真・恋姫†無双 王匡伝 三国志ガチ勢の軌跡   作:ニーガタの英霊

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 わかめの如く増える転生者とオリキャラ。それがこの小説の醍醐味だと俺は信じてるんだ。(なお、死んでる人やリタイアも多い模様)

 一応英雄譚キャラも出ます。一人死んでるけど・・・・・・。


皇甫嵩「何進は死んだ! なぜだ!?」 盧植「フレッシュ・ミートだからさ」

 

「・・・・・・それで、陛下の容体は」

 

「いたって平常です。穏健派の金旋からの証言なので確かでしょう。元から体は強くありませんが、急に崩すほどでもないかと」

 

「そうですか。へぅ・・・・・・」

 

 檀上で董卓は安堵する。現在の洛陽の情勢は日に日に緊迫している。急進派の董承、穏健派の蹇碩、そして中道派の董卓といった部類に同じ党内でも派閥争いがある。

 先帝である霊帝の遺言に則るならば、正統な後継者は劉協である。しかし、血筋を重んじるに嫡子相続の意味であるならば劉弁こそ正統なる後継と引かない。

 

「しかし、状況は圧倒的にこちらが有利かと」

 

「そこはボクも同意見だよ。問題は急進派の連中さ」

 

 急進派は声高々に皇帝である劉弁の排除を求めている。どのような結果でもしこりが残るのならば徹底的に排除すべしであると言ってきかない。その分穏健派は弁帝の保護を重んじ、譲位後も王として別任地へ送ることで一致している。

 

「月、わかってると思うけど・・・・・・」

 

「うん、詠ちゃん。私たちは中立だよね」

 

 心では月は穏健派よりだ。しかし、洛陽での軍権を握る董卓がどちらかを支持すれば宮中は割れかねない。故に董卓はひたすらに軍の統制を強めていた。それだけではなく公的な立場として彼女は相国の地位にいる。彼女の仕事は劉協とともに別邸での政務を中心としているが、いかんせん成果は芳しくない。

 

「現状、情勢の維持に努めることがよろしいでしょう」

 

 ベストではないが、ベターな献策だ。ただでさえ都は荒れ、不穏な空気が漂う。弱者救済の法をとることもなく、つつがなく現状維持をするしかできなかった。

 

「穏便に陛下が禅譲なさることがいいでしょうが、陛下の回りがそれを許さない状況です」

 

「大義はあちらにあるといわんばかりね。まあ、それもしょうがないでしょう。黒縄、『黒備』の統制は」

 

「安心したまえ、こんな状況で問題を起こすほど彼らは馬鹿じゃない。だが、いつまでも縛り付けることは不可能だ。兵の中には郷里に帰りたいと願い出る者もいる」

 

 いつまでも爆弾を抱え込んだままでは危険だとそう発言する李傕。彼らは兵士であり、洛陽の民からしたら何をしでかすかわからない獣のようなものだ。

 加え、明らかに辺境の者たちである自分らを見下す動きもある。徐栄や王允、そして蔡邕のようにこちらに協力する官吏もいるが、大半は差別する目をよこす。そういった状況故に、政務にもおぼつかないことも多々ある。

 

「蹇碩も危険な状態だ。もって数ヵ月、それより短いやもしれん」

 

「そうね・・・・・・、彼が死んでしまったら後任も覚束ないわ」

 

「・・・・・・金旋を据えるか?」

 

 金旋は前漢の金日磾の末裔で穏健派の中でも主に交渉事を任されている。年も若く、三十半ばであり頭も切れる。しかし・・・・・・。

 

「金旋は議郎よ、まがいなりにも外戚の董承を相手取るには分が悪すぎるわ。先の乱で活躍した皇甫嵩将軍や盧植将軍が健在ならまだどうにかなったでしょう」

 

 どうにもこうにも頭を抱えざるを得ない状況である。あっちを立てればこっちが立たず、どうもうまくいかない。

 

「やっぱり、私が出るほか・・・・・・」

 

「いいえ、反対いたします」

 

 機敏に反対の意を示したのは李傕であった。

 

