ザイードに憑依して暗殺王を目指す!?   作:たくヲ

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注意!!

この作品はあらゆるところで扱いが酷すぎるアサシンズを活躍させるために作成した小説です。


プロローグ

聖杯戦争。

 

あらゆる願望をかなえる万能の願望機、聖杯を求め、七人の魔術師はサーヴァントを召喚・契約し、他のサーヴァントと争い奪い合う。

 

剣士(セイバー)弓兵(アーチャー)槍兵(ランサー)騎乗兵(ライダー)魔術師(キャスター)狂戦士(バーサーカー)暗殺者(アサシン)。それらのクラスでよばれるサーヴァントは歴史に名を残し、人々に信仰されるようになった、英霊。

 

歴史上4度目の血塗られた戦いが幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後の英霊、キャスターが召喚されたことで聖杯戦争が始まった冬木の地で、早速動き出したサーヴァントとマスターがいた。

 

暗殺者(アサシン)とそのマスターの言峰綺礼である。

 

「早速だがお前には遠坂邸に向かってもらおう」

「と申しますと」

「お前ならあの要塞のような遠坂邸の魔術結界も恐れるに足らんだろう」

「よろしいのですか?遠坂時臣とは同盟を結んでいるとのことでしたが」

 

聖杯戦争を始める前に言峰綺礼は聖杯戦争を計画、生み出した御三家の一つ、遠坂家の現当主である遠坂時臣に弟子入りし魔術を学んでいた。しかし、聖杯戦争に参加するマスターの証である令呪を得たことで師と決別した……というのは表向きの設定である。実際は遠坂家に聖杯をもたらすため同盟を結び協力していたのだ。

 

それを知っていたサーヴァント、アサシンは疑問を抱く。

 

「それは考慮しなくていい。たとえアーチャーと激突することになろうとも恐れることはない」

(通常、我らが真っ向から激突して勝ち目がないであろうアーチャーを恐れることがないと言うとは。遠坂のサーヴァントはそれほどに弱いのか?)

「速やかに遠坂時臣を抹殺しろ」

「御意」

 

霊体化して遠坂亭まで急ぐアサシン。

 

サーヴァント戦において最弱とされるアサシンとはいえそのスピードは人間と比べ物にならない。

 

遠坂邸の近くへとたどり着いた。そのまま遠坂邸の周囲に張られた結界の盲点を抜けていくアサシン。

 

ある程度近づき結界の盲点がなくなったところで結界の機能を物理的に停止させるため実体化し。

 

僅かな結界の盲点をついて、庭の中央にある台座の上の宝石に近づいていく。

 

(ふむ、この調子であれば苦も無く抹殺できよう)

 

そう思いながら破壊するために宝石に触れようとし、

 

飛来した槍に宝石ごと右手を貫かれた。

 

遠坂邸の庭の結界が解れる。が、右手を台座に縫いとめられ動けない。

 

とっさに左手で腰の短剣(ダーク)を抜いて、槍の飛んできた方を向こうとして、

 

「地を這う虫ケラ風情が、この(オレ)を見ることを誰が許した?」

 

そんな言葉とともに雨のように武器が飛来した。

 

(あれが、恐れるに足らんと?)

 

最期の時。アサシンはその姿を見た。

 

圧倒的な威圧感を纏う黄金の立ち姿。背後の黄金の揺らぎとそこから覗く宝具軍を。

 

勝てるはずがない。アサシンとアーチャー。クラスでの差などという小さな問題ではなく、英霊としての格が違いすぎる。

 

そこまで考えたところで飛来した剣で頭を貫かれアサシンの意識は落ちた。

 

「貴様は俺を見るにあたわぬ。虫ケラは虫らしく地だけを眺めながら、死ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なるほど、あれが英雄王、ギルガメッシュっすか。あれが王気(オーラ)ってやつなんすかね?

 

あ、俺、アサシンの人格の一つ、ザイード……に憑依した一般人っす。

 

なんでこうなったのかというと、俺が一番聞きたいわけなんすけど。

 

ザイードの憑依した時に聖杯からの知識が流れてきたからこの世界がFateの世界だと分かったわけっす。ザイードに憑依したのがわかったのは他のアサシン人格にそう呼ばれたからっすし。

 

でもザイードって流石にシャレにならないっすよ?

 

アサシンのクラスで召喚される『山の翁』ハサン・サッバーハの一人『百の貌のハサン』。もっている宝具『妄想幻像(ザバーニーヤ)』の効果は自分の多重人格の一つ一つに体を与えて群体として活動できるようにする、と言うものっす。

 

そんな中の一体、ザイードは原作Fate/Zeroでアーチャーに殺された作中最初の犠牲者っす。とはいえ生き残っていた他の人格は征服王の宝具で蹂躙されたんすけど。

 

要するにすぐに死ぬサーヴァントなんすよ。二次創作とかでもひどい目にあっているのは大抵アサシンっす。

 

ま、まあとにかく頑張って生き残るっすよ!!前向きに生きるのが俺のモットーっすから!!

