天才と信友と悲しい過去と   作:ゆん

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第27問 探し人と明久の謎

ふぅ……。ついみんなの前であの事を言っちゃったよ。

 

声は小さめにして言ったから、聞こえてはないと思うけど……。

 

さて、とりあえず行かなきゃね。

 

「あれ、明久どこに行くの?」

 

「ちょっと用事のある人がいてね、今会いに行ってくるよ」

 

「了解、気をつけろよ」

 

そう言って文人達は僕を見送ってくれた。

 

さっきのことがあったから一筋縄ではいかないと思ってたけど……案外すんなり行かしてくれたね。

 

えーっと、確かこっちに向かったはず……。

 

そう思いながら、周りをキョロキョロ見渡してある人を探す。

 

「……あ、いた」

 

僕の視線の先には、さっき営業妨害をしてきた2人がいた。

 

「どうも、さっきぶりですね」

 

「あ、お前はさっきの!」

 

「おい、さっき言ったことは本当なのかよ!?」

 

やっぱり聞いてくるよね……。

 

だけどここではあまり話しちゃいけないことだろうから、場所を変えないと。

 

「とりあえず移動しませんか? ここで話すのはちょっと……」

 

「あ、そうだな。悪い」

 

「いえ、気にしないでください。仕方ないと思うので」

 

僕だってさっき言った言葉を言われたらこうなってるだろうしね。

 

そう思いながら僕達は、人目の少ない場所へと移動した。

 

僕の服の襟元に、余計な物をつけながら。それにこっちの会話が、よく聞こえるように。

 

 

 

しばらくして僕達は、人がいない場所へ到着した。

 

「そんで、あれは本当なのか?」

 

「ええ、本当ですよ。じゃなきゃ2人にあんなことを言いませんよ」

 

未だ怪しんでる2人に僕は微笑む。

 

というか今日、いっぱい微笑んでるなぁ……。顔が引きつってもおかしくないよ。

 

すると2人はようやく信じてくれたようだ。

 

「そんじゃあ聞くけどよ、あいつらはいいのか?」

 

「あいつら、とは?」

 

「俺が胸ぐらを掴もうとした時に、お前の身を心配して駆けつけてた奴らのことだよ。今回の件は、生死を左右してもおかしくないんだぞ?」

 

ああ、そのことか。確かに生死を左右してるけど……。

 

「大丈夫です。僕は今回の件で死んでも構いません」

 

「あいつらは気にしねぇ、ってか?」

 

「いや…多分すっごく悔むでしょうね、僕を助けられなかったことを」

 

「は? だったらなんでだ?」

 

2人は僕の言葉に首を傾げる。そりゃそうだよね。

 

だけど僕はそれでも気にしない。

 

 

「だって僕は――――本来ならもう、死んでいるはずなんですから」

 

 

僕の言葉に、2人は目を見開いた。

 

 

~文人SIDE~

 

『だって僕は――――本来ならもう、死んでいるはずなんですから』

 

 

「え……どういう、事……?」

 

「明久、何を言ってるの……?」

 

俺達はこの言葉を聞いて、ただ驚くことしかできなかった。

 

気づいてる人は少なからずいると思うが、土屋が明久の服の襟に盗聴器をつけ、明久とあの2人が話しているのを聞いていた。

 

しかしその内容は、俺達にとって理解しがたいものだった。

 

さっきから聞こえてきて唯一わかったことは、『明久がかかわっているのは生死を左右する事』と『明久は本来なら死んでいる』という事だった。

 

それを聞いた俺達は何も発せられず、やっと出たのが疑問の声だった。

 

とりあえず、明久達の話に耳をかたむけておこう。

 

『お前、何言ってんだ? さっきの言葉、どういう事だよ?』

 

『いえ、こちらの話ですので。それより、もう帰ってもいいですか? 話すべきことは話しましたし、先輩達もあまり暇ではないんじゃないんですか?』

 

『あっ、そろそろ試合が始まるな! じゃあ行ってくる!』

 

『いってらっしゃい。ああ、一応で言っておきますけど、もし僕達に被害が及ぶようなことをしたら……ユルシマセンカラネ???』

 

『『了解しましたっ!!』』

 

その後、バタバタと走っていく音が聞こえた。おそらくあいつらが去って行ったんだろう。

 

俺は一息ついて、皆の方に向き直った。

 

「さて、どうする?」

 

「どうするって言われても……」

 

「明久は明久で何かあるんだろうし、かといって何もしないのもな……」

 

「だよなぁ……」

 

『そんなに悩まなくていいんだよ?』

 

俺達がため息をついていると、盗聴器から明久の声が聞こえてきた。

 

しかしそれは、他の誰かと話しているものではなかった。

 

いや、確かに明久は話しかけている。

 

だがそれは、盗聴器の向こうで話しているんじゃない。盗聴器を通して(・・・・・・・)話しているのだ。

 

何で……そう思っていると、明久の笑い声が聞こえてきた。

 

『フフッ、皆『何で……』って思ってるよね? 理由は簡単、盗聴器が襟にある事を知ってたからだよ……って、そっちからは話しかけられない構図になってるね、これ』

 

「「「!?」」」

 

明久のこの言葉を聞いて、俺達は驚くことしかできなかった。

 

だってこの言い方は、盗聴器を調べながら話しかけているということなんだから。

 

そんな俺達をお構いなしに明久はどんどん話を進めて言った。

 

『ま、いいや。とりあえず用件を話しちゃうから』

 

明久が俺達に用件……? 一体何なんだ?

 

『今の話、できればみんなにはあまりかかわってほしくないんだ。さっきの話の通り、僕がやっていることは命がけなんだ。できれば手伝ってほしいとは思っているけど……でも、今回の事に皆を巻き込むことはできない。だから……ごめん。それだけだよ』

 

明久がそう言い終えると同時に、ガシャッという音が聞こえた。

 

土屋に聞いてみたら、盗聴器が壊されたとか。

 

 

明久……お前は一体、何をやってるんだ? そして、俺達の前に笑顔で現れてくれるのか?

 

 

俺はただ、それだけを考えていた。

 

 

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