スーパーロボット大戦OG~駆け抜けるD~   作:ash.w

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たいへん遅れました。
本編どうぞ。


鋼の戦神なる

 陽動――囮としての任務のためにタクラマカン砂漠まで来ています。

 幼馴染から、ヒロインを奪ってゆくヘタレ金髪の焦りも、周りのみんなが落ち着かせてなかなかいい状態になってきたと思います。

 私は何もしてないはずなのに、ムッツリカブトに頭を撫でられた。

 感謝されるようなことがあったでしょうか。

 非難されることならば山ほどあったはずですが。

 そのようにしていると先遣隊が登場したようです。

 まあ前座かもしれませんが、二式も銃もいませんしね。

 

 

 

 

 

 焦っている、それを自覚したのは、あの子の一言だった。

 

「焦っちゃダメです」

 

 さりげなくしかし、はっきりとささやかれたのだ。

 あの子の幻影を見た。あの少女に――だ。

 仲間からも、クスハを助けられる可能性を示された。

 それを実行するだけだ。

 できるか、できないかは関係ない。

 そのチャンスが一度きりだというのならば、成功をその一度に持ってくるだけだ。

 そのための、イメージトレーニングだけは何度も何度も繰り返した。

 

 

 

 

 

 みんないったい誰を幻視したのやら。いや、もしかするともしかするのかもしれない。

 確かに魂と呼べるものがここにあって、彼女はニュータイプなのだから、ありえない話ではないのだ。

 私に彼女が重なったように見えるのも確かだし、そこに念動力というニュータイプに近いそれがかみ合わさったのだ。

 奇跡とは、起こるべくして起こり得た必然ともとれる。

 その手伝いくらいはしてあげるべきだろう。

 

 

 

 

 

 順調に敵機を撃墜して、

 

「これで最後か?」

 

 アサルト1が周囲を見回す。

 無論のことながらこれで終わりではない。

 彼が来たのだ。

 いや、正確には彼らというべきだろう。

 二式と銃、その他もろもろがやってきたのだ。

 

 

 

 

 

 何かを知っている。

 ――確信があったわけではない――

 あの少女は何かを知っている。

 自分が知らないことも、自分が知っているはずのことも。

 ――確固たる証拠もない――

 だが、自分の中の自分ではない自分が叫んでいる。

 その手を掴めと。

 そんなはずもない。

 私は確固たる意思でこの戦場に立っているのだから。

 

 

 

 

 

「ディー・トリエル、最後に聞きたい」

 

「なんでしょうか」

 

「お前は何を知っている」

 

「何も」

 

「なに」

 

 回答になっていない回答を私が返す。

 

「私は何も知りません。これがあなたに返す言葉です」

 

「フ、そうか。ならばお前に尋ねよう」

 

 一気に加速がつく。向かうは一直線。

 ツインマグナムの連射が、機体の足を止める。

 加速のついた蹴りは、大剣の盾をかざして防がざるおえなかったストライクフリーダムを蹴り飛ばす。

 

「トリエ!!」

 

 誰もが足を止めざる負えなかった。

 それが一瞬の隙でもある。

 襲いかかる敵に、数秒崩された戦列は、それでも瓦解することもなく。

 ただし、容赦のないケリで戦場から離脱させられた彼女を助けることもできないわけだ。

 

「こっちはこっちで何とかします。先にクスハさんを!!」

 

 入った通信から無事が伝えられても、乱れた心はそう簡単には元に戻らない。

 

「やれるか?」

 

「やってみせます!!」

 

 答えれど、しかしそれが空気合なのは誰の目にも明らかだ。

 失敗する、その可能性がついてまわる。

 冷静になろうとすればするほど、心は乱れ、焦りが如実に現れる。

 どうすればいいのか、それだけがついてまわる。

 動く目標に、確実に当てられる自信はない。

 ならばどうする、動く目標を――

 考えはまとまった、ならば行動に移すだけだ。

 ペダルを踏み一気に加速、迎撃は――

 掛けに勝った。

 

「肉を切らせて――」

 

 ブーストナックルの発射直前に機体を押し当て、動きを止める。

 コーティングブレードを水平に構え、

 

「――骨を断つ!!」

 

 T-Linkセンサーを貫いた。

 それが、どれほど高いリスクであるのか、恐怖だってあった。

 だが今はただ安堵の中で、守れたことを噛み締めていた。

 戦場の片隅の救出劇のそのすぐ近く、彼らを守るために戦っていた。

 それももうすぐ終わりに近く敵機はあらかた片付いており、すぐにでも救援に迎える状態だった。

 今すぐにでも向かおうとしたその時だった。

 空気が変わった、二機の行った先、それは現れた。

 

 

 

 

「来たか、リヴァーレ」

 

 うっかり彼と通信を繋いだまま呟いた。

 彼女らしくもないミスだった。

 綱渡りに綱渡りを重ね、ようやく掴んだ勝利だ。

 油断と安堵に、それを漏らしたのかもしれない。

 しかしますます、彼の興味は彼女に向く。

 

「知っているのだな。この機体を」

 

「……内緒です」

 

 取り繕うかのような言葉は彼に確信を持たせた。

 

「何者だ。お前は」

 

「need not to know」

 

「なに?」

 

「知る必要もないことです」

 

 一度目を伏せ、少し考えたかのように見えた。

 再び目が開いたとき、それは人形の目だった。

 その目に、彼女はひるんだ。

 それを見た、彼は彼女を一気に引き離す。

 今の貴様には、関係のないことだと言わんばかりに。

 それは鋼の戦神を完成させるための儀式。

 それを止めることは彼女にはできない。

 もとよりいかに改造を施そうとも、元の装甲それ自体は薄くかつ、フルリンクシステムの弊害が彼女を襲っていた。

 強がりはしても、右足の痛みは彼女の瞬間的な動きを失わせる。

 咄嗟に動く軸足を二度、三度、と撃たれ、その度にあげそうになる悲鳴を隠しはしても、相対していれば、それがわからないはずはない。

 かくて鋼の戦神は、戦場にその姿を現す。

 

 それは、予定調和であるということを、戦場から離れた二人は知っていた。

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