東方雑貨録   作:蒼影

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とある農民は言いました

(農)『我らの秋姉妹はまだか』

私は答えた

『(風神録まで随分あるので)しばらく出ない』

早く出すんだと騒がれた

『騒ぐと出番減らす』

と言ったら飲んでいた栗焼酎を奪われた。最近こんなんばっかや

※感想にて、場面変換について意見がございましたので試験的に手を加えてみました

よろしければ、意見などを頂けると幸いです

長くなりましたが、本編をどうぞ


幽々子『宴会の香り』

外来人

 

幻想郷の外からやって来た人間の総称である

 

八雲紫が“神隠し”と称して幻想郷へ招き入れるとのこと

 

大抵の目的は『妖怪の食糧』であるが、雑貨屋『万商』店主、俤秋乃のような能力の危険性などから幻想郷には連れて来られる事例がある

 

妖怪から逃げ延びた外来人は大抵人里で生活する

 

そして人里で手に職を付け、金銭を稼ぐ

 

“外の世界に戻るために”

 

 

東 方 雑 貨 録

 

 

人里繁華地の外れ

 

昭和の雰囲気を感じる佇まいの一軒の店、雑貨屋『万商』

 

普段なら営業している時間だが、扉は閉められ、入口には張り紙が張られこう書かれていた

 

 

『博麗神社で宴会の為、本日休業』

 

 

いつの頃からだろうか、否、おそらく紅霧異変の頃からだろう

 

異変が終わるとその異変に関わった者たちで博麗神社で宴会を催すのだ

 

後の日々に禍根を残さないため、昨日の敵は今日の友のような建前があるのだろう

 

幻想郷の住人はお祭り好きな気質があるため、大抵は楽しめればよい程度しか思っていないのかもしれない

 

さて、宴会と云うからには料理と酒が必要だ

 

酒は酒屋から買えばいいが料理はそうはいかない

 

誰かが作らなければいけないのだ

 

異変関係者が作ればいいのだが、大抵は食べる専門だ。明らかに作る側と食べる側の比率があっていない

 

そこで人里の料理を作れる人を何人か見繕って宴会の手伝いをさせるのだ

 

それなりの謝礼を付けて

 

 

東 方 雑 貨 録

 

 

博麗神社の台所

 

そこでは三人の男女が忙しなく料理を作っていた

 

一人は茶色の髪に若草色の着流し、その上からミスマッチとも思える白い割烹着を着てリズムよくキャベツを切る青年

 

雑貨屋『万商』店主、俤秋乃

 

もう一人は銀色の髪にフリルをあしらったメイド服に身を包み次々と料理を運ぶ女性

 

紅魔館メイド長、十六夜咲夜

 

最後の一人は秋乃と同じ茶色の髪に髪の色と同じ茶色い着流しに腰下前掛けと鉢巻を巻いて危うい手つきで鶏肉に包丁を入れる青年

 

外来人、更井新人(さらい あらと)

 

妖怪から逃げ延びて今は人里の焼き鳥屋で働く秋乃の一つ年下の青年

 

 

「秋乃さん、今日の宴会随分ペース早くないっすかぁ?」

 

 

「新人が遅いだけだよ、焼き鳥屋で働いてるのに何で切るのが遅いんだよ」

 

 

「いやいや!働き始めたの三ヶ月前だから、まだ雑用しかやらせてもらってないから!」

 

 

「手が止まってるよ。咲夜さん、このモツ煮できたんで持って行ってください。鉄鍋なので気を付けてください」

 

 

「わかったわ」

 

 

山のように盛られたキャベツで覆われ、グツグツと音を立てている鍋を次々持っていく咲夜

 

秋乃は新人が切り分けた鶏肉と長葱を串に刺していく

 

新人はその様子を見ながら

 

 

「秋乃さん、なんでそんなに手際がいいんですか?」

 

 

と秋乃に聞く

 

 

「親父が料理屋をしていてね。高校の頃からちょくちょく手伝わされていたから自然とね、手際の良さは慣れと経験、としか言いようがないなぁ…新人だって経験積むために宴会の手伝い志願したんじゃないのか?」

 

 

「いや、謝礼が目的っす」

 

 

秋乃の答えと問いにさらっと答えを返す新人

 

 

「秋乃さんも謝礼目的っしょ?」

 

 

「いや、紫さんに頼まれたからかなぁ、俺は能力持ちだから幻想郷から出れないし」

 

 

「嘘!?こんな物騒な世界から出れないなんて大変っすね」

 

 

