舞う英雄   作:生物産業

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第8話 決着と話し合い

 

 放課後。

 俺たちは川神学園から離れた河川敷に居る。

 変に目立つのは、俺も燕も望むところではないので、こうして学園の生徒がいないところで戦う事にした。

 観客は話を聞いていたメンバーの数人だ。

 

「二人とも準備は良いか?」

「私はいいよん。久しぶりの触れ合いだね。堪能させてね♪」

「気色悪いわっ!」

 

 燕は変なポーズを取ったまま、ウインク攻撃。まずは精神的に攻めてくるということか。さすがは腹黒。

 ただ、油断していると一瞬でやられるから困る。

 今朝の戦いが燕の実力の何%だったのか……できれば、80%以上でお願いしたいところだ。私には変身が後二回残っているとか言われたら勝ち目はない。

 

「それでは……始めっ!!」

「なっとーう!!」

「うざいわっ」

 

 開始と同時に接近。

 向こうから来てくれる分には好都合だ。

 ただいちいち納豆を叫ばないで欲しい。

 気分が悪くなる。まさかそれを狙っての事だろうか? 

 さすが燕だ。人にできないことを平気でやってのける。

 

「ほい」

 

 右のジャブ。

 最初は様子見か。

 拳にそこまでの速さはない。

 俺が避けやすいように右肩を狙っている。ご丁寧に視線をそこに集中しているから、避けるなんて造作もない。

 

「金ちゃん、避けるの上手くなったね」

「お前は、変態になったな。スカートで戦うとか、ないわー。蹴りをしたら、下着丸見え」

「ふふーんだ。そう簡単には見せてあげないよーだ」

 

 とか言いながら蹴りをみまってくる。

 ただ蹴りが恐ろしく速くてスカートの中を確認することはできない。

 スカートの中に目が行っていると、攻撃を食らう寸法か。やるな、男心を的確に利用してくる。

 

「お前のパンツなんて見たくないわっ!!」

 

 だが、甘い。

 俺の周りには、超絶美人の清楚先輩、色気あふれる弁慶、普通に可愛い義経。

 弁慶さんの下着なんて何度見たと思ってるんだ。

 いまさら燕のパンツなど、どうという事もない。

 見るなら清楚先輩の方が良い。

 

「私は見たいぞ。燕、足を大きく振り上げろ~」

 

 なんか審判から変な応援が聞こえたが、それは置いておこう。

 とにかくこの攻撃を捌かないと。

 

 左右のワンツーからの上段蹴り。

 それを上体を逸らして躱すと踵落としの追撃。

 大きく後ろに後退すると、距離を詰めてまた連撃。

 ボディーは狙わず、手足に攻撃が集中している。

 ダメージを蓄積させて、動けなくする作戦か。

 納豆のようにネバネバ陰湿な奴。

 

「金ちゃんからの攻撃がないよっ!!」

「燕の汚いパンツが目に入って、今心のケアに忙しいの」

「それセクハラだからっ!! ちゃんと毎日洗ってるもんっ!!」

 

 燕の攻撃に熾烈さが増した。

 ただ、速さが増しただけで、攻撃一発の重みは変わらない。

 今までのやり取りで俺の力を大体予想したのだろう。明らかに加減されている。

 バカめ。初めからフルスロットルでやる人間がどこにいる。

 強い人間と戦う時は緻密に作戦を立てていくくせに、相手の力量が自分よりも大きく下だと油断するのがお前の弱点。伊達にお前から逃げ続けていたわけじゃないことを教えてやる。

 油断している上に舐めきっている状態だ。カウンターが狙いやすい。

 

「しまっ――」

 

 わざとらしく驚いた表情。

 燕の無防備に繰り出された右ストレート。

 投げてくださいと言わんばかりだ。

 これは完全に罠。

 燕は戦闘力はもちろんだけど、一番面倒なのは性格の悪さだ。

 相手の嫌がることさせたら右に出る者はいない。

 だから投げてと言わんばかりに差し出されたこの右手を投げるわけにはいかない。

 投げる瞬間に何かしてきそうだし。

 

「投げると思った? はい、燕、ざんねーん!! お前の乙女としてプライドはこれで終わりだっ!!」

 

 おそらく俺が投げの態勢に入ったところにカウンターを入れる気だったのだろう。

 お前の考えなど、お見通しだ!!

