以前、『にじファン』にて小説を書いていた蒼影です。
こちらでもゆる~く不定期に書いていくことにしましたので、皆さんもゆる~く見て行ってくれると幸いです
それではどうぞ~
幻想郷
科学が発達したこの世界で『幻想』と言われ、忘れられた存在の拠り所…
『妖怪』『神』『幽霊』や『魔法』など種族や技術は様々、それどころか人々が見向きもしなくなり、消えるように忘れられた道具すらこの幻想郷にはやってくる
とある妖怪の言葉を使わせてもらうなら
「幻想郷は全てを受け入れる」
とのことである
さて、そんな幻想郷にも私たちと同じ人間が居を構えている
しかし、世にも恐ろしい妖怪が闊歩する幻想郷では人間の場所は規模が小さい。人間が住むその場所を人も妖怪も『人里』と呼んでいた
東
方
雑
貨
録
その人里の賑わう場所から少し外れた場所に一軒の店がある
外観は大正から昭和の雰囲気漂う店で入り口は木枠に安っぽい薄ガラスの引き戸が四枚その入り口の横にはこれまた木でできた立て看板
看板には『買い取りやってます』と言う素っ気無さを感じる一文
そして入り口の上には『雑貨屋 万商』と書かれた看板が鎮座していた
そんな店の引き戸がガタガタと立て付けの悪い音を立てて開かれた
店の中は店の外見と同じく昭和以前の雰囲気漂う内装だ
三十畳ほどの広さの土で固められた床、両端には木製の大棚が並び、棚には様々な商品が並んでいる
中央には長方形の木箱にガラスの蓋をつけたような箱が十五個ほど凹の形を描くように並び、さらにその中央には小さな秤が置いてある
箱の中には色取り取りの駄菓子が入っていた
その駄菓子の入った箱の奥は五十㎝ほど高くなっており、広さは約十畳ほどで、上面は畳が敷かれていた
しかしその畳の上にも小さな引き出しや引き戸のついた棚や駄菓子の入ったビンが置かれていていた
その座敷の一番手前側には木でできた脚の短い長机の上には赤銅色の古めかしいレジスターと開かれた帳簿が置いてある
長机の奥には一人の青年が座っていた
茶色の髪の青年が若草色の着流しを着て、その上に藍色の羽織を身に着けていた
青年の顔は平凡と言えば平凡な中の上くらいの顔つきだ
青年…俤 秋乃(おもか あきの)は湯飲みで茶を飲みながら開かれた入り口のほうを見た
「珍しく暇なのね、秋乃(あきの)さん」
店に入ってきたのは一人の少女だった
黒髪を肩の上辺りまで伸ばし大きな紅白のリボンが目立つ整った顔の少女だ
目を引くのは少女の服装の紅白色の巫女服だ
ただ、世間一般の巫女服と違う点があった
それは世間で知られる巫女服と違い肩から二の腕辺りに着物がない腋を露出した意匠の巫女服だった
そして背中には風呂敷包みを背負っており、なんとも違和感を感じる様となっていた
少女…博霊霊夢(はくれい れいむ)は背中に担いだ風呂敷包みを畳の上に置いた
「もうすぐ寺子屋の子供たちが菓子を買いに来る。博霊は買い取りか?」
秋乃は湯飲みを机に置き、頬杖をついて霊夢に聞いた
「霊夢で良いって言ってるじゃない。博霊って呼ばれるのはむず痒いったらありゃしないわ」
霊夢は整った顔を不機嫌そうにして風呂敷の中から物を取り出しながら秋乃に言った
「悪かった。癖だよ…どうも身内以外には姓で呼んでしまうんだ、許してくれ」
霊夢の持ち込んだ品を取り出したモノクルを左目に付けて品物を見ながら、秋乃は霊夢にそう言った
「まぁ、いいけどね。早い内に何とかしたほうが良いわよ?幻想郷(ここ)は広いようで狭いんだから」
「ああ、気をつけるよ…今回は…」
秋乃はレジスターを開くと何枚もの硬貨を取り出し霊夢に手渡す
「これだけ?」
「何度も言うが、ここは妖怪の爪なんかの買取はしていないからな」
と言って秋乃は霊夢に風呂敷を手渡す
「…ケチ」
「文句を言うな」
などと言っていると、再び店の入り口が立て付けの悪い音を立てて開いたかと思うと、人里に住む子供たちが一斉に入ってきた
子供たちは思い思いに駄菓子を眺め、店主である秋乃を呼ぶ
「おいでなすったか、博…霊夢も何か買っていくか?」
「そうね…じゃあ、あんこ玉一個頂戴」
霊夢が指差したのはあんこ玉と呼ばれる餡子に黄粉(きなこ)を塗して作られた駄菓子である
あんこ玉は秋乃の長机の隣の箱に入っていた
「はいよ。一個二厘ね」
霊夢は秋乃に言われ小さな銅貨を二枚手渡した
霊夢はあんこ玉を受け取るとそれを二つに割った
「んーやっぱり当たりはなしね…」
と言うと霊夢はあんこ玉を口の中に放り込んだ
「そうそう当たりが出たら面白みがないだろう?」
いつの間にか秋乃が前に出て駄菓子を秤で計りながら霊夢にそういった
「それもそうね。じゃあ私はこれを霖之助さんのところにでも持って行くわ」
霊夢は軽くなった風呂敷を持って子供たちが開けたままの戸をくぐって行った
霊夢が去った後も店の中は子供たちの賑やかな声がしばらく飛び交っていた
いかがでしたでしょうか?
感想お持ちしています。
以前執筆していた作品は『蒼色螺旋』
↓
http://m-pe.tv/u/page.php?uid=aokagedoriru&id=1&guid=on
にてゆる~く不定期に掲載しております
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