テンペストさんが、アイドネウス島に呼び出されるようです。
それに合わせて、私もテンザン氏と一緒にウェーク島防衛にあたらなければならないのですが。
特別別働隊なるものを授けられました。
戦術レベルまでなら自由にしていい、といういわゆるワンマンアーミーのような役職です。
隊員は私一人だけではありますが、ビアン博士のありがたい命令のおかげでテンザン氏の命令を聞かずに済んでいるというのはいいことだと思います。
ミサイルの代わりにハガネを襲撃しろとか言いそうですから。
ある程度のことは、彼におまかせして。こちらはハッキング開始です。
テンザンからしてみれば、彼女は気に入らなかっただろう。
主役は自分のはずなのに、脇役がとんでもない力で主役を霞ませてゆく。
彼女に言ったのなら、種死ですかね。とでも言われたことだろう。
鬱屈した思いは蓄積され、行き場のない感情の矛先をハガネに向けるのは自然なことであった。
調べていた内容は、ある集団のDNAデータです。一つ一つコピーしていてもさっさと終わってくれるのはさすが私というべきか、センチュリオというべきか。
下のほうを見ているとあの日南極にいた魔装機神が砲台を破壊していた。
そのまま、基地の中に侵入していった。
仕方がない、彼に手を貸すのは嫌なのだが手だけはかそう。
上空から地上へと降り、ビーム砲を構える。
彼らが警戒するが、撃つ感覚は、先ほどまでの砲台と何ら変わりなく威力もそれなりだ。
それでも恐怖なのだろう、あの南極の一件は。
やがて、こちらが積極的な攻撃をしないと見るやいなや、ハガネが大きく動く。
ミサイルを観測射撃で撃ち落とそうとしているのだろうか。
そうではない、どうやらビルドラプターで落とすつもりのようだ。
うまくいくのだろうか、距離はもうすぐそこだ、阻止限界点までの時間はない。
撃たれたビームの輝きは、一撃でミサイルの真芯を捉えた。
これは偶然じゃない、そう私に言い放つようにビルドラプターの顔を顔だけをこちらに向けている。
そんなに見せつけてもこちらは砲台替わり、そんなのに反応するわけないじゃないですか。
私を除く全ての機体と砲台が、沈黙させられるまでそれほど時間はかからなかった。
『基地を放棄ですか』
通信の向こうから聞こえる声が若干低い。
しかし何ら怖さを感じない。
「ああ、そうだ」
画面の向こうの彼女は、やっぱりかと言わんばかりの顔をしていた。
なにか面白くない。
だがこんなところでゲームオーバーになるのはおかしい。
俺は主人公だからな。
『そうですかわかりました、先に離脱していてください。殿と通達はやっておきます』
「お。悪いねぇ」
そんじゃこんな詰まんねぇところはおさらばだ。
予定通りとは言えキツイに決まってる。
でも、こんな、何層にも層がついたDCにそのあとの異変を任せられるのかと言われたら、私はNOと言える。
ビアン総帥は大丈夫って信頼できる。でもアードラーとかその他異星人側や侵略者側につきたがるような奴らが多数DCには存在するのだ。無条件にそれらを無視できるかと言われれば、それは無理だ。
確実に致命的な何かをやらかす。それがどれほど人類にとって致命的でも、一度走り始めた彼らにとって、そんなことは関係ないのだ。滅びすら、観測に入れるつもりだ。
だからこそ、ビアン総帥も死なせなくちゃならない。
彼らに殺してもらわなくちゃならない。
「二律背反ね」
『は?』
「なんでもない、ただのひとりごと。通達する、司令官はここを放棄した。以降、自己の判断で行動しなさい。繰り返す、司令官はここを放棄した。以降、自己の判断で行動しなさい。アイドネウス島まで逃げるというのなら、殿はきちんと受け持ちます。安心してください」
通信の向こうで、じっとこちらを見ていた兵士が、敬礼をしながら、
『いいえ、我々は彼らに投降します。あなたが私たちを見捨てないことを分かっていたとしても、我々はこの基地を防衛を受け持っているのです。それに』
通信の向こうの兵士たち、そして基地の見える範囲の兵士たちが、こちらに敬礼をする。
『あなたのような若いものを殿にしてしまうような、情けない兵士でいたくはないですから』
「っ! わかりました、彼らは優しいですから無為に暴れなければ丁重に扱ってくれるでしょう。あなたたちの英断に感謝を」
こちらも敬礼し、ハガネに背けることなく先に退避していた。テンザン隊と合流。
私の合流を持ってウェーク島は事実上陥落した。
被害はそれほどでもなかったが、のちのち大きな影響を及ぼさないか少し不安だった。
この話を書いている時に、なぜか、艦これの話を書きたくなった。
現在全4話分がここに眠っている。
投稿すべきかは考え中。