~15年前~
「お前がジジイの言っていた織斑か?」
「あぁそうだけど・・・えぇっと君は?」
「俺か?俺はジジイの弟子の・・・って俺のことはどうでもいいんだ。もう一度聞くがお前がジジイに会いたいって言ってきた織斑って奴か?」
「そうだけど・・・。草壁さんは?」
「ジジイはどこか行った。もうすぐ帰ってくるはずだ。」
「お主は・・・相変わらず師匠に敬わない奴じゃの。もう少し師匠を敬うことを覚えよ。」
「っけ。誰がジジイを敬うか!」
「まったく・・・それで君が織斑くんかね?」
「は、はいっ俺・・・じゃなくって私が織斑春樹です!」
「ふむ、もう少し楽にしても良いぞ。どっかの馬鹿弟子のように楽にしすぎも良くないが。」
「えぇっ!そんな草壁さんに対して恐れ多いです!」
「そんなにかしこまられても困るのじゃが・・・まあ良い。それでこの老いぼれに何の用かの?」
「はいっ・・・ええっと・・・」
「さっさと言えよ。」
「こりゃっ!人の話に口を出すでない!すまんのう・・・続けてくれて構わんよ。」
「はい!俺・・・私に魔法を・・・」
――――魔法を教えてください!――――
~IS学園付近/海岸~
IS学園付近の海岸線に2,3人の人影があった。普通ならば、部活の練習や散歩など色々な目的で使われるため何も問題はないのだが、いかせん今は朝日が昇るどころか早朝と分類されるかどうかも怪しい時間帯である。さらには、
「いいか?制限時間は15分だ。それ以上となると学園側に気づかれる可能性がある。なんとしてでもこの作戦は成功させねばならんのだ。例のアレの設置を急ぐぞ!」
ゴムで出来たスーツに背中からいくつも機械が取り付けられている男たちは急ぎ自らに与えられた作戦を行おうとする。その手際は鮮やかとしか言いようがないものであり、男たちの腕の良さが伺える。普段だったら彼らはその使命をまっとう出来ただろう。――――普段だったならば――――
「やれやれ、いずれはこうなると思ってたが・・・まだ入学して一日も経ってないぞ。いくらなんでも早すぎるだろ。」
黒いローブという御伽噺の魔法使いそのままの格好でそう言う大輝は黒い靄のようなもので包まれておりその全容を見ることができない。――いや、見ることはできるが脳が認識することができないのだ――その事実が理解できた男たちは常識を超える出来事に指先一つ動かすことができない。
「んで?お前ら何?最近流行りの男性操縦者がお目当てか?それとも別の奴か?まあ~どちらにしてもここで逃がす気はないがな。」
独り言のように呟く大輝に男たちは話すことをしない。否、できない。少しでもスキを見せればその瞬間に自分たちはこの得体の知れないナニカによって殺される。それが理解できたから。もはや男達に作戦遂行の文字は頭になく、ただどうやってこのナニカから生きて逃げるかそれだけが頭に残っていた。
――――ただ男達にとって不幸だったのは
「まあ、いいや。こっちも訳ありでね。スマンが・・・
死んでくれや。『暗闇』」
彼がそんな希望など微塵も残らず叩き潰せる魔法使いだったことだろう――――
闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇闇ヤミヤミやみやみ――――!
闇としか形容できないナニカが男達にまとわりつく。声を上げることも、身動きすることもできずにまるで普通に眠るかのように瞼が下がる。力が抜ける。一秒もしないうちに男たちも男たちの持ち物も闇の中に沈んだ。残ったのは初めから何事もなかったような早朝の静けさと穏やかな海があるだけだった。
「やれやれ・・・初端からこれだと結構きつい仕事だな。おかげで睡眠不足になりそうだ。給料は高くないとやってけないぞ。そうは思わないかな?お嬢さん?」
「っ!気づいていたのね・・・参考までにいつから気づいていたのか教えてもらってもいいかしら?魔法使いさん?」
水色でショートカットの髪。十人が十人美少女と呼ぶ容姿の女性がそこにいた。ただし
――――IS装備で――――
水のヴェールとその見た目から見ようによっては幻想的なドレスのようにも見えるだろうその優雅な機体とは反対に操縦者の顔には警戒と困惑の二文字があった。
「いつからって初めからだよ。初めから。お嬢さん年の割に気配消し方うまいな。これは将来が楽しみだ。」
「初めから気付いていたって言ってるのだから、お世辞にもならないわよ?ふぅん?それにしても魔法使いってまだいたんだ?絶滅してって聞いたけど・・・」
「大半は死んだ。もう俺のような規格外くらいしか残ってないだろう。あと俺は敵じゃないからその物騒なもんしまってくれないか?」
「不審者にそう言われて、はいそうですかって信じると思う?」
「思わないな。」
「でしょう。」
「「・・・・・・」」
沈黙。二人の間に気まずい雰囲気が流れる。もっともこの二人は恋人でも友人でもないので気まずくても問題はないのだが。
「あ~俺そろそろ眠くなってきたんで行くわ~」
「少しお話聞きたいからこの後一緒に食事でもしない?カツ丼でも奢るわよ?」
言外に逃がさないと言い、ISの武装まで取り出し、相手を
「悪いが眠いし、積みゲーが溜まっているんだ。帰るよ。『転移』」
「!?ちょっと待ちなさい!」
そう言った時には転移は完了し、そこには誰もいなかった。
「魔法使いね・・・厄介なのが出てきちゃったな~どうにか対策取らないとね・・・」
そう言い寮に帰る彼女。彼女もまさか数キロも離れてないところに
~IS学園付近~
「しくった・・・飯がない・・・やっぱり奢るだけ奢ってもらって逃げればよかったか・・・」
彼女と彼が再び会うのはそう遠くない未来の話。
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