「FクラスはAクラスに試験召喚戦争を仕掛けようと思う!!」
坂本君がそう言った時、騒がしかったあの時が嘘のようにクラスの中が一瞬で静かになった。
『勝てるはずがない』
『これ以上設備が落とされるのは嫌だ』
『姫路さんがいたら何もいらない』
『宮代さん、結婚してくださらなくて結構です! すみませんでした!』
数名奈乃と姫路さんにちょっかい出したけど、奈乃の方は文人が睨んだようだ。
そっか、文人は奈乃のことが好きなんだっけ。
でもまあ確かに、Aクラスと試召戦争をしようなんて思わないよね、普通。
「そんなことはない。必ず勝てる、いや、俺が勝たせてみせる!」
でも、坂本君は僕達に向かって自信満々に言い放った。なにか根拠でもあるのかな?
「このFクラスにはAクラスに勝てる戦力が揃っているからな。今からそれを説明してやる!」
そう言うと、坂本君は少し間をおいて、ある一カ所を見た。
「土屋。畳に顔をつけて姫路のスカートを覗いてないでこっちに来い」
「…………!!(ブンブン)」
「は、はわっ!?」
坂本君が言うと、土屋君はビクッと肩を震わせ、必死に首と手を振り否定のポーズをとる。
というか何やってるの、あの人。
土屋君は畳の跡を隠しながら坂本君のところへ向かう。
だけど土屋君……跡が微妙に隠れてないし、その行動をやってる時点でアウトだよ……。
「こいつがあの有名な寡黙なる性識者、ムッツリーニだ」
「…………!!(ブンブン)」
坂本君の発言に、クラスのどよめきが走る。でも、ムッツリーニってどういう意味なの?
そう思っているのを察してくれたのか、文人が説明してくれた。
「あいつの土屋康太という名前は別段有名ではないんだが、ムッツリーニとなると話は別だ。その名は男
子生徒には畏怖と畏敬を、女子生徒には軽蔑を、というやつらしい」
「ふーん、ムッツリーニ、ねぇ……」
確かに有名なのかもしれないけど、僕にとってはそれがどうしたんだろうという話だ。
そう思い、クラスの反応を見てみると……。
『馬鹿な、奴がそうだというのか!?』
『だが見ろ。あそこまで明らかな覗きの証拠を未だ隠そうとしているぞ……』
『あぁ。ムッツリの名に恥じない姿だ……』
「「「………………」」」
他の男子が驚く中、僕と文人、奈乃と澪と秀吉は呆れていた。
なんでって? そりゃあ文人の説明を聞いたらこうなるよ。
「姫路の事は説明するまでもないだろう。みんなだって、その力は知っているはずだ」
「えっ? わっ、私ですかっ!?」
「あぁ、主戦力だ。期待している」
そっか。姫路さんも一応は成績上位の人だから言われて当然だね。
『そうだ、俺たちには姫路さんがいるんだった!』
『彼女なら、Aクラスにも引けをとらない!』
『あぁ、彼女がいれば何もいらない!』
本当に何を言ってるの、Fクラス。というか逆に虚しいよ、それ。
姫路さんも若干だけど引いてるし……。
「俺も当然全力を尽くす」
『坂本って、確か小学生の頃は神童とか呼ばれてなかったか?』
『それじゃあ、実力はAクラスレベルがいるって事かよ!? もしかしたら、やれるんじゃないか!?』
『あぁ、なんかやれそうな気がしてきた!』
クラスの士気は上がっていき、ほぼ全員やる気になり始めて来た。
へぇ、どうやら坂本君は士気を上げるのが上手みたいだね。いざという時のために覚えておこう。
「それにこのクラスには、あの吉井明久や井上文人、宮代奈乃に野々原澪、それから木下秀吉がいる!」
そういうと、Fクラスの士気は絶頂に達した。
…………なんで?