東方冒険禄3――どこに行っても主人公――   作:遠山tsun

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~作戦~

「……つまり、あんたは自分がなぜ死んだのか、どういう死に方をしたのか分からないということか。」

「うん。これって、おかしいことなのかな?」

 

ギギィ……と時折櫂が水を押して軋む音が聞こえ、濃霧漂う川をゆっくり進む一隻の小舟。

その上に、僕と死神(?)の、小野塚小町は居た。僕は小町に連れられて、これから閻魔様の所に行くところだ。……そう、閻魔様の元へ。ここは三途の川。そして、僕は記憶喪失をしている。

 

そんな僕は、小町に記憶喪失について聞いてみた。

 

「おかしいことじゃないさ。死んだショックで記憶を忘れる人を、職業柄上よく見るものだよ。

「なるほど……。」

 

小町は少し気楽に笑って、僕の疑問に答えてくれた。なるほど、死んだショック、か……。

そうなると、ますますどうして死んだのか気になってくる。……それに、とても大切なことだったはずなのに、思い出せないもどかしさ。少しモヤモヤする。

 

「さぁ、見えてきたよ。あれが閻魔様の……四季映姫様のいるところだよ。」

「ほお……。」

 

閻魔様のいるところは、中国の城みたいに、外壁が紅色で、意外と大きかった。

 

――――

 

中に入ると、少し騒がしかった。やれそいつを運べだのやれそいつを押さえろだの……飛び交う怒号は人それぞれだ。

 

「お、その子は死んだのかえ?若いのに惜しいのう」

 

初老の老人が僕らに声をかけてきた。少し優しい雰囲気の爺さんだ。

 

「私もそう思うよ。」

 

小町はそう返して、短く会話を切り上げて奥へと進み始めた。慌てて付いていく。

 

「ねぇ、あの爺さん誰?」

「ん?死人だよ。ここは人里の死人が集まる場所、幻想郷の死人は……こっち。」

 

一回り大きな扉を開けて、入り言われた。……そこは、部屋だった。しかも、少し小さい、書斎みたいな部屋。その中心に机と椅子があり、そこに座っているのが……、

 

「連れてきました四季様~。」

「お疲れ、小町。……あら?人の死人はあちらのはずですよ?」

 

閻魔様、四季映姫様だった。背丈は小さく、小学生……いいとこ、中学一年生くらいで、服は黒と白の模様で、頭に何やら金色の冠があり、額の部分に何やら文字が書かれている。

 

「私も最初はそう思ったんですが、何やらただの人間じゃない気がして……。」

「……確かに、ただの人間とは少し違った雰囲気の持ち主ですね……。」

 

僕を見て、いつの間にか四季様の隣に居た小町と四季様が、僕を見て話をする。

 

あれ?僕、何か変人に見られてない?普通の人じゃない呈で話が進んでない?僕普通の人間ですよ?……確証はないけど。生前の記憶ないし。

 

「それと、記憶を失っていて……。」

「……はぁ、これは長引きそうですね……。小町、何か情報があるかもしれないから、新聞とってきてくれますか?」

「へいへい……。」

 

少し足取りを重くして、小町は部屋を出た。

 

こんなところに新聞?と疑問を持った僕は、少し疑問をぶつけることにした。

 

「あ、あの……。」

「はい?」

 

背丈とは真逆の大人びた雰囲気の四季様を、赤いカーペットと、黒い木で作られた本棚、そして四季様の後ろにある二つの大きな丸窓から差し込む光が冷酷無比な雰囲気へと変貌させるので、半ば緊張しながら僕は疑問を言った。

 

「ここに、新聞ってあるんですか?」

 

ここは三途の川の先にあるところだ。普通なら、新聞なんて届くはずがないのだが……。

 

「えぇ、ありますよ。幻想郷とうちの情報を共通するため、どちらにも立場をおける者が度々届けてくれるのです。」

「そうなんですか……。あ、あと、もう一つだけ。幻想郷って何ですか?」

 

先程の小町も言った幻想郷という場所。それは何なのか……そんな疑問をぶつけた。

 

「……先にあなたについて言っておきます。多分ですが、あなたは幻想郷の住人……それも、神隠しにあった人の子だと思われます。」

「え……?」

 

