一年戦争を生き抜く   作:フュウ

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第2話 士官学校1年生

サイド3の士官学校に入学してからもうすぐ一ヶ月が経とうとしている。この約一ヶ月の間、正にデスマーチを歩んで来た。そんな俺の一日のスケジュールを紹介しよう。

 

4:30起床 身支度を整える。着替え・洗顔・歯磨き

 

5:00モビルワーカーによる搬入作業。朝食まで時間が余ればモビルワーカーで跳んだり走ったり訓練も欠かさない。

 

7:00朝食 食堂に集合し、班毎に食事を済ます。万が一遅刻をしようものなら班員全員が朝食抜きだ。

 

8:00授業 密度の濃い講義や、鬼の様な過酷なトレーニングが繰り返される

 

12:00昼食 食堂で食べる日もあれば、サバイバル訓練で山で現地調達の日もある。何度か腹下った

 

13:00授業 密度の濃い講義や、鬼の様な過酷なトレーニングが繰り返される

 

18:00授業終了 その後、班毎に夕食を済ませ、決められた時間内に風呂に入れば後はフリータイム

 

24:00就寝 早寝早起きは一日の活力に必要な成分。あぁ早寝したい。

 

決められたスケジュールはこんなところだ。フリータイム時には授業の予習復習を毎日3時間以上やる。フリータイムという名の勉強時間。サービス残業。

 

おかげで何とか講義や座学には食らいついている。体育が多いのもあって勉強の範囲がまだそこまで広くないのも助かってる。その他に兵器シミュレーターの改造の為に勉強したり、現代(UC0074のこと)の兵器の勉強を主に行っている。

 

現代兵器は戦艦も戦闘機も戦車もとにかく何もかもが、レーダーによる誘導兵器が主流だ。メガ粒子砲だってレーダーで敵方を補足し、コンピューターで精密な修正をして撃たなくてはとても当たらない。そのために、現代兵器はレーダーの性能UPが必要不可欠になり、各技術者はそれに粉骨砕身している様だ。

 

そんな中、ミノフスキー粒子が発見されるというのは、その技術者全員の努力を無駄にする恐ろしい発見だ。

 

ミノフスキー粒子とモビルスーツがいかに凶悪なコンボか改めて認識した。ミノ粉でレーダーが駄目になると、今までレーダーに頼っていた射撃は目視による補足、照準合わせが必要になり、射撃手の技量が試される。

 

相手を目視で補足する為には、距離を詰めねばならず、運動性の悪い戦艦同士でそんなことをやったら、ボクシングでいうとノーガードの打ち合いになり、双方恐ろしい被害が出るだろう。

 

国力に劣るジオンが人員も資源も豊かな連邦とそんな戦いをすれば敗戦は確定的に明らかだ。そうならない為に、運動性の高いモビルスーツで相手の弾幕を回避しながら近づくことができ、相手の戦艦をやっつける。

 

つまり、戦国時代や三国時代の様に、一騎当千の化物が活躍できる時代になる。ミノフスキー博士万歳!

 

兵器シミュレーターの改造はモビルスーツ操縦のシミュレーションを開戦前に実現させ、自分も一騎当千になるために始めたが、中々進みが悪い。

 

御誂え向きにシミュ レーター関連の書籍が図書室にあって、読んで勉強しているが、主にプログラミングの話でさっぱりわからん。プログラミングのセンスはないんだろうね。ちくしょー。いつかチョビヒゲ40代中頃教官にでも助けを求めてみようかな。

 

チョビヒゲ教官は授業や訓練の時はそれこそ鬼教官で、ぶん殴りたくなる様な事もあるけど、実は良い人であるのは間違いない。モビルワーカーの話も次の日には纏めてくれたし、何でか知らないけど、協力的である。

 

そのモビルワーカーの話だが、強制的に毎朝行わされている搬入作業で操縦技術は鍛え上げられ、たった一ヶ月だが、かなり上達した、と思う。

 

マニピュレーターでの細かい作業も得意(今なら生玉子を割らないで掴める、気がする)だし、歩くのは勿論、走るのだ って簡単だし、最近では飛んだり跳ねたりしても転ばなくなってきた。転ぶと壊しそうであんまりチャレンジ出来ないけどね。

