天才と信友と悲しい過去と   作:ゆん

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第16問 時は一気に4回戦へ

「すまぬ、負けてしまったのじゃ」

 

「秀吉、お疲れ様」

 

「秀吉はよく頑張ったよ」

 

「ゆっくり休んでてね」

 

戻ってきた秀吉に声をかけると、高橋先生の声が聞こえてきた。

 

「2回戦を始めますので、両者前に出てきてください」

 

「Aクラス、佐藤美穂が出ます。科目は物理でお願いします」

 

「よし、それじゃあ……島田、頼んだぞ」

 

「えっ、ウチが!? ウチの点数じゃ、勝てないわよ!?」

 

島田さんは勝てないと言うが、僕も島田さんが出た方がいいと思う。

 

よし、僕からもお願いしてみよう。

 

「島田さん、お願い。出てくれないかな……?」

 

「(ズキュンッ)ウチ、行ってくるわ!」

 

そう言うと島田さんは猛スピードで向かった。というか、すご……。

 

(((無自覚出タ――――)))←棒読み

 

後ろでは文人達が苦笑いをしている。どうしたんだろう?

 

そう思っていると、島田さんがこっちに戻ってきた。

 

……って、もう終わったの? いくら何でも、早すぎない?

 

「ごめん、やっぱり勝てなかったわ……」

 

「お、お疲れ様」

 

「頑張った、な……?」

 

「井上、どうして疑問形で返すの?」

 

島田さんが文人を睨む。そういう事をやっているうちに、3回戦が終了していた。

 

「3回戦って、誰が出たの?」

 

「こっちからは土屋、向こうからは性格が変態でおっさん化してる工藤愛子って人」

 

「変態で、おっさん化……?」

 

一体どういう人だったんだろうか。

 

もしかして、そこで土屋君が鼻血を出しながら倒れてるのと関係あるのかな?

 

「それで、どっちが勝ったの?」

 

「土屋の圧勝。あいつの保健体育の点数、572点だったんだもん」

 

「さすがはムッツリーニ、ってところかな」

 

「へぇ……」

 

そんなに高いんじゃ、ムッツリーニと呼ばれたり、女子に軽蔑されたりするわけだ。

 

「4回戦を始めますので、両者前に出てください」

 

「それじゃあ、僕が出よう」

 

そう言って出てきたのは久保君だった。

 

久保君、かぁ……。正直、苦手なんだよね。

 

男同士なのに、僕にラブレターを渡してきたり、休み時間になると、柱の後ろから僕のことを見てきたりするから。

あ、ヤバい。思い出すだけで鳥肌立ってきた。

 

向こうを見ると、久保君が僕に熱い視線を送ってきた。

 

うぅ……気持ち悪いよぅ……。

 

そう思っていると、僕を久保君から守るように間に誰か入ってきた。そこにいたのは……

 

 

「大丈夫か?明久」

 

 

僕の信友、井上文人だった。

 

 

 

~文人SIDE~

 

俺は明久に「安心しろ」と言ってから、久保と対峙した。

 

こいつは明久に振られてからもずっとストーカーをしたり、『プレゼント』とか言って物と一緒に手紙も渡すすっげーうざい野郎だった。

 

危害を加えてるわけではなかったから何もしなかったが、さすがに我慢の限界だ。

 

一騎討ちで誰にも邪魔をされない今、こいつが再起不能になるくらいボコボコにしてやる!

 

「科目はどうしますか?」

 

「現代国語、で良いな?」

 

「ああ、構わないよ」

 

「それでは、試合開始!」

 

「「試獣召喚(サモン)!」」

 

俺と久保が召喚する。さて、点数はどのくらいだ?

 

現代国語(F)

Aクラス 久保利光 427点

 VS

Fクラス 井上文人 661点

 

チッ、たったの427点かよ。

 

俺達をのぞいたら姫路と学年次席争いをする程だって言ってたから楽しみにしてたってのに。

 

だけどまぁ、ボコボコにできればどうでもいいか、点数なんて。

 

「……井上君、君に言いたいことがある」

 

「言いたいこと? なんだよ、それ」

やけに真剣な顔をしてるが、どうしたんだ?

 

少し緊張して待ってると、

 

「吉井君を僕にくれ!」

 

 

―――――プツリ。

 

俺の頭の中で何かが切れたが、今はそんなのどうでもいい。こいつをツブス!

 

「腕輪発動。3……2……1……、発射」

 

俺がそう言うと、久保の召喚獣の周りに一点の光もない、数えきれないほどの黒い剣が出てきた。

 

「とっとと消えやがれ、ど変態野郎!」

 

そしてその剣は久保の召喚獣に迫り、突き刺さった。

 

 ブスッ、ドスドス、ドシャッ!

 

あまりに痛かったのか、久保の召喚獣は悶絶しながら消えていった。

 

「し、勝者、Fクラス!」

 

俺は未だに呆然としている久保を放っておいて、明久達のところへ戻った。

 

「文人、お疲れ様」

 

「ごめん、僕のせいで…」

 

「別に良いって。気にすんな」

 

次は……麻菜と姫路か。

 

俺は試合を見ることに集中した。明久に話しかけている坂本を警戒しながら。

 

 

 

~雄二SIDE~

 

何だったんだ、今のは……。

 

「明ひs(ギロリッ)吉井、今の井上の腕輪能力はなんだったんだ?」

 

「文人のは、『死の剣』または『暗黒世界の剣の舞』っていうんだ」

 

……なんか、名前からしてどっちも怖いんだが……。

 

「というか雄二、もう試合が始まるよ?」

 

「あ、ああ」

 

明久にそう言われ、俺は試合の方に集中することにした。

 

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