しばらくすると学園長室につき、僕はノックをして中に入った。
「失礼します、学園長」
「入っていいとは一言も言ってないさね」
「いいからとっとと用件を言ってくださいババァ長……あ、失礼しました」
「ハァ……まあいいさね」
いけないいけない、つい悪口を言っちゃった。
ま、学園長も別にいいと言ってくれたし、気にしなくていいか。
さてと……。フーン……あんなところに仕掛けてるんだ。
僕は亮介君と裕実と目で会話をして、学園長に静かにするように手話で伝える。
2人が頷いたのを確認してから、僕は学園長室のとある一点へと向かう。そして、
「おーっと、足が滑ったぁぁぁぁぁぁっ!!」
「!?」
おもいきり足を前方へと伸ばした。
学園長もこの行動は予想していなかったらしく、驚いたまま見ているだけだった。
そして滑ってしまった僕の足は
ガシャァァァァン!
「ふぅ……すみません、学園長」
「あんた、一体何して……っ!?」
学園長は文句を言おうとしたけど、僕が持っているものを見て言葉を止めた。
何故って? それは僕がさっき壊した盗聴器を持っていたからだ。
「おそらく、教頭が隠しておいたものだと思いますよ? あなたの秘密を握るために」
たった今、さも簡単にその機会をなくしてやったけど。
「すまないね、吉井」
「いえいえ。だけどそれなら、呼ばれた理由を話してほしいんですけど……」
「……仕方ないね。全部話すよ」
そう言うと、学園長は呼ばれた理由、そして僕にやってほしいことを話した。
「今回の召喚大会の景品の中に、副賞で腕輪があるだろう? あれにある欠陥が見つかったんだよ」
「はぁ……それなら、回収してしまえばいいじゃないですか」
僕がそう言うと学園長は気まずそうな顔をし、その代わりに亮介君と裕実が話してくれた。
「それが教頭が大々的にPRしたから回収が出来なくなったんだ。それに今回は新技術のお披露目も兼ねているしな」
「……いきなり回収したということになれば新技術の存在自体疑われ、今後の学園の運営に関わってしまうんです」
「つまり、学園長は自分の無能さをさらしたくないと?」
「もう少し言葉を選んで言ってほしかったね……」
おっと、ついつい本音が出てしまった。ヤバイヤバイ。
あーあ、学園長が沈んじゃった……。
僕は咳払いして、改めて学園長に聞いた。
「それで、僕は何をすればいいんですか?」
復活した学園長は僕の方を見て言った。
「実際は召喚大会に出て優勝してほしかったんだが……」
あ、そっか。点数が高すぎるから僕や文人達は出ちゃいけないってことになったんだっけ。
やりたかったなぁ、召喚大会……。
「そこでアンタにはFクラス代表の坂本雄二に出るよう説得してほしいんだよ」
「え、雄二に、ですか?」
確か雄二は神童と呼ばれてたから点数が高い。だけど好き好んで出たりするかなぁ?
「学園長、それは無理な気がするんですが」
「だから『これ』をエサにしてほしいんだよ」
そう言って学園長が出してきたのは長方形になっている紙が2枚。
疑問に思ってそれを見てみた。僕はそこに書いてあったのを見て、つい笑ってしまった。
「わかりました。頼んでみます」
「頼んだよ」
「はい。それでは」
僕は学園長に一礼をして、部屋を出た。
ちなみに雄二とこのことについて話(という名の脅迫)をしたら(生まれたての子鹿のように震えながら)快く引き受けてくれたよ♪