神隠しって、あの……?何で僕が?それに……。

 

止まらない疑問を持つ自分に嫌気が差しながらも、聞かずにはいられないその疑問を口に出そうとしたその時、小町が慌てて入ってきた。

 

「四、四季様!」

「小町、入るときはノックぐらいしなさいとあれほど……。まぁいいでしょう、何用ですか?」

「こ、これ!この新聞に写ってる人が!!」

「「?」」

 

一瞬四季様と顔を見合せ、小町がバッと差し出した新聞を屈み見ると……。

 

「あら……。」

「これって………僕?」

 

その新聞には、『博麗の巫女の友人にして、異変解決の立役者、桜花妖人死す!』という見出しと共に、僕の縦に丸く切り取られた写真が張られていた。

 

「っっっつ!?」

 

隣にも同じく縦に丸く切り取られた写真があり、その写真を見た途端……頭にズキッという痛みと共に、大量の記憶が流れ込んできた。

 

「あ、あぁ……あああ……!」

 

そして、最後に……死ぬ直前の記憶が戻り、僕はその場に立ち尽くした。突如として変貌した僕を驚愕の表情で見る四季様と小町を前にして。

 

「……霊夢……。」

 

僕の隣にある縦に丸く切り取られた写真の人は、髪を大きな赤い蝶々型のリボンで頭の後ろに縛り、端の部分に巫女装束が覗けるその人は……僕の、大好きな人、博麗霊夢だった。

 

――――

 

「ふぅ……。すいません、さっきは取り乱してしまい……。」

「気にすることはないわ。私だって気が狂いそうだったんだもの。」

「え?」

「意外そうな顔をしない。私だって人間なのよ?」

 

妖人に記憶が戻る数時間前。夕美はお茶を飲み終えて一息ついて、私に謝罪した。

 

「あいつが死んだってこと、何か信じきれねぇなぁ……。」

「激しく同意するんだぜ。」

 

円形の卓袱台を私、博麗霊夢と私の友人、霧雨魔理沙と妖人の友人、小夜鳴夕美(さよなき ゆうみ)と雨立真人(あまだて まなと)の四人で囲んでいる。因みに場所は博麗神社の中。

 

「私が一番信じられないわよ……。」

 

小声で小さく呟いた。全く……初めての失恋だわ。生き別れなんて、最悪のね。

 

「目の前で死なれたのにね。いえ、死なれた故に、かしら?」

「うっさい紫。ていうか居たなら居たっていいなさい。盗聴は許さないわよ?」

「あら、ごめんなさい。」

 

手の甲を口元に当てて、クスクス笑うは八雲紫。

 

「あ、紫さん!」

「久しぶりね、夕美。」

 

紫は夕美が神隠しのさいに飛ばされた境界の主なので、夕美とは人より少し親しい。

 

「まぁ、何にも用がないと言うわけではないでしょ?わざわざ出てきたってことは。」

「相変わらずの勘の良さね。……話があるわ。桜花妖人は、確かに死んだわ。……ただ、今は三途の川にいるっぽいわね。」

「!それどういうこと!?」

「さぁ、どういうことでしょう?」

 

そう言って紫は境界の中へと消えた。……紫の悪いところの一つ、中途半端に情報を教えて悩む私達を楽しむところが出た。

 

「全く……、何が言いたかったのやら……。」

「……。」

「?どうしたの魔理沙?」

「あぁ、いや、その何だ……、もしかしたら、いけるかもしれない。」

「何が?」

「はしょって説明するのも何だから、そこら辺も説明するぜ。」

 

そう言って、どこから持ってきたか黒渕の眼鏡をかけた魔理沙に説明を受け始めた。……そして、妖人の元へ新聞が届くのは、今から二時間後のことである――。

 

――――

 




長い間をかけてしまいすいませんでした!遠山tsunです!
突然ですが、次回最終回です!
本当に突然ですみません……。実は、これいわゆるOVAみたく考えてたもので、三話構成で考えていたのです。最初に言い忘れていました。これは自分のせいです、改めてすみません……。
もし、それでもいい、というかたは、次回、最終回も……ゆっくりしていってね!
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