天才と信友と悲しい過去と   作:ゆん

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第30問 明久の行方

~文人SIDE~

 

「「「明久っ!」」」

 

俺達はクラスに着くなり、大声で明久の名前を呼んだ。

 

クラスのやつらや客が呆然とこっちを見てるが、そんなの今は気にしてられねぇ!

 

すると近くにいた秀吉と優子がこっちに駆け寄ってきた。

 

「一体どうしたのじゃ!?」

 

「もしかして、明久君に何かあったの!?」

 

「え?」

 

「明久、まだ帰ってないの?」

 

優子がそう言ったのを聞いて、奈乃が優子に聞き返した。

 

すると優子が無言で頷いたので、俺は踵を返そうとした。しかし、目の前にいた亮介と麻菜に止められる。

 

「なんでまた止めるんだよ!」

 

「落ち着け! 最悪な場合だけを考えるな!」

 

「そうだよ! もしかしたら、誰かと話してて遅くなってるだけかもしれないし!」

 

「それは、そうだけど……」

 

今まであったことを考えると、どうしてもジッとしていることができない。

 

無言でその場にしゃがみこんだ俺を見て、亮介は話しかける。

 

「次は大会の準決勝戦なんだ。それに坂本達がでるから、アドバイスしているのかもしれないぞ?」

 

「準決勝……」

 

そうか、明久のことばっか考えてて、肝心の清涼祭のことを忘れてた。

 

確かに準決勝は時間的に今からだし、途中で裕実がいなくなったのも頷ける。準決勝戦の審判をするって言ってたからな。

 

だんだん落ち着いてきたのでゆっくり顔を上げると、そこには呆れながらも優しい笑みを浮かべている亮介がいた。

 

俺は立ち上がって亮介に謝罪をした。

 

「悪い、確かに落ち着けてなかった……」

 

「気づけさえすればいいんだ。ほら、店を手伝うぞ?」

 

「おうっ!」

 

俺達は笑いあい、店の手伝いにとりかかった。

 

 

 

あれから10分後、裕実がゴリラ達と一緒にクラスへ戻ってきた。

 

裕実は周りを見渡してから、俺達に話しかけた。

 

「……あの、明久はまだ戻ってないんですか?」

 

「ああ……。裕実達は見てないんだよな?」

 

「……はい」

 

しばしの沈黙。すると土屋が話しかけてきた。

 

「…………吉井を探してるのか?」

 

「そうだが……まさか土屋、どこかで見かけたのか?」

 

「…………見てはいない。だが、今日のために防犯カメラを設置してくれと頼まれた」

 

「何!? それは本当か!?」

 

「土屋、それは今すぐ見れるか?」

 

「…………(コクリ)ついてこい」

 

土屋はそう言って走り出したので、俺達は慌てて後を追った。

 

 

 

しばらくすると、土屋は男子更衣室に入っていった。

 

俺と亮介と竜牙はそのまま入ろうとしたが、奈乃と裕実と澪と麻菜は動きを止めた。

 

竜牙が「どうした?」と話しかけると、4人はうろたえながら「入っていいの?」と聞いてきた。

 

それを聞いた亮介が「かまわない」と許可すると、少し躊躇してから入ってきた。

 

土屋を見てみると、ロッカーの中に隠していたパソコンを起動させ、素早くキーを操作していた。

 

すると何も映していなかった画面が光り、いくつかの校内を映し出した。

 

「これは……校内の監視カメラか」

 

「でもま、土屋の監視カメラだからローアングルが多いな」

 

土屋……こんな時まで本領発揮すんなよ……。

 

っと、こんなこと思ってる場合じゃねーな。えーっと、明久はと…。

 

「どこにも明久の姿はないみたいだね…。土屋、これ以上数は増やせないの?」

 

「…………音声モニターなら57ヶ所」

 

「土屋、音声に切り替えてくれ」

 

土屋は頷くと、再びキーを操作して音声モニターへと切り替えた。

 

音声だから耳で探すしかないため、俺達は手に耳を当てて神経を集中させた。

 

するとある場所から、明久の声が聞こえてきた。

 

それに土屋も気づいたのか、キーを操作して音声を絞り込んだ。そこから明久と教頭の画像が出てくる。

 

「…………ビンゴ」

 

「なんとなく予想はついてるけど……念のため、場所を教えて」

 

「…………(コクリ)場所は教頭室」

 

「やっぱりか…!」

 

土屋から場所を聞くと、亮介と裕実が顔をしかめた。

 

どうしたのかと思い、俺は2人に話しかけた。

 

すると亮介は頭をかきながら理由を説明してくれた。

 

「この前、明久が学園長室に呼ばれただろう? あの時俺と裕実も一緒にいたから知ったんだが、実は教頭がとんでもないことをしていたんだ。時間がないからどんなことかは飛ばすぞ。話が終わってその後、明久は俺達とクラスに戻らないでどこかに行ったんだ。どこかは教えてくれなかったが、多分その時に教頭室に……」

 

「「「なっ!?」」」

 

亮介の話を聞いて、俺達は驚愕した。

 

たとえ亮介の憶測だとしても、明久がそんなことをしているとは思わなかったから。

 

それを聞いた俺達は教頭室に行こうとしたが、それを麻菜に止められた。

 

俺達は文句を言おうとしたが、その考えは麻菜の表情を見た瞬間になくなった。

 

 

 

 

 

――――その時の麻菜は、美しいはずなのに怖い笑顔を浮かべていたから。

 

 

 

 

 

麻菜はゆっくり立ち上がると、土屋以外はついてくるように促した。

 

俺達はそれに従い、土屋に礼を言ってから麻菜の後を追った。

 

そして麻菜が向かった先は学園長室で、中に入ると無言でパソコンを起動した。

 

ババァがいないことに疑問に思いながらパソコンの画面を覗くと、そこにはある場所が映っていた。

 

その場所は、俺達が向かおうとしていた――教頭室だった。

 

 

 

~明久SIDE~

 

僕は今、教頭室で教頭と対峙している。

 

理由は簡単、教頭……いや、竹原の今までの悪事をリストアップし終えたからだ。

 

僕はその資料を竹原に投げ渡す。

 

「信じられないならそれを見てみたらどう? 自分のことなんだから、嘘かどうかわかるでしょ?」

 

「っ、貴様…!」

 

嘲笑してそう言った僕を睨みつけ、机に隠してあった銃を僕に向ける。

 

普通ならここで怖じ気づくところだろうが、僕は予想していたため怖がることもしなかった。

 

僕は相変わらず睨みつけながら銃を向ける竹原にこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ――――決着をつけようか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

直後、竹原の撃った弾が、僕の左腕に直撃した。

 

 

 

 

 

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