ある日目覚めると全く知らない場所にいた。
病院の手術台のようなベットの上で目覚め、自分の体が縮んでいることに気がつく。
(いくらなんでもこれはおかしい)
自分の頬を引っ張ってみても、痛みと感触が夢ではないことを伝えてくる。
しかし自分の視界に入ってくる。自分の手と胴体は昨日までの見慣れた自分でないことを如実に伝えてくる。
白い肌と二つの小さな山、ほかにも挙げればきりがないが、記憶にある自分は男だったはずだ。
しかし今の自分は、なんとも儚げな少女のそれと変わらないだろう。
周囲を見回して、鏡の中に映る自分を見たとき、その驚きが全く顔に現れなかったのを覚えている。
この顔は、自分の周囲にはいないが知っていた。
名前はディー・トリエルまたはノーマ・レギオ、とあるゲームのキャラクターだ。
その中で、主人公の役割を持つ少女であり、かつ僕の考えた最強の~に、類する生まれである。
トリエ本人に憑依したのなら、ここがどこか見当もつくが、この体が覚えている記憶からそれは違うと否定できる。自分の記憶が二つあるようで、いささか混乱するが深呼吸を一回したら整理がついた。
軽く目を閉じて気になるワードだけを記憶の中から抜き出してゆけば、出てきたのは、ゲシュペンスト、ヘリオス・オリンパス、テスラ・ライヒ研究所などなど、こちらもあるゲームに出てくるワードである。
などからわかる情報を統合してゆくと、ここはOGの平行世界それもシャドウミラーのいる世界であるとわかった。
それだけわかればここに閉じこもっていても仕方がない。
いつまで時間があるのかわからないが、アインスケとその仲間たち(ベーオウルブズ)が暴れているのは、記憶の中のキーワードが示しており、それほど時間がないとはあながち間違いではないだろう。
この世界から、本流であるフラスコの中の世界へ行くチャンスは、原作の範疇から考えればたったの二回、一度目は時流エンジンの暴走、二度目はシャドウミラー隊の最終便への便乗。これ以外にない。
これらを逃せば、本流に加わることなくこの世界で滅びを待つことになるだろう。
いっそそれもいいかもしれないとは考えたが、どうせなら介入できるだけしてしまおうとは、もと中二病患者としては考えてしまうわけだ。
ここに私がいるのならば、私が計画に組み込まれているのなら。
ここにあるはずだ、私の翼が、手足が。
廊下を出てからいくつの砂の塊を踏んだことだろうか。
これが、自分と同じ存在だと無意識に解ってしまったのはいくつ目だろうか。
おそらくオレンジのサングラスを見つけた時だろう。
こみ上げない、しかし感覚として戻したくなるのだ。
弔っている時間はない、なぜかはわからないが、それだけははっきりとしている。
もしかするとサイコドライバーの可能性のある人間の遺伝子も組み込まれているのかもしれない。
きちんと考えれば考えるほど、深みにはまってゆく。
一旦考えを放棄し、一路記憶の中にある格納庫へと急ぐ。
格納庫の一角にそれはあった。
天使の輪のようなモノについた独特な翼(ナノマシン制御装置)、そして白いボディ。
間違いなくセンチュリオである。
七枚羽なので、コンスラーレまたはインペラトールのどちらかだろう。
乗り込めるように片膝をついていたのでそのまま乗り込む。
なんとなく持ってきてしまったサングラスをかけながら、一人つぶやく。
「私にできるの?」
私、自分の中の定義が私という一人称でディー・トリエルとして固まった気がする。
無論これは戯言かもしれないが、彼女を模倣する必要はないかもしれないが、私という存在が彼女に限りなく近い存在になってしまったことは、揺るぎようもない事実だ。
ならばせめて彼女に近づけるようにしておこう。
本物になれない偽物の精一杯の努力だ。
機体に火を入れる。ここで動かなかったら、私はあの砂をしっかりと弔おうと思う。
「……動いた」
正直奇跡としか言い様がなかった。
整備ができなければどんな高性能機といえども、ただのガラクタでしかないのだから。
無論それがフルナノマシンモビルスーツであろうと、だ。
格納庫の天井に穴を開けそこから飛び出す。
それなりに上空に来たところで、条件付きのメールが入った。
内容は、世界地図に記された現在位置及びテスラ・ライヒ研究所の位置とことが起きるまでのカウントダウン、そして私に宛てたメッセージ。
たったこれだけだった。
初めてなのに何度も行うかのような動作で再生する。
『このメッセージを聞いたということは君がこの機体を使ってこの研究所から、離脱したのだろう。
申し訳ないとは思っている。けれど僕自身は、彼らのそれに賛同することができなかった。
闘争によって継続する世界で生まれた君を、戦いから遠ざけることは矛盾しているのかもしれない。
けれどもし、それ以外の世界で幸せを見つけることができたのなら、こんな世界が間違っていると言った僕の幸せの一つだろう。君以外の、散らせてしまった君の仲間たちにも申し訳が立つ。
いや違うな、これは僕のいいわけだ。君が悩む必要はない。
最後に言っておく、君が、君だけが、僕の権限からのがれ、自分を確立したんだ。
それは僕の喜びだ。君に幸あれ』
ほどなく、研究所そのものがナノマシンの繭に包まれてゆくのが見えた。
巻き込まれないほど上昇していたわけではないはずだが、いつの間にか研究所は、自分の小さなの手のひらに包めるほどに小さくなっていた。
画面の向こうに思わず手を伸ばして、つかめないこと認識して。
ぼやける視界に自分が初めて泣いているのだと気がついた。
軽く涙を拭うと、それだけで世界は普通に見えるようになった。
「テスラ・ミノフスキー・ドライブ、最大起動。行きます」
瞬く間に遠ざかる研究所、いちろ目指すはテスラ・ライヒ研究所である。
『G』の日記を見る→俺もこんなの作りたい。
シナリオはOGに決定したものの、実はオリ主がヴェスバーをもつ機体で駆け抜ける設定だったのですが。
ふと何気なく見た大百科に出てきたキャラを見てこれだと思い。
このキャラクターにしました。
どうぞよろしくお願いします。