~雄二SIDE~
「一体なんなんだ、これは……」
「あ、坂本君」
「来るのがおせーよ。全部倒しちまったぜ?」
俺たちが教室を出て5分後、吉井達のもとへたどり着いたんだが……。
「どうしてDクラスの奴らがこんなに倒れてるんだ?」
島田達から聞いた数は確か12人位だったはずだ。だけどここに倒れている数は20人を余裕で越えている。
疑問に思った俺は、吉井達に聞いてみた。
「島田は12人位と言っていたはずなんだが……」
「確かに最初はその位だったんだよ。でも……」
「俺達が戦っているって情報が思ってたより早く知らされちまった、ってわけだ」
「そうだったのか……」
たとえそうだったとはいえ、いくらなんでも倒すのが早すぎる。どうしてだ……?
「……っと、とりあえず、Dクラス代表の首を取りに行かなきゃだな。お前らはどうする?」
「こうなった以上、どっちでもいいぜ」
「それなら、一緒に来てくれ」
「良いよ。ただし、条件付きね」
「条件……?」
そう言うと、吉井が耳を貸せと言うから足を曲げた。
「な!? お前、なぜそれを……っ!」
「こんなの、予想範囲内だよ。それより、どうする?」
「……わかった。その条件、飲む」
「そ。なら行くよ」
そう言うと、吉井と井上はさっさと歩いて行ってしまった。
「しかし、吉井はやはりAクラスに勝つために必要だな……」
吉井達の学力があれば、Aクラスなんて――――
『結局俺達や姫路の学力に頼ってんじゃねーか』
「………っ!!」
そうだ、学力には頼らないって決めたばっかりじゃなーか……っ!
頭ではわかってる。だが、学力を頼る作戦しか浮かんでこない。
「やはり、『学力が全てじゃない』という証明をあきらめるしか……っ、そうだ!」
俺は1つの考えにたどり着いた。
『学力が全てじゃない』という証明はできないが、これなら証明できる!
「吉井、ちょっといいか?」
「どうしたの? 坂本君。Dクラス代表の首を取りに行くんじゃ……」
「ああ。今じゃないが、Dクラス戦終了後、話がある。屋上に来てくれないか?」
「屋上、ね。わかった」
そう言うと、再び歩き始めた。
その後に続くようにして、俺もDクラスへ向かった。
~明久SIDE~
話ってなんだろう?気になるけど……今はDクラス戦に集中しなきゃ!
「「失礼しまーす」」
僕と文人は教室の扉を開けると、皆に聞こえるように大きな声で言った。
「吉井、井上……っ!」
「あ、平賀君見つけた。それじゃ、Fクラス吉井明久と……」
「同じくFクラス、井上文人がこの場にいるDクラス全員に勝負を申し込む!」
「「
物理
Fクラス 吉井明久 674点
井上文人 463点
VS
Dクラス×7 平均 186点
「ふぅ……。やっぱり低いなぁ……」
「だけどすげーな、明久。本気を出さないでその点数って……」
「だって本気を出すなって言われたんだもん」
僕達がそう話していると、Dクラスから驚きの声が上がる。
『おい、今の聞いたか?』
『本気を出さないであの点数って……』
『それじゃあ、本気を出したらどれだけ高いのよ!?』
そんなに驚く点数なのかなぁ、これって。僕にとっては全然低いんだけど……。
「まあいいや。文人、いくよ!」
「もちろんだ、明久!」
僕達が突撃するのを見て、あわてて身構える。だけど、無駄だよ?
「防御するなら、もう少し敏感になった方がいいよ」
Dクラス×7 0点
『『『うそだろ!?』』』
そう言って叫ぶDクラスの人達。
だけど現実なんだよねぇ、これ。現実逃避するのはやめようよ。
「さてと。残るは代表、お前だけだな」
「くそ……っ!」
そう言って平賀君は召喚する。それと同時に文人は召喚獣をぶん殴る。
……というか文人、せめて戦うくらいはしようよ。
Dクラス 平賀源二 0点
さっきの一撃で、平賀君の点数が0点になった。あっけないなぁ。
「文人、お疲れ様」
「サンキュ。しっかし、弱すぎんだろ。せっかくの試召戦争なのに、つまんなかったぜ」
「召喚してすぐに攻撃しなければ、そんなにつまらなかったと思うよ」
そう言って、僕は先生の方を見た。
それに気づいた先生は、僕の方を見て頷いた。
「勝者、Fクラス!」
こうして、先生の宣言と共に、Fクラスの勝利が確定した。
「……それで、話ってのは?」
Dクラスとの戦後対談が終わり、僕と坂本君は屋上にいた。
「ああ。Dクラス戦が始まる前、俺はお前に言ったよな? 『学力が全てじゃない』ということを証明したいと」
「うん。確かに言ったね」
それで僕は怒って、坂本君に冷たく接したんだっけ。
「それでミーティングの後、井上達に言われたんだ。結局学力に頼ってる、ってな。だから俺は、考えを改めた」
「まさか、試召戦争をやめる、なんて言わないよね? ここまでやって」
「もちろんだ。だから、俺は……」
そう言って口を閉ざしてしばらくすると、再び口を開いた。
「『どんなに学力が低い人でも高い人に勝てる』という証明に変えようと思う」
その言葉を聞いて、僕は目を見開いた。
とても驚いた。そんな答えが出るとは思っていなかったから。
「プッ……アハハハハハハッ!!」
「なっ……なんで笑うんだよ! 俺は真剣に話してるんだぞ!?」
「ごめんごめん、なんか知らないけど、おかしくって……」
僕は呼吸を整えると、笑いながら言った。
「僕はそれでいいと思うよ! 『雄二』!」
「!! 今、俺のこと……」
「それじゃあ僕、文人達を待たせてるから! じゃあね!」
「ったく……。ああ、またな、『明久』!」
その言葉を聞いて、文人達がいる教室へと向かった。
この時僕は、彼とほんの少しだけ、『友達』になれた気がした ―――――。