 懐に入らせたことを後悔させてやる。

 

 足運びを上手く利用して、懐から燕の背後に回り込む。

 こういう時に舞の歩法というのは役に立つ。

 で、背後に回った俺は、燕に抱き着くわけだ。変な意味ではなく。

 身体を反るようにして燕を持ち上げ、燕を放り投げるように後方に倒れ込む。

 

 バックドロップ。

 

 プロレス技こそ、正義。

 弁慶も良く使う。

 

 ハッハハ、スカートで戦闘なんてふざけた真似をしたお前が悪い。

 観客の皆さんに見てもらうんだな。

 ドゴォンという音が辺りに鳴り響いた。

 器用に受け身は取っているみたいだから、ダメージは少ないだろうけど、問題はそこじゃない。

 

「き、金ちゃん、私の負けで良いから、は、早く放してー!!」

「久しぶりの触れあいを堪能したいって言ってたじゃん。じっくり堪能してくれ」

「これじゃ、スカートの中見えちゃうよっ」

 

 実際見学に来ていたガクトとモロが前かがみ。

 燕が必死に手で押さえているから、見えてはいないだろうけど、見えそうで見えない方が興奮するんだとガクトが公言していたから、こっちの方が良いだろう。

 

「けしからん、実にけしからん、体勢だな!!」

「ち、ちょっと審判っ!! 私の負けで良いから、金ちゃんに止めるように言ってっ!!」

「……しょうがないなー。勝者坂田金時ー。さ、燕を放せ。私の脳内フォルダーには鮮明に保存したから、これ以上敗者を晒すような真似はするな」

 

 興奮しているアンタが言うな。

 

「……うう、私汚されちゃったよ~」

「ブルマ履いてたくせに汚されたも何もないだろ」

「乙女のスカートの中を覗いておいて、そう言うこと言うんだー」

 

 燕が冷たい視線を向けて来るが、非はお前にあるだろ。

 

「スカートで足を振り上げるとか、露出狂のそれだろ。乙女とかないわー。全国にいる乙女に謝れ」

「わーん、百ちゃん、金ちゃんが酷い事言う~!!」

「よしよし。まったく燕は美少女なんだぞ。苛めるな」

「じゃあ、先輩が慰めてあげてください」

 

 なんにしても、とりあえず俺の勝ち。

 ハンデが有ったとしても勝ちは勝ちなんだ。

 

「という事で、燕、勝利した俺が言う事はたった一つ」

「……近づくなとかは言わないで欲しいな。この負けて傷ついた心を抉るような真似は――」

「近づくな」

「鬼っー!!」

「あくまで納豆を持ったままではという話だ。まあ、納豆を常備しているお前だから、俺に近づくのは無理な話だな」

 

 ふぅー、悪は滅びた。

 俺の穏やかな日常は帰って来た。

 

「いいもん。なら納豆を持ってなきゃ良いんだもん」

「……まさか納豆まみれで近づく気か? なんて恐ろしい事を……」

 

 持たないで被ってくるとか、さすがに俺もそこまでするとは思わなかった。

 燕の納豆愛を舐めていた。

 ごめん、そこは謝る。

 

「どういう発想っ!? 普通に納豆を持たないって選択肢はないの?!」

「燕=納豆という方程式が成り立っている以上、それは無理」

「私は納豆が好きだけど、納豆じゃないよっ!! 乙女!!」

「全国の乙女に土下座してから、出直して来い」

「なんか、お前ら仲が良くて良いなー。私も混ぜろよ~」

 

 武神の目が既に納豆によって腐ってしまったらしい。

 あわれ。燕の被害者の末路か。

 九鬼にはきっといい医者がいるから、診てもらうと良い。

 