妖怪に襲われ、人里からは外来人と呼ばれる為か幻想郷自体にあまり良い印象を抱いていない様子の新人

 

鶏肉を切り終え、額に浮いた汗を拭う

 

 

「さっさと元の場所に帰りたいっすよ」

 

 

「だったら博打は控えたらどうだ?ギャンブルはのめり込むと抜けられなくなるぞ」

 

 

「大した額はやってませんよ。それにほかにやる事ないんすよ」

 

 

「料理の練習しろ。それじゃ、肉焼いてくるからそこの鍋に火をかけて、煮立ったらそこの器に盛ってそこの刻み葱散らして出してきて」

 

 

店から持ってきた金バットに焼き鳥と鶏肉を入れて厨房を出る秋乃

 

 

「了解っす」

 

 

布巾で包丁を吹きながら新人は答えた

 

 

東 方 雑 貨 録

 

 

博麗神社の厨房の外に設置された炭の焼き台

 

焼き台の網の上に次々と串に刺さったねぎまを乗せていく

 

カンカンに燃えているおかげですぐにじゅうじゅうと肉の焼ける音が鳴り始める

 

その横に一口大より大きめに切った鶏肉も乗せていく

 

香辛系の調味料を振っているからか辺りにスパイシーな香りが広がり始める

 

そんな時…

 

 

「こんばんわ」

 

 

不意に秋乃の後ろから声がかかる

 

幻想郷に人たちは後ろから声を掛けるのが好きなのかと心で思いながら上半身を捻って後ろを見る

 

声を掛けたのは女性だ

 

服装は和装。淡い水色に所々フリルのようなものがあしらわれている

 

春の季節に合わせてか桜の花の模様が特徴的だ

 

幻想郷でも珍しく思う桃色の髪の上には死に装束の天冠を模したような帽子をかぶっていた

 

上品さを感じる佇まいは令嬢を思い起こさせる

 

 

「どちらさまで?」

 

 

つい秋乃はそう零す

 

 

「あら、ごめんなさいね。なんだかいい匂いがしたものだから…私は西行寺幽々子(さいぎょうじ ゆゆこ)。あなたは?」

 

 

「俤秋乃、人里で雑貨屋をやっています」

 

 

「あら!じゃあ、あなたが紫の言っていた秋乃さんなのね」

 

 

「紫さんの御友人で?」

 

 

「昔からの付き合いよ。私亡霊だから」

 

 

『亡霊』

 

 

人間が強い未練を持って死ぬとなるといわれ、幽霊と違い物に触れたり体温があったりするとの事

 

ただし強い未練故か生者にはあまりいい影響は与えないそうだ

 

恨みを持つ亡霊の恐ろしさはそこらの悪霊や生霊の比ではないとの話もある

 

もっとも、目の前の亡霊はそのような話とは無縁そうには見えるが…

 

 

「なるほど…」

 

 

秋乃が納得して頷くと幽々子はススっと秋乃の隣に寄る

 

 

「ねぇ、焼き鳥は解るけど、こっちの鶏はなぁに?」

 

 

「香味焼きですよ…一口味見に如何です?」

 

 

「あらぁ~そんなの悪いわぁ」

 

 

穴が開くほど見ていたのに何を言うかと思いながら余っていた串で香味焼きを取り幽々子に手渡す

 

ふぅふぅと冷まし、ぱくりと一口で頬張る

 

はふはふと言いながらも満面の笑みで食べる姿を見て秋乃は顔には出さないが喜ぶ

 

矢張り、作った料理を美味しそうに食べてもらうのは嬉しいものだ

 

 

「ちょっと辛いけど、美味しいわ」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

焼きあがった焼き鳥や香味焼きをバットに乗せながら秋乃は答える

 

 

「じゃあ、お皿に盛って出しますから幽々子さんは皆さんのところで待っていてください」

 

 

「わかったわぁ~それじゃあね」

 

 

ひらひらと手を振りながら幽々子は宴会の会場へ戻っていった

 

秋乃はそれを見届けると急ぎ足で台所へ戻っていった

 

 




鶏肉の香味焼きは鶏もも肉に市販の塩胡椒とペペロンチーノの素を振って焼けばできる簡単メニューです

大きく焼く場合はグリルなどでは中に火が通らない場合があるので、レンジなどで仕上げをすることをお勧めします

ビールなどと相性がいいです

当然ご飯のおかずにもなります

感想、質問待ってます

現在、この作品は『このキャラを出してほしい』、『こういうシチュエーション』などの要望お待ちしています

ある程度、原作品の時系列に沿っていますのでその辺りはご容赦ください
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