ネタ不足に困る今日この頃
酒でも飲んでネタを考えよう
「何とか一段落しましたねぇ」
汗を拭いながら息をつく新人
秋乃もやはり額に汗を浮かべていた
モツ煮に焼き鳥など火を使う料理が多かったからだろう
二人は椅子に座り、竹の水筒に入った水を二人は煽るように飲む
熱気のせいか温く感じたその水を飲み終えると新人が口を開く
「交代の人遅いっすねぇ」
宴会の料理は複数の人物がローテーションで料理を作ることになっているのだが、新人の言う通り交代の人物が来る様子が見えない
「酔った人に捕まったのかな?ちょっと様子を見てくるよ」
そういって秋乃が椅子から立ち上がった時…
「秋乃~!」
大きな声が裏手の入り口から響く
秋乃が目を向けると咲夜が一人の少女を連れてやって来た
背丈は咲夜の主であるレミリアと同じくらいだろう
艶やかな金髪の一部をサイドテールのように結いレミリアと似たような帽子をかぶった少女
服装もレミリアと同じゴシックロリータ調だ、違いはレミリアは白に赤だったがこの少女は赤に白の色合いだ
なんといっても特徴的なのは背中から生えている羽根だろう
木の枝のような羽根の根に七色の宝石のような物が下がっている
生物の羽というより造形物の羽を連想させる
少女の名前はフランドール・スカーレット
名前の通りレミリア・スカーレットの血縁者でレミリアの妹に当たる
秋乃は少し前にフランドールと知り合ったのだがその話はまた別の機会にである
「おや、フラン。どうしたんだい?」
フランドール自身の要望で秋乃は愛称である『フラン』と呼んでいるのである
新人はフランドールを見て『外の様子を見てくる』と言って台所から出て行ってしまった
「オムレツ作って!オムレツ!」
「すいません、妹様がどうしてもというので」
以前御馳走したオムレツが気に入ったようだった
咲夜が作ればいいとは思うのだが、咲夜のオムレツは少し硬いとフランドールは言っていた
しかし、レミリアは咲夜のオムレツの方が好みなのでレミリアとフランドールはよく言い争いになるようだ
咲夜も咲夜で癖がついてしまっているので、フランドールの好みのオムレツを作るのは苦手だそうだ
「わかった、宴会の料理も一段落したから今作るから座って待ってな」
「わかった!」
ぴょんと椅子に座るフランドール
ニコニコと待つフランドール秋乃は手頃な大きさの丸皿に先ほどの余りのキャベツを乗せる
その後、卵を割り、混ぜていく
途中、砂糖を入れさらに少しだけ塩を入れる
そしてさらに混ぜる
混ぜ終ると秋乃は自身の荷物の中から新聞紙に包まれたフライパンを取り出す
がさがさと新聞紙を取り、火の弱い方の竈の上に置く
再び荷物を漁り取り出したのはバター
包丁で切り分けフライパンに乗せる
ジワリとバターが溶け出す
秋乃はスルスルとフライパンを回しバターを行き渡らせ、その後、フライパンのバターを先ほどのバターに入れ混ぜる
軽く混ぜ、卵をフライパンに入れ、あれよあれよとオムレツの形にしていく
トントンとフライパンの取っ手を叩きそれに合わせて卵は丸まっていく
トーントーンという感覚からトントントンと短く叩く
すっかり楕円形になった卵をお皿の上にスルリと置く
最後にケチャップとサウザンドドレッシングを掛け、キャベツの隣にトマトを一切れ
出来上がったオムレツをフランドールに手渡す
「はい、どうぞ」
「ありがとう!」
フランドールはオムレツの乗ったお皿を持って台所から出ていく
どうやら姉のレミリアに見せに行くようだ
咲夜はペコリと頭を下げ、足早にフランドールの後を追う