「なんだ、その残念そうな子を見る目は? 殴るぞ」

「いや、眼科でも行った方が良いと思いまして」

「よーし、その喧嘩買ったっ」

「燕、出番ですよ」

「ご飯ですよ、みたいに言わないで!! 金ちゃんが戦えば良いじゃない。私に勝ったんだし」

「ハァー、姉貴分を称していた燕さんが弟分が襲われそうになっている時に助けてくれないとか……がっかりだわー」

「ここでそれを言うなんて……」

「おねーちゃーん」

「ぐっ……勝負だよ、百ちゃん」

 

 燕が武神の前に俺を庇うようにして立ちふさがる。

 

「……お前の弟分、お前を置いて帰る気だぞ」

「え?」

 

 燕が振り返ると、そこに俺はいなかった。

 待たせている与一の下に行かないと。

 

「金ちゃん――カムバァァーーーック!!!」

 

 あーあ、遠くて聞こえない~。

 

 ◇◇◇

 

 燕と言う鬼を討伐した翌日、俺は非常に晴れた気分で学校に向かっている。

 

「弁慶、あまり飲みすぎたらダメだぞ。義経はきつく叱りつける」

「ごめんね~」

 

 この主従はホントにいつも通りだ。

 それをいつも通りだと感じられる程、俺の心は落ち着いている。それは非常に良い事だ。

 昨日までの俺だったら燕を警戒して、この光景も冷静に見れなかっただろう。

 

「与一、良いのか? お前のボス、マスコット的な位置にいるけど」

「知るか!」

「というかもうすぐ誕生日だね。プレゼントは純金の時計で良いよ」

「まず誕生日なのは俺たちで、お前は違うだろ。それと高校生にそんな高いもん要求すんな」

 

 やはり痛々しい発言がなければ、コイツはかなりの常識人。

 九鬼に用意させれば……みたいなことを言いそうな奴らに囲まれているというのに。

 

「そう言えば、お前、あの転校してきた先輩を討ち取ったらしいな」

「そう! そうなんだよっ!! 俺の安息は守られたんだ」

「お、おう……」

「ドン引きとか止めてくれる? 傷つく」

「お前が急にハイテンションになるからだろうが」

「金太郎ーきも~い」

「弁慶っ、そういう事は言ってはいけないと義経は思う」

 

 酔っぱらいめ、今度お前のちくわ全部食ってやるぞ。

 少しは義経を見習え。

 

「皆~」

 

 後ろから聞きなれた声が。

 あの声の持ち主は清楚先輩しかいない。

 怒ると怖いけれど、平常時はやっぱり癒される。

 

「やっほー」

「清楚先輩、ちわっす」

「ねぇねぇ、私には?」

「清楚先輩、御払いに行った方が良いですよ。背後霊が居ます」

 

 清楚先輩の後ろに、悪霊が居た。

 昨日討伐したはずなのに、図々しくも清楚先輩と自転車の二人乗りなんて……。

 

「金ちゃん、おはよー」

「…………」

「納豆は持ってないよん~」

「…………」

「せめて、会話してくれると嬉しいな」

「さよなら」

「酷いよっ! 清楚、金ちゃんが苛めるよ~」

 

 なんかこんな光景を昨日見た気がする。

 

「金君、燕ちゃんを苛めちゃダメだよ、め!」

「め!」

「……ハァー。おはようございます松永先輩」

「昔みたいにつーちゃんって呼んで欲しいな~」

「ごめんなさい。俺のしょぼい記憶だとそんな記憶がないようです。優秀な松永先輩の脳と違ってそんな過去はないんです」

「あーもう許して~!! 燕で良いから、その堅いしゃべり方やめて~」

 

 しゃべるのを止めるという選択肢が必要なんだけど。

 

「金君、燕ちゃんを苛めすぎだよ」

「俺が小さい頃、コイツにどれだけ苛められたか知ってますか?」

「でも、同じことしたら最低の人間になっちゃうよ」

「燕、お前、最低の人間だって」

「せ、清楚まで……」

 

