天才と信友と悲しい過去と   作:ゆん

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第18問 決着の時

~奈乃SIDE~

 

「7回戦を始めます。両者前に出てください」

 

高橋先生の声と共に、あたしと亮介はAクラスの中央に立った。

 

今思えば、誰かのために亮介と戦うっていうのは初めてかもしれない。

 

あたしと亮介は学力や身体能力など、いろんなものがほぼ同じだった。

 

そのたびに「勝負!」なんて言って競い合って、明久達に迷惑をかけていたけれど……。

 

「……最近競わなくなったよな、俺達」

 

「昔はあんなに頻繁にしてたのにね……」

 

亮介も同じことを考えていたのか、あたしに話しかけてきた。

 

「じゃあさ、今、やる?」

 

「それは自分達のためにか? それとも……」

 

そう聞かれても、よくわからない。

 

今だって、自分がどうしてこんな提案をしたのかすら解らないというのに。

 

だけどもし、その問いに答えるなら、きっと……

 

 

「どっちも、じゃないかな?」

 

 

「……まさか疑問形で返されるとは思わなかった」

 

と、亮介は苦笑しながら言った。

 

しょうがないじゃん。まだあたしの中では疑問なんだから。

 

「それじゃあ、そろそろ始めるか」

 

亮介はそう言うと、目を閉じて再び開いた。その目には、真剣さしか伝わってこない。

 

「わかってると思うけど、最初から本気でいくよ」

 

「ああ。俺もそのつもりだ」

 

「それでは、試合開始!」

 

「「試獣召喚(サモン)!」」

 

あたし達がそう叫ぶと、魔方陣から召喚獣が出てきた。

 

見てみると、点数はまだ表示されていない。おそらく反応が遅れているんだろう。

 

それをわかっていながらも、あたしと亮介は召喚獣をそれぞれ突撃させる。

 

あたしの剣と亮介の剣が火花を散らして交わった時、お互いの点数が表示された。

 

それを見て、あたしは口元をつり上げた。

 

 

 

~明久SIDE~

 

皆が驚きの声を上げる中、僕はあまりの嬉しさに顔が緩んでしまっていた。

 

だって2人の成績が、前よりすごく高くなっていたから。

 

総合科目(F)

Aクラス 沢村亮介 18466点

 VS

Fクラス 宮代奈乃 18904点

 

「明久達ほどじゃないけど、やっぱすげーな」

 

「なんか、どんどん差をつけられてるような気がするよ」

 

「2人とも、勉強頑張ってたからね」

 

戦ってるのを見ると、どうしても昔を思い出す。

 

人の迷惑になってもずっと競い合っていた、あのころを……。

 

「懐かしいな……」

 

僕が思い出に浸っている間に、戦いは終盤へと差し掛かっていた――――。

 

 

 

~奈乃SIDE~

 

「っ…案外、しぶといん、だね……」

 

「当たり、前だ……。そうやすやすと、負けるか……っ!」

 

あたし達が戦い始めてからすでに30分も時間が経過していた。

 

普通ならこんなに疲れることはないんだろうけど、あたしや亮介、明久達には『あれ』がついている。

だからすぐに息切れしてしまう。

 

だからといって腕輪の能力も使う気はない。あたし達はきちんと実力で勝負したいのだ。

 

「それじゃあ、これを最後にしようか」

 

「そうだね。点数も点数だし……」

 

そう言ってあたしは再び点数を見た。

 

Aクラス 沢村亮介 351点

 VS

Fクラス 宮代奈乃 318点

 

まさかもう300点代になっちゃうとはね……。やっぱり亮介は凄いや。

 

でも、だからこそ……あたしは亮介に勝ちたい!

 

「いくよ、亮介!」

 

「こっちからも行くぞ!」

 

そう言ってあたし達はそれぞれの召喚獣に向かって突撃する。

 

 ザッ、ザシュッ!

 

「………っ、ハッ……」

 

「くっ……」

 

あたしは倒れそうになるのをなんとかこらえ、踏みとどまった。

 

一方の亮介はさすがに限界が来たのか、膝を折り地面についていた。

 

閉じそうになる目をがんばって開けて、点数を見た。

 

そこに書かれていたのは……

 

Aクラス 沢村亮介 0点

 VS

Fクラス 宮代奈乃 6点

 

よ、かった……。あたし、勝てたんだ……。

 

あたしはほっとして、駆け寄ってくる明久達を見ながら目を閉じた。

 

その時、こんな言葉が聞こえた。優しくて暖かい、大好きな人の声で。

 

 

『辛い中、お疲れ様』って――――。

 

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