東方雑貨録   作:蒼影

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友人はメールで聞いてきた

『お前、東方に限らず二次元だとロリが好きだよな?』

失敬な奴だと思いながら私は返した

『二次元くらい、癒されてもいいじゃない。それに自分は紫さんとか聖さんも好きよ?』

橙とかはあれだね、膝に乗せて頭を撫でくり回したいね

今回は作品時系列関係なしで行きます




『小さなアルバイト』

 

雑貨屋『万商』

 

幻想郷において雑貨はあまり需要がない

 

不用品の買い取りや日用品も扱っているため、連日閑古鳥という訳ではないが、ほかの幻想郷の店に比べたら客入りはむらがある

 

とは言っても店主である俤秋乃にはするべきことが沢山ある

 

正直一人だと厳しい時が時たまある

 

そんな時彼はどうしているのだろうか

 

 

東 方 雑 貨 録

 

 

「む、ワインが少ない。あぁ、紅魔館に卸した後、補充していなかったっけ…まぁ、今月はいいか」

 

 

店の地下の冷蔵倉庫で在庫のチェックをしている秋乃

 

丹前を着込み、口から白い息が漏れる

 

『万商』では地下の在庫チェックを二週間ごとに行っている

 

これを参考に秋乃は能力で『仕入れ』の加減をするのだ

 

ワインの棚から目を外し、リキュールの棚へ目を移した時

 

 

「てんちょぉ~」

 

 

少女の声が地下の入り口の方向から聞こえた

 

「残りは後でいいか」と呟き、手に持った帳簿を閉じて足早に入口へ

 

少し急な階段を上がると

 

 

「店長!掃除終わりましたぁ」

 

 

「在庫数え終わりました!」

 

 

「ました!」

 

 

三角頭巾をかぶった三人の少女がいた

 

一人目は明るい橙かかった金色の髪を赤いリボンで括った少女

 

背には笹の葉を連想させる四枚の薄い羽根が生えている

 

少女の名はサニーミルク

 

二人目はサニーミルクと同じ金色の髪、しかしこちらは亜麻色に近い色合いだ

 

先の方で縦にロールしている

 

背には三日月を連想させる四枚の羽根

 

名前をルナチャイルド

 

三人目は明るめの二人とは違い腰まで伸びるさらりとした黒い髪

 

全体的に青を基調とした服装だ

 

背には蝶を連想させる四枚の羽根

 

彼女の名前はスターサファイア

 

背に生える羽根で気づくとは思うが、彼女たちは妖精である

 

一部では『光の三月精』などと呼ばれる妖精たちだ

 

妖精の中では知性が高い彼女たちは現在、秋乃に雇われる形で雑貨屋の店員をしているのである

 

もっとも、毎日ではなく、彼女たちの気が向いたときのみではある

 

 

「はい、ご苦労様。在庫の帳簿は後で念のため確認させてもらうよ」

 

 

「今回は前回の様にはいかないわ」

 

 

「まさか、一つずつ項目がずれていたなんてね」

 

 

ルナチャイルドが台帳を手渡し秋乃が受け取る

 

以前、手痛い失敗をしたのかルナチャイルドとスターサファイアは意気込んだ様子だ

 

秋乃はその様子を思い出したのか、苦笑いだ

 

 

「店長どう?知り合いの大妖精に掃除の仕方教わったの!チルノ風に言ったら『アタイったら掃除上手ね!』」

 

 

腰に手を当て、自慢げなサニーミルク

 

見回すと毎日掃除をしている秋乃や本業の人たちに比べると見劣りするが、秋乃から見れば大したものだと思う様子だった

 

 

「うん、大丈夫だね。偉い偉い」

 

 

「えへへ~」

 

 

秋乃に褒められてご満悦のサニーミルク

 

ルナチャイルドとスターサファイアは揃って座敷に座って談笑に花を咲かせている

 

