東方冒険禄3――どこに行っても主人公――   作:遠山tsun

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~再生~

僕は、一体誰なんだろう……。僕は、なんて名前なんだろう……。

何も思い出せない。何か、とても大切な何かがあったはずなのに……。

 

――――

 

「うぅ、うう……。」

 

背中に当たる石の感触に、目を覚ました。白い霧が所々に立ち込めていて、あまり見渡すことができない。隣には川が流れいるけど、音が聞こえない。空は青白く、少し怖い。

 

「ここは、一体……?」

 

周りはずっと石の砂利が広がっているだけで、何もない。現実に、こんなところがあるのだろうか?というか、ここは現実か?

 

「なるほど、夢か。」

 

そう思い立ち、思い切り頬をつねるもただただ痛い。しばしその場に転がる。

 

「夢じゃない……ってことか……。」

 

夢じゃないなら、一体どこなのだろう?とにかく、家に帰ろ……あれ、家ってどこだっけ……。というか、家ってあったっけ……。

 

「う~ん……、全く思い出せない……。……いや、待てよ?」

 

自分の名前、自分は誰なのか、家の場所が分からない。何も思い出せない……つまり、ここから考えるに……!

 

「僕は、記憶喪失なんだね!」

 

なるほどそっかそっか!僕は、記憶喪失なんだあはははは……うわぁぁぁあ!!

 

「どうすればいいんだ……!」

 

このままじゃ、僕はここで飢え死にだ……!なんか川の色おかしいし、絶対飲めないし!

 

「……おや?珍しいねぇ、人間かい?」

「え?」

 

あぐらをかいて頭を掴んで悩んでいたとき、後ろから声をかけられた。

 

「……あなたは?」

「私は小野塚小町。死者の魂を運ぶ、死神さ。」

「死神……?」

「そう。……お前さんがここにいるってことは、お前さんは死んだんだな。」

「へ……?」

 

僕が、死んだ……?いつ、どこで?

 

死神、というのは嘘ではなさそうだ。今は舟を漕いでいるけど、背中になかなか立派な鎌がある。それに、僕が死んだということも嘘ではなさそうだ。こんな景色、現実に見たことない。どんな景色も思い出せないけど。

 

「……もしかして、死因忘れた?」

「あ、うん……。」

「そんなに気にすることじゃないよ、それ。死んだショックで忘れてしまうことってよくあるから。」

「は、はぁ……。」

 

そんなものなのか?……まぁ、死神がそういうんだから、そんなものなのか。

 

「とりあえず、乗りな。運ぶから。」

「え?どこへ?」

「あんたが天国か地獄か決める場所さ。」

「……わぁ、スッゴい運命の選択をされるんだね~。」

「そうだね。実際黒出された人結構落ち込んでたし。」

 

ささ、と急かされいそいそと舟に乗った。そして、ゆっくりと動き出した。

 

――――

 

「あ、霊夢!!」

 

体の大きさは境界の中で禍霊夢に戻してもらった私が境界から出ると、そこは博麗神社の境内で、魔理沙が真っ先に駆け寄ってきた。

 

「今までずっと何処いってんたんだよ!!ずっと心配してたんだぞ!!」

「……ごめん。」

「お、おう……。」

 

何だか霊夢らしくない、と魔理沙の心の声が聞こえた気がした。

 

「まぁ、反省してるなら別いいけどよ。怪我もなさそうだし。……あれ?妖人は一緒じゃないのか?」

「!」

 

体が数センチ浮かび上がったのが自分でもよくわかった。

 

「……何か、あったのか?」

 

地味に勘が良い魔理沙は、何かあったことを勘で分かったのだろう。もっとも、私の雰囲気からそれは一目瞭然なのだが。

 

「えぇ、あったわ。……私、一度死んだわ。」

「はは、冗談……じゃなさそうだな。でも、生きてるのはどういうことだぜ?」

「……説明するわ。」

 

その後、境内に並んで私と魔理沙は座った(他に三人人間がいたのだが、二人は神社の中のようだ)。そして、私が戦いの最中で禍霊夢に殺されたこと。そして、その後……妖人が、私の代わりに禍霊夢の力を借りて死んだことを話した。

 

「……そうだったのか。」

 

少し、哀愁漂う雰囲気を出す魔理沙。それもそうだろう。人が死んだのだから。それも、私達の友人なのだから。

 

ガシャン!と、後ろで音がした。二人して振り向くと、茶飲みが二、三個割れていて、丸いお盆が隣でコロコロ転がっていた。上へと視線を向けると、この世の終わりのような顔をした小夜鳴 夕美(さよなき ゆうみ)と驚いた顔をした雨立 真人(あまだて まなと)と、目が焦点を何とか捉えている桜花 由夢(さくらか ゆめ)がいた。

タオルを二人とも首にかけているのは、運動したのかどうなのか。

 

「妖人が、死んだ……?」

「あいつ、死んだのかよ……?」

 

二者二様の反応を見せる。二人とも、妖人が死んだ事実を半信半疑しているようだ。

 

「嘘でしょ?ねぇ、霊夢。嘘って言ってよ、ねぇ!」

「……。」

「そん、な……。」

 

詰め寄ってくる夕美を直視できず、目線を顔ごとそらすと、夕美は畳にへたり込んだ。

由夢は泣き崩れ、その肩をトン、と叩く真人は、悲しそうだ。

 

「さ、お茶にしましょう?」

 

重苦しい雰囲気を消すためと、また泣いてしまいそうだったので、お茶を飲むことを提案すると、誰も異を唱える人はいなかった。

 

――――――




はい!どうも!久しぶりな気がする遠山tsunです。
この作品は、死んだ妖人が死中に体験した物語でございます。そして、幻想郷と同時進行です。果たして、妖人はどうなるのか?そして、幻想郷に戻ることが出来るのか?
そんな感じで軽く見てくだされば万事オーケーでございます。
意見、ご要望はコメントまで。
それでは、また次回。じゃあの!!
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