天才と信友と悲しい過去と   作:ゆん

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やばい、ストックがきれる……。



第32問 謝罪と談話

~文人SIDE~

 

俺達は今、明久の家に来ている。が、とてつもなく空気が重い。重すぎる。

 

俺達を呼んだ張本人の明久はさっきから一言も話さないから余計にだ。

 

そしてその沈黙に耐えかねたのか、亮介が明久に話しかけた。

 

「それで明久、話というのは……」

 

「あ、うん、ちょっと待ってね。今脳内シミュレーションしてるから……」

 

「「「シミュレーション?」」」

 

俺達が声をそろえてそう言うと、明久は「よしっ」と言って土下座した。

 

……………ん? 土下座?

 

「「「明久何してんだ(してるの)!?」」」

 

明久のいきなりの土下座に驚いた俺達は、慌てて明久の上半身を起こさせた。

 

未だにしようとしている明久を無理矢理納得させ、清涼祭の出来事について話すように促した。

 

「実はさ……清涼祭の前から皆に内緒で竹原のことについて調べてたんだよね……。そしたら竹原に呼ばれて『一緒にこの学園を消さないか』って言われて、これはチャンスなんじゃないかと思ってつい……本当にごめんなさい」

 

「「「言ってくれてありがとう。でも土下座はするな(しないで)!」」」

 

話した後に再び土下座しようとした明久を止め、心の中でため息をついた。

 

すると竜牙が頭を掻きながら明久に問いかけた。

 

「そんじゃあさ……これからもまた、一緒にいていいのか?」

 

それを聞いた明久は呆れたような、だけどどこか嬉しそうな顔で答えた。

 

 

 

 

 

「当然でしょ? 僕達は信友なんだから」

 

 

 

 

 

「「「っ……あ、明久ぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」」

 

「うわっ!?」

 

すると感動して耐え切れなくなった竜牙と奈乃と澪と麻菜が、勢いよく明久に抱きついた。

 

そして突然のことで支えきれなかった明久を巻き込んで一緒に倒れこむ。

 

それを見ていた俺と亮介と裕実は笑い合って、5人の上に乗っかるようにして飛び込んだ。

 

 

 

あの後落ち着いた俺達は、皆で明久の家のリビングで夕食を食べていた。

 

くだらない雑談をしていると、明久が亮介と裕実に話しかけた。

 

「そういえば、大会で決勝戦進出したのはどのチームなの?」

 

「ん? 確か坂本と土屋の【馬鹿コンビチーム】と……」

 

「……秀吉君と優子さんの【学園の華チーム】です」

 

「………そのチーム名、誰がつけたの? 絶対に秀吉のこと女として見てるよね?」

 

「「文月学園新聞部」」

 

「完璧に新聞部の人達だよね? 何やってるんだか……」

 

そう言って明久は蔑むような目をしながら言った。

 

うっわぁ……明久のこんなにも人を蔑むような目、初めて見たわ……。俺達の場合、こんな目を向けられたら即自殺すんな……。

 

ふと周りを見てみると全員同じことを考えていたのか、顔色を悪くしながら無言でご飯を食べていた。

 

すると麻菜は何かを思い出したのか、掌と掌を当ててパンッと音を出した。

 

「そういえばさー、近々に転校生が来るらしいよ? しかもFクラスに」

 

「Fクラス? それって設備がAクラス用のだから?」

 

奈乃が首を傾げながら思ったことを言った。しかし麻菜は首を横に振った。

 

「学力はAクラス並だったから、設備が悪くても仕方ないってことでAクラスに入れる予定だったらしいよ。だけど転校生本人が『どうしてもFクラスに入りたい』って言ったらしいの」

 

「やっぱ設備の良い方がいいのかなー?」

 

「いや、学園長は設備のことを伏せてたからそれはない、というか第一知らないと思うよ? 転校理由だって『ここに会いたい人がいるから』だったらしいしね」

 

「会いたい人、ねぇ……」

 

俺達はしばらく考えていたが、わけがわからなくなったので話を中断してゲームで遊ぶことにした。

 

 

 

まさかこの転校生が、俺達に深く関わることになるとも知らないで――――。

 

 

 

~NO SIDE~

 

1人の少年が、文月学園の制服を大切そうに抱えていた。

 

そして机に置いている写真立てを見て、愛おしそうに微笑む。

 

「もうすぐ会えるんだね、吉井明久君――――――」

 

その写真立てには、幼い頃の明久が写っていた。

 

 

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