 

最初は二時間近くかかっていた搬入作業だが、今では半分の一時間位で終わるので、余った時間を自主トレに回せ、有意義に操縦技術を向上できている。強制的に始まった毎朝の搬入作業だけど、チョビヒゲには感謝だ。

 

それにしても、意図せずして転生したこの身体だけど、チート級の凄いやつかもしれん。毎日3時間の短い自主学習(もっとやってる奴もいる)で国家公務員試験と司法書士試験が一緒にやってきたかのような密度の講義にも着いていけてるし、実技も体力バカかと思いきや、銃の分解清掃、組み付けといった細かい作業も得意だ。

 

もちろん、操縦技術も。このまま訓練すればモビルワーカーでの搬入作業で世界一を狙えるかもしれん。士官学校卒の搬入作業員とか、親が泣くだろうからならないけどね。

 

そういえば、その親とこの間初めて会話を交わした。モビルワーカーの件で俺のでっちあげた話の事だった。

 

あ、ちなみに親の名前は、父親がタケル・タイラ。母親がナギ・タイラ。両方サイド3で技術士官やってて、両方少佐。とても偉い立場にいる人ね。何でか知らないけど、ドズル・ザビと仲が良いらしい。そのドズルから俺のでっちあげ話を聞いて、母親が電話してきた。勉強しようと思ってたのに。内容はこうだ。

 

「あんた、何してんの ?」

 

開口一番それか。何してんの?とはチョビヒゲ教官に話したでっちあげ話のことだろう。でも、士官学校で寮生活している息子に対して冷たくないか?普通母親なら体調くらい気遣えよ・・・。と思ったが、会ったことも話をしたこともない両親にでっちあげ話で迷惑を掛けたのは確実だろうから、しょうがない。向こうからしたら、どんな感情かはわからないけど。

 

おかげで息子さんの身体を乗っ取ってしまった事とか、初めての会話で緊張してたとか、全て吹っ飛んでしまった。だから返答はこうだ。

 

「ごめんなさい」

「・・・あんたが何考えてんのか知らないけど、そういうことするならせめて事前に話してよね。ドズルさんに言い訳するの大変だったんだから」

 

と、こんな感じで1時間近く説教された。

 

やれ、あんたはいつもこうだ、とか。いつもこう、って俺が転生?取り憑く前のミナト君はどんな奴だったんだよ。ていうか、事前に言えば良いんだ。・・・良いのかよ!物分り良すぎねーか。この人、絶対教育方針あれだ。自主性を尊重するとか、伸び伸びやらせるとか言う名の放任主義だ。間違いない。てか、言い訳までしてくれたのか。何か話が上手く行き過ぎて怖いな。まぁ良いや。

 

「ところでもう直ぐ定期試験だよね?調子はどうなの?」

 

おっと、それを聞きますかマイマザー。子供の学業は一応気になるんだね。安心したわ。

 

「・・・全力を尽くします」

 

これは嘘じゃない。時間の許す限り自分にできる事はやっている。まぁ、普通に考えればやらなくても良い事もやってるけど。搬入作業とか、搬入作業とか。

 

「何か随分人が変わったみたいね。具合でも悪いの?それとも士官学校で揉まれたからかしら?ドズルさんに言って厳しく鍛えてくれって、頼んであるからねー。ガンバんなさいよー。3班で入学したからには4班以下に落ちたら地獄みせるからねー」

 

あの、既に地獄みてるんですが、更に上があるんですかね。てか、厳しく鍛えてくれってそんな贔屓というなのイジメはダメよ。イジメ絶対ダメ。

 

もうね、ツッコミどころ多過ぎて疲れてきたよ。さっきから仕事の愚痴とか部下にやたらイケメンがいるとか、もうずっと家に帰ってないとか、新兵器開発が楽しいとか母上様がずっと話してるし。ちょっと機密みたいな内容あったけど大丈夫なのか。喋り相手欲しかっただけちゃうの?忙しくないの?と、思いふと時計を見たら電話が始まってから2時間が経っていた。

 

説教1時間、トーク1時間。トークなのか、リッスンなのかは定かではないが。あー、もう今日は勉強出来ないなこれ。明日も朝早いし電話切ろう。何だったらブツ切りしても良いだろう。と、思ったら、電話の相手が変わった。

