ザイードに憑依して暗殺王を目指す!?   作:たくヲ

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計画を立てるのは大切っす?

 教会地下室の扉を開き中に入るっす。

 

 部屋のソファには言峰綺礼が座っているっす。原作ではこの時間は舞弥を襲撃していたはずなんすけど、かなりの原作とのズレっすね。どうでもいいっすけど。

 

「さて話し合いの時間っすよ。聖杯に願うことは思いついたっすか?」

「サーヴァントがわざわざ扉を開ける必要はないだろう」

「気分っすよ」

 

 さて、カウンセリングのお時間っすね。

 

「それであんたの願いは決まったんすか」

「考えてはみたが、やはり思いつかない。以前も言ったが私は何の情熱も悲願も持たない人間だ」

 

 ですよねーっす。

 

「ならば感動を探してみるってのはどうっすかね?」

「感動?」

 

 愉悦に目覚めさせることができれば何とかなりそうっすけど、難しいっす。英雄王式愉悦説得法はあのカリスマのおかげだと思うっすから、俺じゃだめそうっす。だから俺は俺のやり方で何とかしようと思うっす。

 

 俺はそのまま言峰綺礼の座るソファの前にあるテーブルを挟んで向かいのイスに腰掛けるっす。

 

「それにしても、この部屋には酒が多いっすね」

「酒の味が人の心を動かすこともあると聞いて買い始めたのだが、いつの間にやらこうなっていた。成果は得られなかったが」

「人の心を動かすものは人それぞれっすからね。例えば説教を二時間受けて感動しない人が数分の歌で心を動かされることもあるっす。またその逆も」

 

 某ラノベのヒロインも似たことを言っていたっすね。

 

「人っていうのは生まれながらにして何らかの物事に心を動かされるようにできてるんすよ」

「だが私は一度たりとも心が動かされたことなど……」

「なら、それを見つけることっすね。そしてそれに情熱を向ければいいっす」

 

 投げやりな感じっす。しかも何も解決してないっすね。

 

「安心してほしいっす。言峰綺礼。あんたの願いはもうすぐ叶うはずっすから」

「!?」

 

 さて行くっすかねえ。

 

 俺は霊体化して部屋から出て行こうとして

 

「まて」

 

 言峰綺礼に止められたっす。

 

「なんすか?」

「貴様は知っているのか!?私が長年探し求めてきた答えを!」

 

 珍しく取り乱しているっすね……ここはもっともらしい理由を付けて回答するべきっすかね。

 

「俺たちが『百の貌』のハサンの異名をもつ理由は数十の人格をもつアサシンだったからっす。死ぬまで、まったく別の人格と共に生きてきた俺にとってはあんたの人格、本質を見抜くことなんて簡単なことなんすよ?とは言っても俺以外が知っているのかはわからないっすけどね」

「なら教えろ!これまでの私の苦悩がはれるというなら……」

「それもいいかもしれないっすけどね。でもこういうものはあんたがあんたの力で見つけるものなんすよ。まだあって数日の俺が『あんたはこういう人間です』といったところであんたは満足させることはできないっす」

 

 まあ実際はここで言ったら、自害せよENDに一直線な気がするからなんすけど。

 

「でもあんたが答えを、あんたに必要な『何か』を探すっていうなら、俺はあんたに全面的に協力するっすよ」

 

俺は霊体化して部屋を立ち去ったっす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これより第二回アサシン会議を始めるっす」

 

 

 教会の一室にアサシンが30人ほど集まっているっす。集まっていないアサシンは二人一組でマスターの監視および探索を行っているはずっす。

 

 ちなみにライダー暗殺に協力してくれた『変装』の専業スキルを持つ小男アサシンには遠坂邸に戻ってもらっているっす。聖杯の器を保護してもらわないといけないっすから。……といっても、きっちり隠してきたんすけどね。

 

