第21問 謎の声と清涼祭準備
どこ……? どこにいるの……?
会いたいよ……。今すぐに会いたいよ……。
なんで、消えてしまったの……?
こんなことになってしまうなんて知ってたら、あの時話しかけていたのに……。
『友達になろう』って、言ったのに……。
神様、お願い……。彼と会わせて……。
会わせなくてもいい。場所さえ教えてくれればそれでいい……。
早く会いたいよ、
~明久SIDE~
「………?」
僕は誰かに呼ばれたような気がして、周りを見渡した。
しかしみんな僕を呼んだような態度をしていなかったので、空耳と思って話を進めた。
「えーっと、清涼祭の出し物を決めるので、意見がある人は手を挙げてください」
皆しばらく黙っていたが、その中でただ1人、土屋君が手を挙げていた。
「土屋君」
「…………写真館」
土屋君が言うとどうしてもR-18の方にいきそうだから却下しよう。
「君の言う写真館は問答無用で却下ね。他には?」
土屋君は首をブンブン振っていたけど無視しよう。
すると今度は秀吉と姫路さんが同時に手を挙げた。
「それじゃあ、秀吉からね」
「うむ。劇はどうじゃ? 一発勝負じゃが、思い出に残るものになると思うのじゃ」
「なるほど、劇か…。姫路さんは?」
「あ、はい。喫茶店なんてどうでしょうか? 例えば、メイド喫茶とか」
「それもいいね。文人、お願い」
「ん、了解」
そう言うと、文人は意見をパソコンに打っていく。
それにしても意外だなぁ、文人が自分から書記になるなんて。
っと、よく見ると島田さんが手を挙げていたじゃないか。
「ごめんね。どうぞ、島田さん」
「あ、いや、これは意見というか質問なんだけど……」
質問? なんとなく予想がつくけど、聞いてみよう。
「何?」
「その……ウチ達だけで決めちゃっていいの? 出し物」
やっぱりか。
今更だけどこの教室にいるのは僕、文人、奈乃、澪、麻菜、竜牙、秀吉、優子さん、姫路さん、島田さん、土屋君、工藤さんだけだった。
亮介君と裕実は高橋先生に呼ばれて、仕事を手伝っている。
雄二はFクラスの人に連れられて、今野球をしている。それに霧島さんも同行していた。
「良いんじゃない? ここにいないってことは何でもいいんだろうからさ。それに雄二にも決めといてくれって頼まれてるからさ」
「そう、なの? ならいいんだけど……」
僕がそう言うと島田さんは納得したのか、席に座った。
再び聞こうとしたら、皆が帰ってきた。もう勝敗が決まったのかな?
いや、考えられるのは1つだけだけど…。
「お疲れ。どっちが勝ったの? それとも……」
「ああ、鉄人が来た。しかも原因は俺だって言いやがった」
「……私がいなかったら補習室に連行されていた」
「そ、そうなんだ」
仕方ないかもしれないけど、これまでの雄二の態度を見てくればそう思うか。
「今、清涼祭の出し物を決めてるから、意見がある人は挙手してね」
僕がそう言うと、早速1人が手を挙げた。
あの人はDクラス戦で雄二に生贄にされていた人だから……。
「須川君」
「メイド喫茶も斬新で良いが、ここは味勝負で中華喫茶はどうだ? 本格的なウーロン茶や簡単な飲茶を出したりするんだ」
「中華喫茶か、良いね。文人、よろしく」
「ほーい」
えーっと、今出ているのは劇にメイド喫茶に中華喫茶か。
少ないかもしれないけど、そろそろ決めた方がいいかもね。
「それじゃあこの中から採決を取るから、やりたいというものに手を挙げてね」
~集計中~
えーっと、この中で一番多いのはメイド喫茶だね。
「じゃあ、ホール班とキッチン班に分けるから、ホール班は右側、キッチン班は左側に向かってね」
そう指示を出すと、それぞれ左右に分かれた。それじゃあ、僕はキッチン班にしようかな。
そう思って左側に行こうとすると、雄二に声をかけられた。
「明ひs(シャッ)……吉井、お前はどっちもやってくれないか?」
「え、それってホール班もってこと?」
僕がホール班に行ってもあんまり意味ないように思えるけどなぁ。
だけど別にいいか、両方やっても。
「わかった。だけど人手が足りない方中心でやってくからね」
「それでいい。悪いな」
「気にしないで」
けどとりあえずキッチン班の方にいるかな。
そう思い再び行こうとしたら、今度は姫路さんと島田さんに声をかけられた。
「吉井! そ、その……」
「私達ってどっちに行った方がいいですか!?」
え? 別に好きな方で良いと思うんだけど……。
「とりあえずあの日のこともあるし、姫路さんはホール班ね」
「う、わかりました……」
「島田さんはホール班に行ってほしいけど、料理も上手だしなぁ…。だけどやっぱりホール班がいいと思うな」
「ほ、ほんと!? じゃあホール班にするわ!」
島田さんはそのままホール班の方に行ってしまった。とてもウキウキしながら。
この会話の中に喜ぶようなことがあったっけ?
そう考えていると、放送が流れた。
『2年Fクラスの吉井明久君、至急学園長室に来てください。繰り返します、2年Fクラスにいる……』
え、僕? 何か呼ばれるようなことをしたっけ?
それに今は、亮介君達もいるはずじゃあ……。
「とりあえず、行ってくるね」
「おう、気をつけてな」
文人にそう伝えて、僕は学園長室へと急いだ。