 

「あーミナトよ、俺だ。元気か?」

 

一瞬オレオレ詐欺を、思い起こすフレーズで出たのは恐らく父親だろう。

 

「あ、元気ですよ。大変ですけど」

 

「何で敬語何だ?あー、何かお前も大変みたいだな。まぁ、頑張れよ。じゃあおやすみ」

 

電話が切れた。え、もう終わり?親父との会話10秒。

 

いや、電話をブツ切りしようと思ってた俺が言うのも何だが。きっとあれだ。俺の為に早く電話を終えてくれたに違いない。間違いない。今後、良い親子関係を築くことが出来そうで良かったね!

 

と、こんな感じで両親とのファーストコンタクトは終わった。その後も週に1回くらい電話が来る。放任主義かと思ってたけど、結構過保護なのかもしれん。てか、忙しくないの?

 

これまで3回電話したけど、だいぶ両親にも慣れた気がする。今では良い関係を築いたと言っても良いだろう。

 

そして今は定期試験の前日の夜。明日から2日間かけて行われる試験はこの一ヶ月の、集大成だ。3年後卒業するまで単純に計算して36回受けなくてはならないが、記念すべきその第1回目。

 

明日は筆記試験が行われ、次の日に実技試験がある。当然だがモビルワーカーの試験はない。モビルスーツがまだないこの時代、そんなものはない。ないのだが、将来確実に開発される事を知っている俺はモビルワーカーによる搬入作業をしている。(実はアルバイト扱いで給料も出てるのだが、俺が操縦訓練で余計に使う分の燃料や消耗する部品の為に給料の全部を使っている)モビルワーカーの実技試験あればなー。楽勝なのになー。まぁ、ないものを嘆いても仕方ない。

 

それにこのチート級の身体なら筆記、実技共に高得点を取れるだろう。というより取らなくてはならない。万が一4班以下に落ちようものならどんな地獄が待っているか・・・。という事で、今日はまだ夜の10時だけど寝ちゃおう。明日も搬入作業あるし。普通、試験当日くらい免除してくれよな・・・。

 

 

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「始め!」

教官の合図で最初の筆記テストが始まった。1教科1時間で8教科ある。その最初は小隊戦術の試験だが、問題と解答が一体型になっているA3サイズの用紙がなんと15枚。最初は枚数の多さに面食らったが、解き始めてみると難易度は何てことなかった。暗記系も楽勝だし、《小隊長の役割と注意点を述べよ》なんて論文形式の設問もハナクソほじりながら解けるような問題だ。勉強頑張って良かった。

 

全部スラスラ解くことができ、全問を解き終わって見直しでもするかと思い、チラッと時計を見たら残り5分だった。うわー。時間無さすぎ。全部見直しできねーじゃん。てか、俺の早さでこれって、ちょっとでも詰まった人は終わりじゃね?さすがは鬼の棲む士官学校。パネェ。

 

他の7教科も似たように過ごし、初日の筆記試験は終わった。あ、終わりって滞りなく予定を終えたって意味ね。俺はバッチリできたよ!

 

 

 

次の日は実技試験。こっちの方が自信ある。こちらも1種目1時間で体育の他に技術試験も行われる。射撃、砲撃、シミュレーターでの操縦(種類毎のミッションをこなす)、通信、武器の手入れ、手旗信号、体力試験1、2だ。実技の復習なんて中々出来ないけど、授業でやる分だけで充分だった。どれもこれも手ごたえあり。さすがチート。まぁ、ちょっと言うと体力試験2がきつかった。

 

《1時間でトラックを走れるだけ走れ》なんて内容で、全員死に物狂いで走ってた。それはまだ良かったんだけど、俺が全力で走ってんのに、前に1人いたんだよね。ゴール順位も2位だった。

 

正直な話、このチートな身体より上がいるのか、と戦慄したよ。誰なんだこいつと思って話しかけたら驚愕した。いや、いるのは分かってたんだけどね。決して忘れていたわけじゃないよ。

 

 

こいつはあのシャア・アズナブルだった。




大体1話5000字程度。テンポの良い作品を心掛けます。

ミナト→自分のチートな才能に気付いたと思ったら、更に上がいてビックリ。

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