えー現在はアイドネウス島からの補給物資の供給を受け、バレリオンに乗ってご機嫌のテンザン氏と一緒にいます。
赤道直下のこの場所で、バカ正直に待つ。
そんなの戦法とも言えませんが、伏兵にミサイルは用意しているようだ。
ミサイルを放つタイミングまで原作通りではないと思いたいが……。
テンザン氏は、やはりテンザン氏だった。
駒じゃないそういうことじゃないのだ。
ミサイルによる味方の被害を無視すれば確かに効率的だ。
しかしそれでは、部下はついてこない、手元に残るのがどんなものか。
かなり予測がつく、これでは私がここに来た意味がないかもしれない。
出来ることは最大限やろう。
これで勝ちだと、ハガネを沈められたとそう思っていた。
巻き込まれそうな、バレリオンを助けつつ、その砲撃でミサイルを破壊したあいつの姿を確認するまでは。
しかも片手に一機ずつだ。
あいつの方が主人公じゃねぇか、どういうことだよ。
そう考えているとあいつから通信が入る。
『正気ですか』
「あ?」
『正気ですかと聞いているのです。味方を巻き込むなど、いえ巻き込むにしてもその巻き込み方を考えてください。あなたにとってのイエスマン以外はいいえ、自分以外はコマですか?』
そこにあるのは静かな怒り、しかし彼に関係ない。
それを理解したのか、諦めたのかそのまま通信は終了した。
彼の顔が映し出されることはなかったが、その顔は怒りに歪んでいた。
ミサイルについで更に増援が後方から出現する。
かなり厳しい増援だがどうするのだろう。
そう考えていると、マシンガンをばらまきながらL009突撃してきた。
ヒュッケバインで対処するつもりなのだろうか?
グレイストークは大物だ、一体どうやって。
そう見ていると、海中からグルンガストが現れた。
なるほど、ヒュッケバインは消えないコインのコインというわけか。
海中も海上もあんな無双をするヒュッケバインに注目してグルンガストを見逃してしまったようだ。変形していたことも見逃しの要因かもしれない。
剣を構えグレイストークを一閃、つまりは一撃だった。
一撃でグレイストークを仕留めてしまった。
ほかの機体は、すべて沈黙させたようだ。
ヒュッケバインのパイロットはあの子だろう。
あそこまでの技量の持ち主でヒュッケバインに乗れるのは、あの子しかいない。
かたや、こちらは数で押すようだ。しかし統率の取れている数だ。油断せずとも落ちてゆく。
ややふらつきながら、ラプター動かしているのは彼だろうか。
あれではいい的だろう、何より先ほど巻き込まれそうなバレリオンを助けてからというもの、テンザン氏から不機嫌なそれは消え、嘲笑の笑いが聞こえてくる。
ような感じしかしないだけであって、通信を切っているのでその実は分からないが、あの動きと命中精度を見る限り、あながち間違いではないだろう。
そろそろか、そう考えていると急に怒りの感情がラプターのパイロットから感じ取れた。
どうやら地雷を軽々しく踏み抜いたようだ。
さすがテンザン氏である。
動きの良くなったラプターは、さながら蜂であり翻弄されるバレリオン・Vは襲われる人といったところか。無論それが一刺しで終わらないのは目に見えている。
自分に向けられたビームをアンチビームシルドで受け止めながら、あちらを観察している。
相手が天才、二人であろうと脅威がビームキャノンのみならばその攻撃に気をつければいいいだけである。幸いな事にそれ以外の面々は、テンザン氏の攻撃に加わっているのでこちらに攻撃している余裕はないようだ。
牽制を無視して、シュバルツシルトの肩についた砲のみに、目を向ける。
海中では無力なそれも、海面に顔を出せば確実に強力な兵器だ。
こちらのビームライフルは、威力を最小に絞っている。
なので海面を叩くだけだ、しかしそれでも牽制にはなる。
とにもかくにも千日手のような状況で眺めていると、あちらでテンザン氏が後退し始めた。
殿は受け持ちますとだけ言って、射線を遮るように彼らに銃口を向けながら動く。
ビルドラプターのパイロットがこちらに向かって通信をしようとしてきたが、とりあえず遮断。
やがてテンザン氏の機体が十分な離脱距離を稼いだと感じたので即座に合流してゆく。
手のひらからこぼれを落ちたと感じる命の重さを、考えないようにして。
大分お待たせしました。
ここから少し飛ばすかもしれません。