 地面に手を着き、どよーんという言葉が疑似的に見えるくらい落ち込んでいる。

 清楚先輩、ナイス。

 

「つ、燕ちゃんっ?! 別にそう言う意味じゃ……」

「さすが清楚先輩。もっと言ってやってください」

「金君っ!!」

 

 とりあえず燕は放置で学校に向かう。

 どうせ、すぐなっとーとか言って復活するし。

 

「なっとー!!」

 

 単純な奴。

 これでも昔は少しばかり憧れもしたんだけどな。

 納豆の所以外は基本的にハイスペックだったし。

 まあ、そのプラスの点をすべてダメにするほどの納豆なんだが……。

 

 そういえば、藍○惣右介も言っていたっけ。

 

『憧れは理解から最も遠い感情だよ』

 

 確かにそうかもしれない。

 燕に憧れるなんて、とち狂ってしまった小さい頃の俺。たぶん、燕という存在を理解できずに、でも、理解できなかったからこそ憧れたんだと。

 精神的に大人に近づいた今の俺なら分かる……自分はバカだったんだと。

 

「金太郎~、おんぶ~」

「なぜに、酔っぱらう程飲んでしまうのか? そろそろ自分の限界を理解してくれない?」

 

 俺の周りの女の子って、致命的な欠陥を抱えている奴が多い。

 なぜだろうか?

 

「むー、金ちゃんと弁慶って良い感じだね」

「まあ、少なくとも燕よりは親しい関係だよね」

「おぇ~」

 

 色々と台無しなんですけど……。

 これで本当に吐いていたら、川に放り込むところだった。

 

「親しい関係?」

「……親しい関係」

 

 ちょっと自信がないけど、燕と比べれば皆親しい関係。

 

「取りあえず、姉御が女として終了しないために、学校に向かおうぜ」

 

 与一、やっぱりお前、良い奴だよね。

 

 

 ◇◇◇

 

「義経たちの誕生日会? なんでまた?」

「うむ! 三人揃って祝った方が盛大に盛り上がるであろう?」

 

 いつも元気なチビッ子、紋々が人のクラスに押しかけて来た。

 なんでも義経たちの誕生日会をしたいらしい。

 

「義経あたりは気を遣うだろうし、与一の不参加は目に見えている。まあ、弁慶は川神水とちくわだけあれば何でもいいんだろうけど、俺はやらないことをお勧めする」

 

 いくら偉人のクローンだからって、他の生徒にはあまり関係ないだろう。

 誕生日会なんて学校で行うなら、許可とそれなりの費用が掛かる。

 その掛かる費用を九鬼で負担するのであれば参加者も増えるだろうが、それなら学校で開催する必要はない。

 逆に九鬼の介入をさせずに、費用を生徒側で負担するなら参加者は多くはならないだろう。

 高校生の小遣いにそれほど余裕があるとは思えない。

 参加人数が少なければ、費用も捻出できないのでパーティーという程のものにはならない。

 なら、与一の部屋に集まってどんちゃん騒ぎした方が面白いと思う。

 

「であるか……。まあ、金時がそう言うなら仕方がないな」

 

 お前の中で俺は一体どれだけの人間なんだ?

 もしかして俺ってかなり尊敬されてる?

 ならもう少し敬われても良いと思うんだけど……。

 

「まあ、与一の部屋で騒げばいいさ。プレゼントなんかも、知らない奴から貰うより、知っている奴から貰った方が良いだろ? パーティーなんて見知らぬ奴が多ければ多いほどつまらないもんさ」

 

 ぶっちゃけ、義経たち関わりがある奴なんて、俺を除けばこのクラスに数人。

 義経たちが在籍するS組だって、親しくしている奴らなんて殆んどいないだろう。

 そんな中で誕生日会なんて開催されても、どうしたらいいか分からなくなるじゃないか。

 

「いや、そうとも限らないだろ」

 

 急に話に入ってきた男。直江大和。

 俺はコイツにかなり期待している。燕をどこか別の土地に連れて行ってくれるんじゃないかと。

 

