長らくお待たせして申し訳ありません。
今回もオリジナル回です。
眠り姫を失ってから少しして。
今なお、隊のみんなには受け入れられたとは言い難い。
皆が皆、良識のある大人ばかりではない。
加えて私が、イングラムをあえて見逃したことを不審に思っている面もあるだろう。
私が私の名を名乗ることを、嫌う者もいる。
その一人のリュウセイが私に掴みかかってきたのを止めたのは、キョウスケ少尉だ。
あえて情報を晒すことで、矛先を自分に向けさせた。
全員ではないにせよ、気持ちの面での一致団結とはなっていない。
裏切ったイングラム、見逃した私。
悲しみにくれるているはずなのに、今はもう泣き止んでいるのだから、疑われても仕方ないだろう。
何よりも半身を大事にしていながら自ら突き落としたのは、変えようもない事実だからだ。
しばらく、彼女の自室にこもることにした。
変わらないことを嘆くこともできずに、彼女の痕跡を求める。
ひどく滑稽な自分がそこにはいた。
いつの間にか寝ていたようだ。
自作の端末に入っていたのは一通のメール。
差出人は……あしながお兄さん。
内容は、ある兵器の簡易的な設計図。
一体それが何を意味するのか。
わからない私ではない。
但し書きがそこにはあった。
ハガネに同行すること、それが条件だそうだ。
それを満たせば、その兵器を実際に設計するための理論をさらに通信するらしい。
降って湧いたような偶然――いいや必然。
彼の手のひらで踊らされているのかもしれないが、それを受け入れよう。
yesと返信した。
ほどなく送られてきたのは、確かに空間圧縮とそれによる砲身弾丸の作成と制御の理論だった。
ついでに、何やら小さなアイコンもついでに。
私も知らなかったが、そのアイコンは、世界を大混乱に陥れるものではなくとも、後ろ暗い人には効果覿面な、恐ろしいウィルスだった。
私にしてみれば何ら問題はない。
小さな青い鳥のアイコンは、私の心を和ませた。
そのアイコンをクリックした時に流れるメッセージさえ除けば。
アイコンの名称はチカウィルスという。
私が適当に組んだプログラムを、二人の博士が改良したシラカワ・ゾルダークプログラムのカウンターシステム。
このプログラムを解析しようとしなければ、何ら問題はない。
正規の手順で見るのならばなおさらだ。
だがその裏側を見ようとすると、いつの間にか感染する。
そうなってしまえば初期化以外にそれを駆除することはできない。
恐ろしいウィルスだ。
つまりこれは脅迫、優しい脅迫だ。
一人になるなと、逃げるなと、そう言っているのだ。
そう思うことにした。
この鳥の言葉を聞いているだけで、何も難しく考える必要はないのだと言っているように聞こえるから。
トリエとしての初戦闘です。
どうぞ温かく見守ってください。