スーパーロボット大戦OG~駆け抜けるD~   作:ash.w

30 / 31
憎しみなど微塵もなく、されど怒りならばこの手に溢れるほどに

 偽物(トラウマシャドー)ということを知っていても、この敵はきつい。

 機体はセンチュリオ・トライア。

 パイロットは――

 

「しんでよ。レギオ」

 

 ディー・トリエル――少し前に消えた眠り姫――その声のままだった。

 

「ッ! 偽物がその声を出すんじゃない!!」

 

 咄嗟に、出てしまったものは仕方ないとブレードで応戦する。

 同じく、ブレードで応戦してくる偽物。

 

「ねえ、エアロゲイターは正しいんだよ? どうして否定するの?」

 

「たとえどれほど正しかろうと!! エアロゲイターが地球人と人形(エアロゲイター)である限りは、その正しさはまやかしだ!!」

 

 剣をぶつけ合いながら、言葉を交わす。

 意味がないとわかっていながらも、囚われた心が彼女を認識し続ける。

 冷静なはずの自分すらも、落ち着けと言葉を発し続けることしかできずに、正気である。エクセレンの言葉に答えることができないでいる。

 このままいけば、サイバスターごと捕らえられかねなかったことは事実だが。

 一発の銃声が響く。

 と同時にその姿がメギロートのそれへと変わる。

 

「助かりました。エクセレンさん」

 

 小さく呟いたそれは聞かれることはないだろう。

 どうにも感情的になりすぎていた。

 余計なことまで喋っていないか、少しだけ気にはなるが、してはいけないのだろう。

 

「さてと、ババアに八つ当たりだ」

 

 しょうがないよね、こっちにそんなこと仕掛けるなら本気出すしかないでしょう?

 

 

 

 彼女たちのトラウマシャドーが解け、伏兵が出現する。

 彼らにとっては絶望でもあるが、しかし援軍は来た。

 ならば負けるどうりはない。

 

 

 

 

 

 出撃前――

 

「大丈夫か?」

 

「イングラム少佐のことならまだ、納得できてません。でも、トリエのことで悩むのはやめました。あの子が見たかったのは、そういう顔じゃないって教えてもらいましたから」

 

「そうか……いい目になった」

 

 自分の足でしっかりと立つ。そこにいるのは、悩みを抱える子供ではない。男がそこに立っていた。

 

 

 

 

 

 戦況は一方的だった。

 指示を出すべき司令塔たるそれが、たった一機の半自立兵器に翻弄され、出せずにいる。そこからは各個撃破されてゆくのを指揮官機は呆然と、やがて屈辱を噛み締めて、見ているしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 アタッド・シャムランは困惑していた。

 先の戦闘で、青い鳥の落とし方は熟知していた。

 混乱させ、畳み掛ける。

 今回もそれで行けるだろうと考えていた。

 ――が、結果はどうだろうか。

 遠隔兵器にいいように弄ばれている自分がいる。

 いつ正気に戻り、いつこちらが隙を晒したというのだろうか。

 砲火はやまず、絶えずこちらの好きにさせてはくれない。

 何を間違えたのか、それすらわからない。

 ただ一つ、彼女にも分かることがあった。

 私を馬鹿にしている。

 いつでも落とせると、見逃してあげるのだと。

 言外に言っているのだ。

 屈辱でしかなかった、見下していたはずのものになぜこうも好き勝手にされるのだと。

 この感情がなんなのか分からず戦場から離脱する。

 彼女が、自身を否定されるように感じたのは間違いがない。

 青い鳥のパイロットは、知っているのだから。

 答えを。




某有名な曲のタイトルにかぶっているかもしれませんが、語感がいいなと付けてから似てるということに気づきました。
パクリではなくリスペクトです。

9/4少量修正
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。