ということで、別名回答編です。
伊豆基地に戻ってきたら、シャイン王女がさらわれていた。
まだ残っている敵を叩かないと、追うのも難しい。
私は、右側に少しだけもやのかかる視界を見ながら、騎士に秘密の紙を渡せたことを確認した後、出撃した。
もう私が戦場に出られる回数はそんなに――ない。
コンテナに紛れ込んで、一枚の紙を見つけた。
多分姫のものだろう、筆跡が多少乱れているのが気になるが。
書かれていた通りの場所につく。
姫はまだ来ない。
「すみません、騎士。待ちましたか?」
ややゆっくりとした――まるで地面があることを確かめるように。しかし、それを悟らせない――速度で姫がやってきた。
「いいえ、私も今着いたところです」
当たり障りのない会話、むしろそれで終わることはない。
それはごくごく自然に差し出された――一枚の紙。
診断書と紙の一番上に書かれていた。
たったそれだけが目に入っただけなのに、なぜかそれを見ることを拒絶している。
覚悟を決めて、それを読んだ。
「まずは、あなたにそんなつもりがなかったことを私は知っています。ですから、私は怒りません――そして恨みません。あなたに託したいものがあるから、あなたと二人きりで、会いたかった」
紙の内容は、非常にフィクションめいたものだ。
神経細胞死滅による麻痺、眼球白濁による視界不良、味覚障害、内臓器官の一部に壊疽。
これで生きていられる人間がいるのだろうか。いても寝たきりだ。
ステージ4でも患っているのだろうか。
しかし、恨んでない怒っていない、託したいものがある。これらの言葉とこの一枚の紙が導く答えに私は愕然とした。
計画が、一気に崩れた。自分で用意した道がその実、鍾乳洞の上で、他人に歩かせたら即座に崩れた。
自分の足元が揺らぐ、そんな感覚に陥った。まるで大地が一瞬のうちに消えたようだった。
安全だと言っていたその場所が、殺人鬼の隠れ家だったような。そんな、何とも言えない後悔が私を襲う。
その衝撃の大きさに倒れるものかと思った自分の意志とは裏腹に、幼い私の心は完全に停止した。
心が、体を動かした。
声が声にならない、嗚咽が出てこない。
ただ、彼女に抱きついて涙を流しながら、謝ることしかできなかった。
「あなた以外の人間が乗ると、あのシステムがパイロットを蝕むように設計されていたんだって、あしながお兄さんからのメールで知ったの」
「だから試した……そしてわかった。だってクスハさんの特製ドリンクが、すんなり飲めたんだもん。数日前に、飲んで倒れたのに。だから今も進行している。ためらう気はないよ、だって――」
「あなたが、くれた命だから、私は、最後まで、私を通したいの」
泣いて謝ることしかしない人形が、その目を見開いて彼女を見る。
「だから、お願い。トリエからレギオへ託すの、名前を、あの機体を。きっとみんなを守れるように……ね」
「姫「違うよ、レギオ。私はトリエ、あなたと同じ、ディー・トリエル」っ!!」
「
「知って……いたのですか?」
「なんとなく、というわけじゃなくて。あしながお兄さんのメールに書いてあった」
ああ、私は馬鹿だ。
軽い気持ちだったのかもしれない。
その結果がこれでは、私は誰ひとり笑えない。
人造人間をタイムリミット付きで作った――バカを。
彼らと同じ馬鹿ではないか。
だけど言い訳は、してはいけない。
彼女が、覚悟しているから。
みっともない真似は、やめよう。
だから、一言言うんだ。
「……わかり……ました」
「よろしい。それから最後に忠告。あなたの血の繋がらないおじいちゃんのこと、血の繋がったお母さんのこと、どうしようって考えすぎちゃダメ。笑って見送って」
そう言って彼女は、ディー・トリエルと呼ばれている少女は去っていった。
私は、天を仰ぎ見て、そのままフリーダムに戻った。
紙は、私の手を離れて宙に舞い、そして砂になって風に消えた。
この言うタイミングの違いは、明確にトリエの心の違いに現れます。
受け入れる時間があるかないかは、その後に大きく関わります。
具体的には、新型機登場のタイミングでトリエの気力80か150になるかの小さな違いですが。気持ちが大きく変わります。
だからこそ、シラカワ博士感謝なのです。