起動したのが分かった。
先ほど拾った神姫をそっとクレイドルの上に乗せる。
すると充電している合図を確認したので、とりあえずホッとする。
しか、神姫のボディーを見るとボロボロなのが見るに痛々しかった。
部屋を見回すと、机の横に神姫用のペンキらしきものがあったので、ペンキを手に持つ。
絵や美術などには自信があったので案外難しくなかった。
そのほかにも体のホコリの除去などもして、わからないところがあったらパソコンのネットで調べたりした。
そのように試行錯誤して、一晩をかけた。
朝、鳥のさえずりが聞こえる。
ゆっくりと机につけていた顔を起こす。
徐々に意識を取り戻す。
神姫はどうなったのだろうと視線を神姫に向ける。
すると、そこには昨日とは大違いの綺麗なボディが光り輝く神姫がいた。
しかし、その神姫はいまだに眠り続けていた。
やはり無理なのだろうか、そう思うった直後。
かすかに動いたのに気が付く。
「うっ、動いた?」
すると神姫のまぶたがゆっくりと上がる。
まぶたの中から蒼い瞳が見えた。
すると神姫はこっちを向き、
「あなたは?」
っと言葉を発する。
「あっ! 僕の名前は藤岡 恭一。高校三年の17歳」
突然の質問に何も考えずに答えた。
「えっと…。君の名前は?」
「私は、試作万能型神姫ヴァルキリー型です。名前は…。」
突然神姫の言葉がとまる。
「どうしたの?」
神姫に聞く。
「すみません。
どうやら、記憶回路の一部が故障しているみたいなので。」
「そうなのか…。」
神姫のか顔が暗くなる。
「…もしよかったら記憶が戻るまでうちにいたら?」
「よろしいのですか?」
神姫は驚いた顔で聞く。
「家には、僕らしかいないから、 別に構わないよ。」
「ありがとうございます。」
神姫は深々と頭を下げた。
「それじぁ、神姫って言うのも変だから、名前を決めようか。
えーと、それじゃあ、ヴァルキリーだから…、キリアっていうのはどうかな?」
「では、その名前を使わせていただきませす。」
「じゃあ、よろしくキリア。」
「こちらこそ、よろしくお願いいたしますマスター。」
「では、マスター名前の登録をよろしくお願いいたします。」
「えっ!登録も必要なの!?」
「もちろんですよ。マスター」
家に新しい家族が増えて、これからの日々がいつもより楽しくなる、そう思えた。
しかし、楽しくなるのではなく、悲しみの未来始まりだった。
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