天才と信友と悲しい過去と   作:ゆん

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遅くなってすみません!

あああああ、まだ番外編書き終わってないのにストックがあと一個……!
あ、でもまだリクエストはお待ちしてますよー!



第33問 決勝戦と関係の進展

あの後僕達は寝落ちするまで遊びまくり、眠気に襲われる状態で清涼祭2日目を迎えた。

 

2日目は召喚大会決勝戦の解説として出てほしいと審判の亮介君と裕実に頼まれたので、僕と文人と奈乃は解説として召喚大会に、竜牙と澪と麻菜は店の手伝いをすることになった。

 

最初は前と同じように解説者の紹介、その後に雄二と土屋君の【馬鹿コンビチーム】と秀吉と優子さんの【学園の華チーム】がステージに上がった。

 

「それでは、今回は吉井明久さんに開始の合図を言ってもらいましょう!」

 

「ふへっ!?」

 

若干ボーッとしていた僕は、リアクションにとても困ってしまった。

 

だけど僕が言うことは確定らしく、そのままマイクを渡されてしまった。

 

『え、えと……両チーム、頑張ってください! それでは、試合開始!』

 

僕がそう言うと、4人が一斉に召喚獣を突撃させた。

 

僕は手で顔を隠しながらも、小さく「秀吉も優子さんも雄二も土屋君も、皆頑張ってね」と呟いた。

 

 

 

~優子SIDE~

 

もう、明久君たら……。あんなこと言われたら、絶対に負けられないじゃないの。

 

私は小さくため息をついて、秀吉に話しかけた。

 

「秀吉、負けたら絶対に許さないからね」

 

「うむ、絶対に勝つのじゃ。そう言う姉上も、負けたら承知せぬぞ?」

 

「ふふっ……誰にそんな口聞いてるのかしら?」

 

そう、私は文月学園の優等生、皆の模範の生徒、そして明久君達信友組と1番距離の近い友達の1人である木下優子。

 

明久君達の前で、負けるなんて失態を起こせるわけがない。

 

「悪いけど、本気でいかせてもらうわよ……」

 

私はそう呟いて、召喚獣を召喚した。この試合に、勝つために。

 

 

 

~秀吉SIDE~

 

珍しく姉上が本気になっておるのぅ……。まぁ、本気になっておるのはワシも同じなんじゃけど。

 

明久達には召喚獣の操作を1から手取り足取り教えてもらった。

 

じゃが、ワシらにはちとスパルタすぎて死にかけてしまったがのぅ……。

 

だから明久達に教えてもらったことをきちんと活用して、絶対にこの試合に勝つのじゃ。

 

「明久達よ……ワシらは絶対に優勝するから、待っててほしいのじゃ……」

 

ワシはそう呟いて、召喚獣の操作に集中するために、目を閉じて精神を統一した。

 

大丈夫、後少しじゃ。もう少しで、ワシは召喚獣になれる(・・・・・・・)

 

 

 

~雄二SIDE~

 

ついに決勝戦か……。やべぇ、すっげードキドキする。

 

相手は木下姉弟だから、圧勝されるかも……いやいや、そんなこと考えるな。

 

大丈夫だ。俺達も秀吉達と同じように、明久からクセや改善点、他にも色々なことを教えてもらった。

 

点数じゃ完全に負けてるだろう。でもその分、召喚獣の操作で一気に差を詰める!

 

「ムッツリーニ、いくぞ! 恩返しとして、良い試合にすんぞ!」

 

「…………無論だ、雄二!」

 

「そんじゃあいくぜ! 試獣召喚(サモン)!」

 

俺は気合いを入れて、召喚獣を召喚した。

 

 

 

~康太SIDE~

 

吉井は男女関係なしにモテる要素があるから憧れている。

 

根暗な俺は、あんな風になりたいと1年の時からずっと思ってた。

 

だけど今は、吉井は同じFクラスの仲間、前よりも距離が近くなったと思ってる。

 

だから俺は、この試合でそう簡単に負けないと決めた。

 

それに運がいいことに、科目は俺の得意な保健体育だ。これなら、足手まといにならないで済む。

 

俺は一生懸命操作を教えてくれた吉井のために良い試合にすると決めた。

 

俺は深呼吸をして、雄二と一緒に秀吉達と対峙した。

 

 

 

~明久SIDE~

 

「わぁ……」

 

僕はこの試合を見て、思わずそんな声を漏らしてしまった。

 

優子さんはまるで舞い踊っているかのように身軽で、とても綺麗で美しかった。

 

秀吉は完璧に召喚獣の演技をしており、薙刀を上手に操作していた。

 

雄二は荒々しい攻撃だけど、とても力強くて急所を的確に狙っていた。

 

土屋君は召喚獣の速さを利用して攻撃しており、少しずつだけど確実に点数を減らしていた。

 

最終的には秀吉と優子さんが勝ったけど、これはとても良い試合だった。

 

