作者に戦闘シーンは、描けないということが分かってきました。
一歩、また一歩、ただ歩くだけだ。
しかしその気迫、その威圧、ただの雑魚には出せるはずもない。
たとえそこに迷いがあろうと、その男は武人だ。
斬ることに迷いはない。
故に説得など通じることはない。
『迷っているんだ』
そう、トリエがつぶやく。それを聞いたブリット少尉が、説得にかかるが――
彼は迷いはしても、それを太刀に現すことはない。
結局、太刀と杭のぶつかり合いになることは変わりはしない。
なぜ、と考えるのは間違いだ。
彼は武人ゆえに、そうあるのだ。そう考えたほうが納得がいく。
古風な考え方をあえてしているのではなく、素のままの考えが古風なのだ。
ならば押して通るしかないのだが、PS装甲が物理主体の今の環境にあっているだとしても。
親分の大太刀は、受け止めきることは難しいと考えられる。
なので――
「ゼンガー少佐は、任せます。ジーベル氏はこちらで受け持ちます」
『随分と弱気だな』
「かけは、しないに限ります。それにこの装甲は、無効化できないとその脆さが顕著ですので。それに――」
『それに、なんだ?』
「私はあの人となんら因縁もありませんから、積極的に攻めたいと思いません」
『そうか……わかった。そちらは任せる』
「ええ、任されました」
スラスターを吹かし始める、後ろにはトリエもついてくる。
後ろを見ながら、ため息をつき――
「あまり、無理をしないように」
『了解。(ところで、ジュネーブは? これが囮なのでは?)』
「(大丈夫です。まだまだ攻め込まれません。なにせ、侵略の要が完成していませんので)」
私とトリエがライノセラスに向かう一方で、ATX、SRXチームが零式の方へ向かう。
オクトパス小隊、レオナ、ラトゥーニは私達の後ろについてくるつもりのようだ。
戦艦は、そのまま後方で待機している。
これ以外にも援軍が来る可能性を警戒しているのだろうが、まあ気にしなくていい。
「さぁ仕留めさせていただきますよ。ジーベル」
紙一重でその大太刀を避ける。
「ッ! 隙がない」
振り回した大太刀が周囲をなぎ払い、囲っていたはずの味方が一歩下がる。
たった一回の攻撃で、有利を覆す。その技は確かに、武人そのものだ。
七対一という数の有利を、この男は斬艦刀と己の技量でねじ伏せる。
大型機はそれゆえに生まれる隙はあれど、それをもってしても攻めあぐねるほどの気迫で迫る。
――が、それで立ち止まるような、賭けをしない男ではないのだ。
キョウスケ・ナンブという男は――
「その隙、逃さん!」
ステークが、その紙一重とも言うべき、武人が晒した隙を突く。
幾度となく巡ったチャンスをフイにしても、絶対に躱せない隙が必要だった。
そのチャンスが、この場にいた七機のうちの一機ではなく。
向こうに行った――たった一機からもたらされたものだということを、この場にいた全員が感じていた。
(ツキがあったわけではない、むしろ必然か)
利き腕に少なくないダメージを負わされた零式は、その男は――
決着をジュネーブまで預け、この場から去っていった。
後ろから撃つこともできたが、それが出来るだけの余力がある訳もなく。
まさに紙一重の勝利と言えよう。
(長引いていたら、こちらが負けていた。限界ギリギリまで手を出すつもりはなかったということか?)
その砂塵の向こうで、ライノセラスに突き刺さったステークを、じっと見ていた。
決着はついてはいないが、砂塵の戦いは終わりを告げていた。
今しがた思い出したように吹く、砂風の音がそれを伝えていた。
大きく予想図からずれています。
シラカワ博士に、ネビーイームまで連れてこられなければここまでの方向修正はなかったはずです。
シラカワ博士に本当に感謝。