スーパーロボット大戦OG~駆け抜けるD~   作:ash.w

21 / 31
オリジナル回です。



試作の覚悟、軍団の心

 彼女に無茶はさせられない。

 ということで乗り込んだものの。

 機体から降りないというのはまずいだろうか。

 じっと考えていると。

 トリエに――

 

「大丈夫、大丈夫だよ」

 

 優しく後ろから抱きしめられて、そう言われた。

 そう言われて、そんな風に抱きしめられたら。納得しちゃうじゃないか。

 

「ずるいですよ」

 

 オレンジ色のサングラスを手に取ろうとして、トリエに止められた。

 必要ないというかのように。

 フードみたいなそれを私にかぶせる。

 これで大丈夫だよというのかもしれないが、不安は残る。

 しかしこの材質、よく見たらABCマントのそれではないか?

 ナノマシンである程度それを再現できるとしても、ここまで再現できるとは思わなかった。

 確かにマントをかぶれば、それなりにごまかせるかもしれないが。

 ここで後述しておくのならばなんとかなった。

 ――とだけ言っておく。

 ダイテツ艦長に感謝といったところだ。

 

 

 

 

 

 

 接触は最低限にしておいたわけだが、もしや毒舌系キャラだと思われているのだろうか。

 イルムさんの心に、ブラックホールキャンをやんわりとぶち込んだだけなのだが。

 格好も含めてトラウマにならないといいなだけど。

 まあ気を取り直してくれるか。

 一人だけ――ラトゥーニ・スゥポータだけが私を睨んできた。

 知っているの? と、視線で聞くと苦笑いをされた。

 あの日、部屋に入ってきた人の一人だったと聞かされた。

 その際に、私たちが似ている理由。そして私が乗り込んできたわけ。

 全部喋ってしまったそうだ。

 私が秘密にしている、肝心なことは話していないそうだが。

 それでも納得できていないのだろう。

 私が乗ってきたことで収めようとした感情が、溢れてきているといったところだろうか。

 私は、彼女と二人きりで話さなければならないだろう。

 それが私の行いの結果だから。

 

 

 

 

 

 

 その日の夜、自分に当てられた部屋に来客があった。

 その人物は、私の予想した人物だった。

 

「こんばんは、こんな夜中に何のようでしょうか」

 

 マントを脱ぎ、瓶に入った水を、作ったワイングラスに注いでたずねる。

 

「ひとつ、聞きます。あなたに罪の意識はあったのですか?」

 

「罪の意識なんて、全くありませんでした。だって、私は世界一安全な場所を用意したつもりだったんですから。そこが、まさかアイアン・メイデンだったなんて、予想もしていませんでした」

 

「あなたは、あの子を殺すつもりがなかったと?」

 

「当たり前です。今現在、戦争中です。そんな中で――いえ、そうでなくとも、私は命をくだらないモノにするつもりはありませんでした。今となっては、そうしてきた人達と同じですね」

 

 もう一つワイングラスを取り出し、水を注ぎ、彼女にすすめる。

 彼女は首を横に振り、立ったまま――

 

「トリエは――あの子は、いつまでもつのですか」

 

「私は医者ではないですし、その専門知識も持っていません。ですから、はっきりとは言えませんが――」

 

 その先を聞きますか?――と、無言で尋ねると、小さくうなずいた。

 その覚悟を見届け、私は宣言した――

 

「今からの治療は間に合わないし――尚の事、私があの機体に乗り続けることで、防衛システムの方向性を彼女の延命に当てても――それほど長くありません」

 

「すぐに「ではありませんが、もう一度倒れるようなことがあれば――」……」

 

 その先は言わずもがなであり、彼女もそれを理解したのだろう。

 私は、彼女の目を見る。

 月明かりが彼女を照らすも、ちょうど首から下までであり、その顔をうかがい知ることはできなかった。

 ちょうど逆光になる私の顔も彼女には見えなかっただろう。

 それでいいのだ、私がどんな顔をしていようと、たとえ涙がこぼれているのだとしても。

 彼女には関係のないことだ。

 

「その日まで、あの子の――トリエの友達でいてくれますか?」

 

「あなたに言われなくても、トリエは私の友達」

 

「愚問でしたね」

 

 そう言った私の言葉を最後に、彼女は部屋を出ていった。

 私は、そのままグラスに残った水を飲み干した。

 まるで、流した涙の分だけ補充するように。

 ジュネーブまでもうまもなく。




何故か彼女が、レギオに憤るシーンが思い浮かびました。
考えたら、当たり前なんですよね。
『スクール』出身だからこそ。
トリエにしたことが許せない、でしょうから。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。