僕達は楽しく談笑している4人元へ行き、そのまま勢いよく抱きついた。

 

「…………っ!?」

 

「あ、明久? いきなりどうしたのじゃ?」

 

「はわわっ!? そ、その、明久君!?」

 

「どーした? 何かあったのか?」

 

僕のいきなりの行動に驚いている4人に顔を向け、自分でもわかるくらいの笑みを浮かべて言った。

 

「皆、お疲れ様! 良い試合だったよ!」

 

最初は目をパチクリさせていたが、すぐに笑顔になって秀吉と雄二は頭を撫でて、優子さんと土屋君は手を握ってくれた。

 

そんな感じで良い雰囲気になっている時だった。

 

「「「あぁ―――――っ!!」」」

 

驚いて声の方を振り向くと、目を見開いてこっちを見ている文人と奈乃、そしてなぜか姫路さんと島田さんがいた。

 

そして4人は早足でこっちに来ると、僕を秀吉達から話して文句を言い始めた。

 

「おいっ! 秀吉と優子はともかくとして、何で坂本と土屋が明久と仲良くしてんだよ!」

 

「そんくらい別にいーだろ! つーか明久から――――ギャアアアアアア!!??」

 

「あははははっ♪ 次ハ土屋君カナァ?」

 

「…………っ!? 頼むから、止めてくれ……っ!(ブンブンッ)」

 

「木下君も木下さんもずるいですっ! 吉井君と抱き合えるなんてっ!」

 

「別にいいじゃろ? ワシらは『友達』なんじゃからな♪」

 

「そうよ……って、ちょっと島田さん? 何勝手に明久君のところへ行こうとしているのかしら?」

 

「離しなさいよ! ウチはただ、吉井にお仕置きを…!」

 

「そうかそうか! だったら代わりに俺がO★SHI★O★KIシテ殺ルヨ…!」

 

「い、井上!? やだっ、離しなさいよっ!」

 

「諦めるのじゃ、島田よ。……さて、姫路よ。お主はどうするのじゃ?」

 

「どんなことをされようと私は絶対に諦めないし、何もしません! あの日、命を懸けて誓いました!」

 

「………そう」

 

1人ポツンと言い争いが終わるのを待っていると、姫路さんが僕の方に駆け寄ってきた。

 

僕が首を傾げると、姫路さんは期待と不安、悲しみを含んだ笑顔を見せて話しかけてきた。

 

「今回の大会、私と美波ちゃんは決勝戦に挑戦できませんでした……。でも、それでも! 勝つために一生懸命頑張って、準決勝戦まで勝ち残りました! だから、吉井君がかまわないなら、お願いがあるのですが……聞いてくれませんか?」

 

「え、僕に? 内容によってはかまわないけど…?」

 

「ほっ、本当ですかっ!? だったらっ、あのっ、そのっ、えとっ……」

 

姫路さんは顔を赤くして必死に言葉を発していた。

 

しばらくすると落ち着いたのか、若干顔に赤みを残しつつも、僕の目をきちんと見て問いかけてきた。

 

「あのっ、吉井君……私も、名前で『明久君』って呼んでもいいですか!?」

 

「うん、いいよ」

 

「いきなりすみませ……って、返事が早いですよ吉井く……じゃなくて明久君!」

 

「あははっ、即答でごめんね。じゃあ、僕も『瑞希ちゃん』って呼んでもいいかな?」

 

「え……ぜっ、全然かまわないです! むしろありがとうございます!」

 

「ふふっ、瑞希ちゃんて面白いんだね。でも、そういうのもアリだと僕は思うけどね♪」

 

「そっ、そう、ですかね……? えへへ……♪」

 

そう言って笑う瑞希ちゃんは可愛くて、不覚にもドキドキしてしまった。

 

だけどこのまま仲良くできたらいいなと、そう思えた。

 

 

 

~瑞希SIDE~

 

やった……! やっと、明久君とお互いに名前で呼べる関係になれた……!

 

でも、こんなことで浮かれてちゃいけませんよね。

 

明久君が好きな人は、世界中に何人もいるんですから。

 

正直、1年生の頃に勢いで明久君に暴力を振ってしまったこと、すごく後悔していました。

 

今だって、それを許してもらえた気なんてありません。

 

(……でも、美波ちゃんよりはマシですよね。明久君に嫌われるために暴力を振るってるとしか思えませんし)

 

だけど、それで恋敵(ライバル)が減ってくれるなら好都合です。

 

明久君は皆さんが守ってくれますから、私は美波ちゃんに何の助言もしないでおきましょう。

 

私は明久君に用事があると伝えてその場から去り、1人でクスリと微笑んだ。

 

(だから美波ちゃん……早く明久君に嫌われてくださいね?)

 

美波ちゃんが明久君に嫌われる、それを望んでいるのはきっと私だけではないのだから。

 

私はそう思いながら、左手の人指し指の爪をペロリと舐めた。

 

 

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