僕は壊した盗聴器を見ながらふぅ、とため息をついた。
それと同時に、さっきの出来事を後悔していた。
(まさか、皆にあんなことを言っちゃうなんてな……。今から戻って質問攻めにあわないかな? だけど戻らなきゃいけないし……。仕方ない、戻ろう。文人達に
再びため息をついた僕は、質問攻めにあわないことを祈りながらFクラスへと戻った。
クラスに戻って扉を開けた途端に皆から視線を感じたが、それを無視して文人達のところへ近づいた。
皆と同じように僕のことを見ていた文人達はさっきのこともあったからなのか、僕の行動にただ呆然としていた。
そんな文人達の様子などお構いなしに、文人だけに聞こえるように小さな声でぼそりと呟いた。
それを聞いた文人は「は?」と小さく声を漏らしたが、何かを言われる前にさっさと退散して皆と同じように仕事を開始した。
仕事中にどこか上の空な文人を見て申し訳なく思ったが、やるべきことだったから仕方ないと自分を無理やり納得させて、逃げるように食材が置かれている倉庫へと向かった。
~文人SIDE~
『絶対に、女子全員と亮介君と秀吉をFクラスから出させないでほしい』って……一体どういうことなんだ?
俺は明久にそう言われてから、ずっとその事を考えていた。
すると明久がクラスのやつに何かを頼まれたのか、クラスから出て行った。
ピシャンと完全に扉が閉まると、亮介達が一斉に俺のところへ駆け寄ってきた。
「文人、明久は何て言ってたんだ?」
「女子全員と亮介と秀吉をFクラスから絶対出すな、だとよ」
「どういうこと?」
「俺に聞くな。さっきからずっとそればっか考えてたんだからよ」
そのせいかかなり疲れたし……。
あーあ、こうなることはわかってたんだから、考えずにじっと待ってりゃよかったぜ。
俺達がうるさく会話していると、いきなり扉が開いて男の声が聞こえた。
「お前ら全員動くなっ! 少しでも動けばナイフでぶっ刺す!」
扉の方を見てみると、覆面を被っている奴らが3人いた。その手には全員ナイフを持っている。
それを確認した俺は、向こうに注意を逸らさずに亮介と竜牙と目で会話を始めた。
(おい、どーするよ?)
(3人か……。いつも通りでいいか?)
(了解! 文人に亮介、調子に乗って隠し武器を持ってる可能性を捨てんなよな!)
(わかってるっつーのっ!)
(そう言う竜牙、お前も忘れるなよ)
目で会話をし終えた俺達は、こっちに近づいてくる1人の男をじっと見つめた。
そして俺達との間隔が残り3歩くらいになった瞬間――――
「「「はぁぁっ!!」」」
「はっ……、のわぁぁぁぁぁぁ!!??」
――――その男の顎、腹、脛をそれぞれ蹴り飛ばした。
いきなりのことで反応できなかった男はなす術がないまま蹴り飛ばされ、痛みに悶絶しながら気絶した。
男の仲間達は突然のことに呆然としていたが、状況整理が終わったのかナイフを前に出しながら突進してきた。
その間に亮介はこの場にいた全員を1ヶ所へと集め、俺と竜牙はあいつらを迎え撃つ構えをしていた。
そしてあいつらがナイフを振り上げて俺達に刺そうとした瞬間、足を上に一気に持ち上げた。
一瞬の静寂の後、クラス内にカランッ、という音が響いた。
男達がいきなり感じた手の痛みで顔を顰めたのを確認し、手で拳を作って俺は腹に、竜牙は顎にパンチをぶちかました。そして逃げないように押さえつける。
その後亮介が気絶した男を引きずってこいつらの近くへ放り投げ、素早く丁寧にかつ押さえてる俺達の手を巻き込まないようにしながら、縄できつく縛り上げた。
亮介は一息つくと、唯一気絶していない男へと話しかけた。
「言え。どうしてここを襲撃した?」
「はっ、誰が言うかよ」
「そうか。ならばこちらが何をしても許す、ということだな?」
「ちっ……簡単に言うと、ここの襲撃はただの囮だよ。増援が来ないために、な」
「増援? どこにだ?」
「お前らの食料が置いてある倉庫にだよ」
「なっ!?」
男がそう言うと、いきなりゴリラが叫んだ。うるせぇな、いきなりなんだ?
するとゴリラは顔を歪ませながら、とんでもない言葉を口にした。
「まさか、お前らの目的は明久か!!」
――――――明久、だと?
ゴリラの言葉を聞いた瞬間、俺は亮介の静止を無視してクラスを飛び出した。
実は清涼祭の後、ハーメルン限定で合宿編に入る前に日常編をやろうと企画しています。
なので皆様がやってほしい、またはこんなのみたい、というのがありましたら感想でもメッセージでもかまいません。ぜひ教えてください。
期間は清涼祭終了まで。リクエストの数は問いませんが、多くなりすぎたら打ち切らせていただきます。
それでは、これからもよろしくお願いします。