 

とはいえ、アサシン人格Aには悪いことしたっす。言峰綺礼に呼ばれた時に他のアサシンに「ここで手柄を立てておけば後々使えるかもしれないっすよ」って言ってみたら自主的に行ってくれたんすけど。

 

さて、生き残るためなら何でもやるってのも俺のモットーっすから早速行動するっすよ!

 

幸い遠坂邸の庭の結界はアサシンAに壊して貰えたっす。ちょうど霊体化してアーチャーが屋敷内に入ろろうとしている所っすし、霊体化して『気配遮断』ですぐ近くをついていけばきっとばれないはず……っすよね?

 

アーチャーが霊体化したのを見てその気配を追うように屋敷に侵入するんすけど、いつまでたっても霊体化ってのはなれねえっすねえ。なんかふわふわしてて。

 

中に入ると遠坂時臣とアーチャーが話していたっす。

 

「随分とつまらぬ些事に、(オレ)を煩わせたものだな」

「恐縮であります」

 

遠坂時臣のこの態度は俺らアサシンに対しての言峰綺礼の態度とは大違いっすねえ。

 

まあ、遠坂時臣と言えば現代まで生き残った貴族とまで呼ばれる男っすし、さらにこのアーチャーの威圧感を前にしたらほとんどの奴は同じ態度になるっすよ。俺も正面から話してみたくはないっす。

 

そう考えると原作のウェイバー・ベルベットはすごいっすねえ。この威圧感に相対してるんすから。

 

「英雄王の威光を示したことで、もはやいたずらに噛みついてくる野良犬もいないでしょう」

 

噛みついてくる狂犬(バーサーカー)はいるっすけどね。

 

「しばらくの間、様子を見て狩り落とすべき獅子を見定めましょう。どうかそれまでは今しばらくお待ちを」

「良かろう。しばらくは散策のみで無聊を慰められよう。この時代なかなかどうして面白い」

「お気に召されましたか?」

「度し難いほどに醜悪だが、それはそれで愛でようがある。だが肝心なのはこの時代に我の財に加えるだけの宝物があるかどうか、だ」

 

どうでもいいっすけど、この話さっさと終わらねえっすかねえ?

 

つーことで、しばし俺ことザイードについて多少説明させてもらうっす。

 

ザイードに憑依してから一番困ったことは勿論、戦闘技術っす。アサシンは基本的に偵察、暗殺に特化してる英雄っすから戦闘になることはまずないっすけど、それでもできることに越したことはないっす。とはいえ、体が覚えているのかなんなのか知らないっすが、短剣(ダーク)を5・6回投げたらほぼ百発百中になり、気配遮断や霊体化もなんとなくで、できたっす。

 

ところで、憑依して気が付いたんすけど、ザイードって得手がない代わりに不得手もないっぽいんすよねえ。昨日木の上で寝ていたらザイードの前世の記憶的な物を得たんすけど、このザイード人格って徹底して目立たないように、なおかつ失敗してはいけないみたいな状況で使ってた人格らしいんすよ。

 

しかし、なんでザイードの記憶が俺に入ってきたんすかねえ?マスターがサーヴァントの夢を見るのと同じようなモンっすか?

 

「……その聖杯とやらがどのような宝であれ、我の許しもなし雑種どもが奪い合うなど見過ごせんからな」

 

いつの間にか話が終わっていたっす。アーチャーは霊体化して姿を消し、残されたのは遠坂時臣と霊体化した俺。

 

「やれやれ」

 

アーチャーの気配が屋敷から消えてから少し待たんくちゃいけないんすよねえ。できるだけ時間は欲しいっす。

 

「まさかギルガメッシュがアーチャーの位で召喚されるとは……」

 

ああ、ギルガメッシュの単独行動スキルはAっすからねえ。マスターが魔力供給しなくても一週間は行動可能らしいっすし。

 

マスターにとっても敵にとってもめんどくさいスキルなんてこれくらいだと思うんすよねえ。あ、そういえば精神汚染スキルがあったっすね。

 

遠坂時臣は椅子に座っているっす。優雅に。しかし、憑依しただけとはいえ俺たちアサシンを使い捨ての道具にしておいてこの態度……腹立つっすねえ。

 

遠坂時臣に霊体のまま背後から近づいて実体化し

 

「しかし当面のところは、綺礼に任せておけばいい。……今のところは予t」

「残念っすねえ。でも世の中っていうのは予定通りに事が進むことの方が珍しいんすよ?」

 

短剣(ダーク)を頭に突き立てた。




作者のたくヲです。

この作品は現在投稿中の三作品が完結してから投稿していく予定です。

ちなみに『目指すシリーズ』のそれぞれの作品は特に関連性はありません。

それでは『ザイードに憑依して暗殺王を目指す!?』をよろしくお願いします!!

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