スーパーロボット大戦OG~駆け抜けるD~   作:ash.w

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シラカワ博士に感謝。


暇を持て余さない試作と振り回される軍団

 みんな何かしらの予定が入った。

 それに私は、合わせるわけには行かなかった。

 確かめなければいけないことがあったから。

 それをするためだけに無理を言って作ってもらったのだから。

 その何とも言えない緑の液体を眺めながら一気にあおることにした。

 

 

 

 

 模擬戦とはいえ実弾込みなのだから、危険だとは思う。

 それでもイングラム少佐が強行するのには、急ぐ理由があるのかもしれない。

 そんなことを、画面の向こう側で見ていた。

 あのリオンについて聞きたいことがあったそうだが、私に聞かれてもわからないし、そもそもあれを開発したのは騎士だ。

 彼女なら何か知っているのかもしれない。

 私専用のゲシュペンストにもとんでもない仕掛けが隠されているんじゃないかと思う。

 それこそ私に――

 

 

 

 

 

 

 本来の史実ならばそこで模擬戦は終わっていたはずだ。

 だが、ここに魔改造されたバーニングPTが持ち込まれたことで話は変わる。

 二戦目は、一対四のハンデ戦。

 結果は、いずれの記録にも残されてはいない。

 

 

 

 

 

[四人の会話より]

 

「――話は変わりますが、二戦目、戦ってどうでしたか」

 

「あのパイロットは異常だな、二回しか実戦に参戦していないにもかかわらず異常な反応だ。しかもこちらの機体の癖を、先ほどの模擬戦だけで見抜いたということになる」

 

「ヴァイスちゃんの懐に飛び込むためにほかの機体を踏み台にしたり、アルトが突っ込んできたのを見もしないで感じ取って、ヴァイスちゃんをクレイモアの盾にしたり、あのゲシュちゃんも異常ねぇ」

 

「正直、トリエの乗るゲシュペンストは、EOTが組み込まれているんじゃないかと思う。それもグランゾン並に全身至るところ」

 

「スペック上は、ほかのゲシュペンストとなんら変わりないみたいだけど?」

 

「それではあの異常な動きにつながりません、たとえデータ上の機体だったとしても、こちらも、そしてあなたがたの機体もほとんど完全に再現されています」

 

「そうだな、アルトのGを完全再現できるシミュレーターが、子供のおもちゃだというのもおかしい。こんなものを導入すれば、訴えられてもおかしくない」

 

「ヴァイスちゃんもなんら変わりなくて驚いたくらいよ。これもそのブルーバード(フリーダムの連邦側の呼称)パイロットちゃんが関わっているの?」

 

「確かです。尋問した限り、レギオまたはレギオンという名前の人物としか。わかりませんでしたが」

 

「あの子を託したのも、そのレギオって子だよな。声は変えていたから、年齢とかは全くわからないけど」

 

(あのトリエという少女に目を向けておいたほうがいいのかもしれん)

 

 心の中でキョウスケは考えていた。

 

(無垢な目をしていた――まるでなんの情報も与えられていないかのように)

 

(まさか、こちらに何一つ警戒心も抱かせずに保護させるために?)

 

(そこにどんなメリットがある?)

 

 真実は未だ、暗闇の中である。

 重営倉入りをまぬがれたブリット曹長の登場により本来の流れを取り戻し、キョウスケは思考するのを中断した。

 最も真実に近づいていたのは、この時ならば彼を除けば一人だけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今私がいるのは、L5宙域――そう、宇宙です。

 

『おい、聞こえてんか! そこのヒュッケ顔のPTのパイロット!!』

 

 いいえ、そんなに似てません。

 森の中、フリーダムの中で眠っていた私は何者かに突然揺さぶられ目を覚ますと、寝起きグランゾンという最悪の目覚めをした。

 そんな驚きと恐怖で混乱中の私をよそに、ネビーイームのあるこの宙域へと、移動させられました。

 そんなに関わるつもりがなかったんですよ。銃口までは、絶対に。

 そんな私の思いを知ってか知らずか、あしながお兄さんはこう言い残しました。

 

『あなたが眠り姫を残した理由には、察しがつきましたが、それでは逆効果ですよ。命の重みというのをしっかりと知ってくることです』

 

 そのまま戦闘に入り、勝手に離脱され、置いてきぼりにされました。

 そんな未だに混乱中の私に、ビシバシ通信をしてくるのは、オクト小隊の隊長カチーナ・タラスクである。

 とりあえず、やかましい彼女と話しても、何の解決にもならない。

 こちらはこちらのやり方を通そう。

 

「こちらブルーバード、パイロットのノーマ・レギオ少尉です。ヒリュウ改応答願います」

 

『おいこっちを無視すんじゃねぇ!』

 

『落ち着いてください、カチーナ中尉』

 

 いいぞ~そのまま抑えといて~汎用BGMの人。という身も蓋もない考えが自分から漏れる。

 私は一度その考えを振り払うためにオホンと咳をつき、再びヒリュウ改からの返答を持った。

 

 

 

 

 

 

「どうしますかな艦長」

 

「通信を開いてください、どのみち戦力は必要です。それに情報も」

 

「そう言うと思いました」

 

 通信が接続されると画面が暗いまま音声だけが、聞こえてくる。

 

『申し訳ありません。機体のコックピットも機密の一つなので、このようにサウンドオンリーにさせていただきました』

 

 聞こえてくる声は、口調自体は女性のものだが、その声色は明らかに機械音声だ。

 

「こちらが信頼できないということでしょうか?」

 

『いいえ違います、どちらかといえば私の気持ちの――いいえなんでもありません』

 

「わかりました。聞かなかったことにします。それでは――」

 

 その後、サイバスターのパイロットとの話し合いも終わり、奇妙な共闘体制が敷かれることとなった。

 要求は、食料のみで整備やその他条件は付けず着艦もしない。コンテナを使った受け渡しということになった。理由を聞けば、

 

『かつての敵と会うのは、いささか問題がありますし、それに彼女は、私に突っかかってくる気マンマンでしたし』

 

 と答えている。

 真実は異なり、その実、顔を見られれば、誰もが私とトリエとの関係を聞かれずにはいられないだろう。

 私も自分もそんなことには、慣れていないので、どんな言葉からぼろが出るかわからない。

 それを避けたかったのだ。

 そんな彼女の思惑は、トリエには関係なかったようなのだが。




目覚めると目の前にグランゾン。
あなたは、正気でいられますか?
私はいられる自信はありません。
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