それに気づいたサニーミルクはいそいそと二人の元へ向かう

 

秋乃は帳簿を机に置いて座敷の隅に設置された小さな囲炉裏に向かう

 

五徳の上には小さな鉄瓶が白い蒸気を上げていた

 

手拭いで鉄瓶の取っ手を持って傍の三つのマグカップにお湯を注ぐ

 

すぐさまココアの甘い匂いが漂い始める

 

秋乃は三つのマグカップを器用に片手で持ち、もう片方には数種類のお菓子が入った器を持って三妖精の元へと歩み寄る

 

 

「じゃあ、帳簿のチェックするから三人は店の様子見ててね」

 

 

「「「は~い!」」」

 

 

秋乃からカップとお菓子を受け取った三妖精は元気よく返事を返す

 

それを見た秋乃は座敷の長机の前に座り、ルナチャイルドとスターサファイアの付けた帳簿に目を通し始めた

 

 

東 方 雑 貨 録

 

 

「ちわっす!秋乃さん」

 

太陽が傾き始めた昼過ぎに駆け込むように戸を開ける一人の青年

 

焼き鳥屋で働く外来人、更井新人だ

 

三妖精が「いらっしゃいませ」と声を掛けるが、新人は足早に秋乃に近づく

 

 

「秋乃さん!お銚子ってあります?」

 

 

「銚子?あるけど、どうしたの?」

 

 

「親方が買って来いって」

 

 

「ふーん…で、どういうの?鉄?陶器?」

 

 

「へ?」

 

 

急に新人が呆気にとられたような顔になった

 

 

「だから、銚子の種類だって、諸口じゃないだろうから片口だろう?鉄の方がうちは高いよ?」

 

 

「いやいや!お銚子って酒を入れて客に出すものでしょう?」

 

 

「そうだぞ、親方から言われてないの?」

 

 

「いやだから、お銚子って…」

 

 

と言いながら新人は身振り手振りを付け始める

 

それを見て合点がいった秋乃はポンと手を打つ

 

 

「新人、それは銚子じゃなくて徳利だ」

 

 

「へ?お銚子って徳利の別名じゃないの?」

 

 

「違うぞ」

 

 

銚子とは本来、取っ手の付いた酒器で現在でも新道式の結婚式などで使われている

 

酒屋から入れてきた徳利から移し替えたり、燗酒を入れ替える際等に使われていたが、江戸時代辺りから小型の徳利が登場したため、徐々に姿を消し、現在では徳利と混同されている

 

幻想郷の文明は江戸後期~明治の始めくらいの為、銚子はマイナーな酒器には入るが、現役で活躍している

 

特に新人が務めている焼き鳥屋の親方は徳利で燗を付けるのを良しとしていないので、銚子は無くてはならないものなのだ

 

説明を終えると新人は「へぇ」と頷き

 

安い方の陶器の銚子を買って店を出た

 

新人が帰って少し後、時計を見ると三時少し前、そろそろ三妖精も飽きて帰りたくなってくる時間だ

 

徐に秋乃は立ち上がりレジスターからお金を取り出し、三妖精に手渡す

 

 

「はい、今日はお疲れ様。これ、今日の御駄賃ね」

 

 

「「「ありがとうございます!」」」

 

 

揃えたようにお礼を言う三妖精

 

しかし、その後渡した御駄賃の半分はお菓子や小物代として秋乃の手元に戻ってくるのであった

 




東方で妖精と言えば真っ先に浮かぶのはチルノですが、私は三月精が好きです

栗みたいな口しやがって

話の中の銚子については『混同されるネタ』として時折お酒関係の書籍で出てきます

あやめと菖蒲みたいなものです

ほとんど日常では出番にがない薀蓄ですね

感想、質問待ってます

現在、この作品は『このキャラを出してほしい』、『こういうシチュエーション』などの要望お待ちしています

ある程度、原作品の時系列に沿っていますのでその辺りはご容赦ください
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