~文人SIDE~
「「「明久っ!」」」
俺達はクラスに着くなり、大声で明久の名前を呼んだ。
クラスのやつらや客が呆然とこっちを見てるが、そんなの今は気にしてられねぇ!
すると近くにいた秀吉と優子がこっちに駆け寄ってきた。
「一体どうしたのじゃ!?」
「もしかして、明久君に何かあったの!?」
「え?」
「明久、まだ帰ってないの?」
優子がそう言ったのを聞いて、奈乃が優子に聞き返した。
すると優子が無言で頷いたので、俺は踵を返そうとした。しかし、目の前にいた亮介と麻菜に止められる。
「なんでまた止めるんだよ!」
「落ち着け! 最悪な場合だけを考えるな!」
「そうだよ! もしかしたら、誰かと話してて遅くなってるだけかもしれないし!」
「それは、そうだけど……」
今まであったことを考えると、どうしてもジッとしていることができない。
無言でその場にしゃがみこんだ俺を見て、亮介は話しかける。
「次は大会の準決勝戦なんだ。それに坂本達がでるから、アドバイスしているのかもしれないぞ?」
「準決勝……」
そうか、明久のことばっか考えてて、肝心の清涼祭のことを忘れてた。
確かに準決勝は時間的に今からだし、途中で裕実がいなくなったのも頷ける。準決勝戦の審判をするって言ってたからな。
だんだん落ち着いてきたのでゆっくり顔を上げると、そこには呆れながらも優しい笑みを浮かべている亮介がいた。
俺は立ち上がって亮介に謝罪をした。
「悪い、確かに落ち着けてなかった……」
「気づけさえすればいいんだ。ほら、店を手伝うぞ?」
「おうっ!」
俺達は笑いあい、店の手伝いにとりかかった。
あれから10分後、裕実がゴリラ達と一緒にクラスへ戻ってきた。
裕実は周りを見渡してから、俺達に話しかけた。
「……あの、明久はまだ戻ってないんですか?」
「ああ……。裕実達は見てないんだよな?」
「……はい」
しばしの沈黙。すると土屋が話しかけてきた。
「…………吉井を探してるのか?」
「そうだが……まさか土屋、どこかで見かけたのか?」
「…………見てはいない。だが、今日のために防犯カメラを設置してくれと頼まれた」
「何!? それは本当か!?」
「土屋、それは今すぐ見れるか?」
「…………(コクリ)ついてこい」
土屋はそう言って走り出したので、俺達は慌てて後を追った。
しばらくすると、土屋は男子更衣室に入っていった。
俺と亮介と竜牙はそのまま入ろうとしたが、奈乃と裕実と澪と麻菜は動きを止めた。
竜牙が「どうした?」と話しかけると、4人はうろたえながら「入っていいの?」と聞いてきた。
それを聞いた亮介が「かまわない」と許可すると、少し躊躇してから入ってきた。
土屋を見てみると、ロッカーの中に隠していたパソコンを起動させ、素早くキーを操作していた。
すると何も映していなかった画面が光り、いくつかの校内を映し出した。
「これは……校内の監視カメラか」
「でもま、土屋の監視カメラだからローアングルが多いな」
土屋……こんな時まで本領発揮すんなよ……。
っと、こんなこと思ってる場合じゃねーな。えーっと、明久はと…。
「どこにも明久の姿はないみたいだね…。土屋、これ以上数は増やせないの?」
「…………音声モニターなら57ヶ所」
「土屋、音声に切り替えてくれ」
土屋は頷くと、再びキーを操作して音声モニターへと切り替えた。
音声だから耳で探すしかないため、俺達は手に耳を当てて神経を集中させた。
するとある場所から、明久の声が聞こえてきた。
それに土屋も気づいたのか、キーを操作して音声を絞り込んだ。そこから明久と教頭の画像が出てくる。
「…………ビンゴ」
「なんとなく予想はついてるけど……念のため、場所を教えて」
「…………(コクリ)場所は教頭室」
「やっぱりか…!」
土屋から場所を聞くと、亮介と裕実が顔をしかめた。
どうしたのかと思い、俺は2人に話しかけた。
すると亮介は頭をかきながら理由を説明してくれた。
「この前、明久が学園長室に呼ばれただろう? あの時俺と裕実も一緒にいたから知ったんだが、実は教頭がとんでもないことをしていたんだ。時間がないからどんなことかは飛ばすぞ。話が終わってその後、明久は俺達とクラスに戻らないでどこかに行ったんだ。どこかは教えてくれなかったが、多分その時に教頭室に……」
「「「なっ!?」」」
亮介の話を聞いて、俺達は驚愕した。
たとえ亮介の憶測だとしても、明久がそんなことをしているとは思わなかったから。
それを聞いた俺達は教頭室に行こうとしたが、それを麻菜に止められた。
俺達は文句を言おうとしたが、その考えは麻菜の表情を見た瞬間になくなった。
――――その時の麻菜は、美しいはずなのに怖い笑顔を浮かべていたから。
麻菜はゆっくり立ち上がると、土屋以外はついてくるように促した。
俺達はそれに従い、土屋に礼を言ってから麻菜の後を追った。
そして麻菜が向かった先は学園長室で、中に入ると無言でパソコンを起動した。
ババァがいないことに疑問に思いながらパソコンの画面を覗くと、そこにはある場所が映っていた。
その場所は、俺達が向かおうとしていた――教頭室だった。
~明久SIDE~
僕は今、教頭室で教頭と対峙している。
理由は簡単、教頭……いや、竹原の今までの悪事をリストアップし終えたからだ。
僕はその資料を竹原に投げ渡す。
「信じられないならそれを見てみたらどう? 自分のことなんだから、嘘かどうかわかるでしょ?」
「っ、貴様…!」
嘲笑してそう言った僕を睨みつけ、机に隠してあった銃を僕に向ける。
普通ならここで怖じ気づくところだろうが、僕は予想していたため怖がることもしなかった。
僕は相変わらず睨みつけながら銃を向ける竹原にこう言った。
「さぁ――――決着をつけようか」
直後、竹原の撃った弾が、僕の左腕に直撃した。