「おっと、これはこれは年上キラーの直江君。とうとう、紋々にまで手を出す気か? さすが軍師。守備範囲の広さは凄いな」

 

 さすがに紋々にまで手を出すようなら、色々と考えないと行けない。

 紋々の弁では18歳とか訳の分からないことを言っているけど、それだと兄である英雄よりも歳が上になるから。

 見た目は小学生程度。

 そこに高校生が手を出したらいかんでしょ。

 Sクラスの禿は出しそうな気がするけど……。

 

「変な言い方するなよ。それと、誕生日会、良いんじゃないか? 皆でワイワイやれれば楽しいだろうしさ」

「じゃあ、良いんじゃないの?」

 

 いや、楽しいなら良いけどね。

 でも、コイツすげぇな。自分に全く関係ない人間のパーティーでどうやって楽しむ気なんだろう?

 社交性が高いとかそう言うレベルじゃないと思うんだけど。

 

「なんだ、金時よ。さっきと言っていることが違うではないか」

「いや、俺はあくまで自分の意見を言っただけだし。紋々の事だから、九鬼の力を借りないでやりたいんだろ? なら学生側の負担は大きくなる。お金の面とか。規模を大きくすればするほど、学生じゃきついぞ。それにこれはさっきも言ったけど、知らん奴がいっぱいいたら、楽しめないんじゃないか?」

「費用面ならなんとかなると思う。熊ちゃんとか、料理研究部に協力してもらえば……」

 

 熊ちゃん。

 このクラスで一番のグルメ家で、グルメネットワークなるものを持っている。

 簡単に言えば名産品と名産品の交換していろんな美味しい物を食べようとものだが、それにしたってそれなりの負担は出るだろう。

 料理研究部にしたって、材料費はただではないんだ。ケーキとかだけなら問題ないんだろうけど、他の料理まで振る舞うとなると結構な額になってしまう。

 それを負担させるのはさすがに拙いだろう。部費でおちたとしても。

 

「いや、それは拙いな。明らかに負担する人間が偏ってしまう。善意の協力というのは嬉しいが、それでは押し付けにしかならない」

 

 紋々、さすがは聡明。

 いつも偉そうにしているけど、ちゃんと他人の事を考えてあげられる優しい心を持つ幼女。

 

「紋々、やっぱ考え方は大人だよね」

「フハハハハ、我は九鬼ぞ!!」

 

 うん、そのうざい笑い方はまさしく九鬼だよ。

 

「俺の知り合いの伝手を使えば、材料とかは結構安く仕入れられると思うんだ。人数を確保できれば、一人500円くらい徴収するだけで何とかなると思う」

「余ったお金の処理はどうする気だ? ピッタリ使い切れると限らんだろ」

「そこは料理研の部費の足しにでもしてもらえばいいんじゃないか?」

 

 それは良いのだろうか?

 不当なお金は部活の予算を出す際に問題になるぞ。

 

「開催場所は?」

「ここの講堂を使わせてらえば良い。今から掛け合えばなんとかできると思う。そういう交渉は得意だからね」

「うむ……金時、どう思う?」

「良いんじゃないの? まあ、与一が参加するかは分からないけどさ」

「そこは坂田にお願いするよ。お前は与一と親しんだろ? 声を掛けてくれないか?」

「別に良いけど……」

 

 あいつ、極度の人見知りだぞ。

 騙して連れて来るしかないか? 

 でも、そんなことしたら、たぶん誕生会の間、ずっと不貞腐れている気が……。

 まあ、いいか。なんか好きなもんでも作ってやれば。

 

「うむ、行けそうだな。全責任は我が取ろう! 直江、金時、頼んだぞ」

「え、俺って何かすんの?」

「金時の料理はギガ美味だからな!! 我も期待している!」

 

 ギガとか死語じゃね?

 まあ、後輩の頼みだし、直江が仕切ってくれそうだから、大丈夫そうだけど……ホントに大丈夫か?

 

 義経たちの誕生日、明後日なんだけど……。

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