「……ということなんだけど、わかってくれた?」
『『『はい! わかりやすい説明、ありがとうございます!』』』
あの後僕達は、なるべくわかりやすいように簡単に説明した。
「ていうか秀吉、僕達が途中退席したからって名前を無記入にしなくても……」
そう、秀吉は名前を無記入にしたらしい。
話によると、秀吉のいた教室から僕達の姿が見えたとか。
僕が呆れているにもかかわらず、秀吉は屈託のない笑顔で話していた。
「もう過ぎたことじゃ。それに、お主らと一緒の方が楽しいからのぅ」
「まったくもう……。次からはそんな事しないでね?」
「了解なのじゃ」
そうに話していると、文人が感心したように言った。
「ふ~ん、バカでも天然危険物野生猥褻ホモな赤糞ゴリラより理解度は良いみたいだな」
「ふ、文人……」
その発言、いくらなんでも失礼じゃない? それに、坂本君は代表だし……。
「野生が増えたし、俺も一応理解度は良い方だからな!?」
坂本君、そこで『一応』はつけちゃだめだと思うよ。
でも確かに、この前は天然危険物猥褻ホモな赤糞ゴリラだったような……というか、長っ!!
すると先生が教卓を叩いた。
「そこの人達、静かにしてください」
「あ、すみませ――――」
バキィ! パラパラ………
『『『……………………』』』
「えー、替えを持ってきますので少し待っていてください」
先生は僕達にそう言って、教室を出て行った。
というかどれだけ設備が悪いの、このクラス。
でも仕方ない。先生が来るまで待つか……よいしょっと。
「……………明久」
「どうしたの? 文人」
「なんで高校3年生用の問題集をやってんだよ!?」
え、何か変かな?
「なんでそこで『何か変かな?』って顔をするんだよ……。普通は高校2年生用の問題集をやるだろ!?」
「え、だってもう終わっちゃったし……」
「だ―――も―――――っ!! これ没収! 大人しくしてろっ!」
文人はそう言うと、僕の手から問題集を取り上げた。
文人に限らず、西村先生とかも没収するけど……なんでだろ?
僕はその疑問を、先生が来るまで考えていた。わからなかったけど。
数分後、先生が新しい教卓を持ってきた。
……というか、見た目がたいして変わらないけど、さっきのよりは頑丈なんだよね?
「さて、君が最後ですよ、坂本君」
先生が言うと、坂本君は立ち上がり、教卓の前に立った。
すると、文人が小声で話しかけてきた。
「明久、これはただの予想なんだが……」
「? どうしたの? 文人」
「あいつ、たぶん何かを企んでる。そういう時、あんな顔をしてたからな」
「あんな、顔……?」
文人にそう言われてみてみると、坂本君は僕達を見渡して口元をつり上げた。
「何か、ってことは……」
「ああ。あれを仕掛けるつもりだな」
そうして再び坂本君を見ると、自己紹介をしていた。
「代表の坂本雄二だ。俺のことは代表でも坂本でも好きなように呼んでくれ」
そう言って一拍おき、口を開いた。
「さて、皆に聞きたい」
・かび臭い教室
・綿が入っていない座布団
・薄汚れ、足が折れている卓袱台
「……不満はないか?」
『『『大ありじゃぁぁぁっ!!』』』
あーあ、皆坂本君に乗せられちゃってるよ。本当にバカだね、Fクラスは。
「そこでだ。これは代表としての意見なんだが……FクラスはAクラスに試験召喚戦争を仕掛けようと思う!!」
『『『……………え?』』』
「予感的中、ってか」
「出来れば当たってほしくなかったんだけどなぁ……」
とにかく、坂本君は引き金を引いてしまった。
僕達が予想していたあれ、試験召喚戦争の引き金を―――――。