「まずは状況の整理っすね」

「セイバー陣営のマスターの弟子と思われる女を暗殺。ホムンクルスの誘拐に成功した。マスターとサーヴァントは別行動をとっているようだ」

「戦利品はあるっすか?」

「暗殺した女の通信機、短機関銃一丁と替えの弾倉、アサルトライフル一丁に替えの弾倉、ナイフ2本。マスターと思われる男の持っていた手榴弾2個、狙撃銃と替えの弾倉。セイバーから逃げるためこれだけしか奪えなかったが」

「十分っすよ。ありがとうっす」

 

 これでセイバー陣営の戦闘能力は一気に低下したっすね。とはいえ、トンプソン・コンテンダーと起源弾はまだ持っていて、最強の兵器(サーヴァント)であるセイバーもいるっすから、油断はできないっすね。

 

 しかし、セイバーと別行動さえとっていれば暗殺は容易。アサシンも見張ってるっすから、ほぼ問題はない……はずっす。

 

「気になった行動としては冬木ハイアットホテルに火をつけていたことだな。その後何かよくわからんが何かのスイッチを押していたが、何も起こらなかったな」

「まあ仕方ないっすね」

 

 爆師アサシンさん、罠師アサシンさんがマッケンジー宅爆破に使ったっすから。

 

「以上だ」

「次はバーサーカー陣営だ。バーサーカーのマスターに攻撃したアサシンの内一人が死亡、もう一方は手傷を負うも逃げ切った。気配遮断を使って監視していたアサシンの報告だと、マスターはバーサーカーが暴れ出した瞬間から苦しみ出したらしい」

「そこまで魔力が多くないんすかね?」

「バーサーカーが戦っている間に暗殺してもいいのではないか?」

 

 それでいい気がするっすね。バーサーカーと間桐雁夜がいることで俺に生じるメリットはほとんどないっすから。

 

「構わないっす。ただし今回の件で分かったと思うっすけど、バーサーカーは俺たちが束になってもかなわないほどに強いっす。マスターの暗殺をする時にはバーサーカーを引き離す必要があるっすね」

「となると我らのうちの誰かを囮にするか、他のサーヴァントと戦っている隙を突くかということになるな」

「とにかく監視は継続すべきっすね。……あ、いいこと考えたっす」

「ん?なにを思いついたんだ?」

「それは後で話すっす」

 

 今は現状把握が優先っすよね。

 

「ランサーのマスターですが魔術によってこちらの攻撃を防いでいましたね。後ろから攻撃したのに反応しきっていた所からして、暗殺は難しいかと思います」

「仕方ないっすね」

「ランサーのマスターとともに行動している女は結界にこもって出てきませんので、こちらも暗殺は難しいかと」

「こっちについても考えはあるっす。とにかくランサーと戦うことにならなければ大丈夫っす」

 

 さて、次は……。

 

「キャスター陣営、ライダー陣営、の暗殺は完了したっす。もう気にしなくてもいいっすよ」

「ほう」

 

 アーチャー陣営については言わないっす。言峰綺礼が感覚共有でこの場を見ている可能性もあるっすから。

 

 さて、これで残りはアサシン陣営、ランサー陣営、セイバー陣営、バーサーカー陣営だけっすね。

 

 『敵陣営を全員倒しつつ』、『言峰綺礼を改心もしくは愉悦に目覚めさせ』、『なおかつ言峰綺礼に愉悦材料にされない』ようにする。という三つをしなければならないわけっすね。

 

「全員監視は継続、セイバーのマスターの監視には『罠師』『爆師』の専業スキルを持つ二人に追加で行ってほしいっす」

「なぜだ?」

「あのマスター、火薬を使うらしいっすから、回収できると思うっす。二人にとっては悪いことじゃないはずっす」

「なるほどな」

「では向かうとしよう」

 

 衛宮切嗣にはどんどん罠を張ってもらうっす。その罠をアサシンさんとアサシンさんが解除すればこっちの装備がどんどん増えるっすから。

 

「あとは今まで通りで大丈夫っすか?」

「問題ない」

 

 さて、第四次聖杯戦争はこれからが本番っすよ?




 たくヲです。

 今回短め。

 あとがきも短め。

 三話ぶりに暗殺シーンがありません。

 これからも『ザイードに憑依して暗殺王を目指す!? 』をよろしくお願いします。

 

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