フランドール達と入れ違うように幽々子が入ってくる
「秋乃さん」
「おや、幽々子さん。先ほど振りですね」
「そうですね、紹介しますわ。家の庭師をしている妖夢よ」
幽々子さんに促され少し後ろに控えていた少女がペコリとお辞儀する
咲夜と同じ銀色の髪だ
緑を基調とした洋服に身を包み腰には大小の日本刀が下げられている
一番の特徴は少女の周りに漂う半透明な物体だろう
ふよふよと少女の周りを回るものだから球体に尻尾を付けたようなそれこそ人魂のような形になっている
「はじめまして、人里で雑貨屋をやっている俤秋乃です。よろしく」
「白玉楼で庭師兼幽々子様の剣術指南役を務めている魂魄妖夢(こんぱく ようむ)ですよろしくお願いします」
互いに名乗り、お辞儀を交わす
「二人とも固いわねぇ」
幽々子が二人の様子を見て言葉を零す
「何事も最初が肝心というではないですか、幽々子さん」
「そうですよ、幽々子様」
二人に言われぷぅっと頬を膨らませる幽々子
ふと幽々子が言った
「あなたは宴会に出ないの?」
「交代の料理人が来ないんですよ」
「ここに一人いるわよ?」
幽々子が妖夢を指す
「妖夢が?」
「これでも家の家事全般こなすできる子なんだから」
「さすがに一人はきつくないかい?」
「もうすぐ来るわ。どうやら妖精に捕まってたそうよ」
「御気の毒様とこの場にいないけど言っておきますよ」
秋乃はやれやれと分かりやすく首を振る
「ところで」
不意に幽々子が先ほどオムレツを載せた皿を秋乃に手渡してきた
「ん?」
「あの吸血鬼の子が持ってたお料理私にも作って下さらない?」
この亡霊は随分食べ物に関しては目がないなと秋乃は心に思う
「同じのでいいのかい?」
「ほかにもあるの?」
「あの子に出したのは甘いオムレツ。他にもプレーンのオムレツやチーズの入ったオムレツ、納豆の入ったオムレツなんかも作れるよ」
種類を聞いて幽々子は困ったような仕草をする
「悩むわねぇ…じゃあ、秋乃さんのお勧めをくださいな」
弾むように言う幽々子。それを見て妖夢は申し訳なさそうにこちらを見る
「わかった、じゃあちょっと待っててくださいね」
再びフライパンに火をかけ、卵を割る。塩を一つまみだけ入れバターをフライパンに入れ溶かす
後は先ほどと同じように丸めていく
ポンとお皿に盛り、スプーンを付けて幽々子に手渡す
「いただきまぁす」
「幽々子様!」
なんと幽々子はこの場で食べ始めてしまった
咎めるように声を上げる妖夢
気にせずオムレツを口に運ぶ幽々子
「美味しいわ、香りがいいのね」
バターの香りが気に入ったようだ
「卵本来の味がするでしょう?」
「卵って甘いのね~」
そう話しているうちに交代の人物が台所に入ってきた
「あら、交代の様よ秋乃さん。さ、行きましょう」
秋乃の手を握り、宴会の会場へ促す幽々子
急に手を引かれたのでつんのめりそうになる秋乃
そんな秋乃の後ろから
「秋乃さん。幽々子様の面倒をお願いします」
妖夢に頭を下げられた
なんだかなぁと思いながら秋乃は手を引かれるまま宴会場へと向かった
秋乃のオムレツは生より半熟、割ると中から中身が出てくる
咲夜さんのオムレツは固めの半熟、割ると少し中身が出てくるくらい
オムレツは卵以外の繋ぎがあるほど纏めやすいそうです
納豆入りオムレツはビールに合います
美味しいです
感想、質問待ってます
現在、この作品は『このキャラを出してほしい』、『こういうシチュエーション』などの要望お待ちしています
ある程度、原作品の時系列に沿っていますのでその辺りはご容赦ください