「先の何進暗殺事件のこともあります。いかに宮中といえど、月様を向かわせるわけには行きませぬ」

 

 これは李傕にとっても最大の懸念であった。史実の董卓とはあまりにも乖離していることであった。

 いわゆる、彼女は非常に貧弱であったのだ。

 

「そうね」

 

「詠ちゃん・・・・・・!」

 

「月、わかって頂戴。今あなたを失ったら統制をきかせている軍も制御が利かなくなるわ」

 

 洛陽における董卓軍の位置はまさしくバランサーであった。これを排除するのはまずもって難しい。だからこそ彼らは政争で雌雄を決そうとしているのだから。

 そして、董卓軍がそういった政争に対して慣れていないということもあるのだろう。積極的にあげ足取りに事欠かない。唯一まともにやり合えるのはそれこそ董卓、賈詡、李傕ぐらいのものだ。

 特に李傕が現状で最もその矢面に立っている状況である。優秀な副官とその参謀が黒備を統制してるといえど、状況は一向に改善を見せない。

 

「・・・・・・外部から召集をかけれないか」

 

「どういうこと、李傕」

 

「簡単だ、邪魔な存在を辺境に追い出して、辺境から人材をもって来ようというわけだ」

 

 うちが駄目なら外から働きかける、それが李傕の考えだった。現状、涼州、并州、中央の軍を統括している董卓軍であるが旧来からの仲間である涼州軍は兎も角、それ以外には隙を見せることも許されない状況であり、武官は兎も角文官が著しく欠如している董卓軍ならではの考えだった。

 

「・・・・・・目星はあるのかしら?」

 

「皇族を守るのは皇族の義務だ。すると一人だけだが目星はある」

 

 李傕は大まじめに考えた末にその答えをはじき出す。彼の策は劇薬だ。状況が好転するかも知れないし、あるいは真逆かもしれない。どちらにせよ、状況が大きく変わるのは間違いなかった。

 

「先の黄巾の乱に活躍した将。平原の相、劉備玄徳を都に招待してみようと吾輩は思う・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 同刻、洛陽のとある邸宅で寝台に伏す男がいた。

 蹇碩、かつては十常侍の一角であり、濁流派の幹部であった男だ。あの虐殺の時の傷故に、最早まともに体も動かすこともままならないほどであった。

 さる大虐殺の折り、宦官の中でも身体壮健と目され、武術による研鑽を積んだ彼は持ち前の武力をもって襲い掛かる袁家の兵を返り討ちにしてどうにか殿下たちを守ろうとその身を盾とした。もはやこれまでというところで助かったのは彼自身驚いたものだった。

 しかし、宮中の様子はあまりよろしいものではない。あの張譲であればこのようなことなどなかったのかもしれないが、宦官、特に政争を生き抜いたものは等しくあの大虐殺の犠牲となってしまった。

 故に、今の宮中の政治バランスは非常に危ういものと化している。

 

「お館様、金議郎が参られました」

 

「通してください」

 

 暫くして、部屋にやってきたのは金旋とそのお付きの人間だった。

 

「気分はどうであるか、蹇碩」

 

「・・・・・・どうも、体がうまく動かん。近頃はものもよく考えられなくなってしまったよ」

 

「・・・・・・そうか」

 

 部屋に重苦しい空気が冴えわたる。これからのことを相談しようと訪れたが、どうも蹇碩の状態は芳しくない。休めというのは簡単だが、この男はそんなこと聞きはしないだろう。

 

「・・・・・・不思議なものだな、昔はあれほどいがみ合っていたというのに、今では協力する立場だ」

 

「あぁ・・・・・・、そうだな。清流派にとって、私は佞臣にしか映らなかったことだろう」

 

 事実その通りであるが、それでも蹇碩の皇族、もとい両皇子に対する忠誠は極めて高いものである。霊帝より直々に劉協のことを頼まれただけのことはあるのだろう。

 

「知っているか、巷では貴様を蔡倫、曹騰といった御仁とともに漢代の名宦官として挙げられているそうだ」

 

「・・・・・・私には勿体ない称号だよ。漢の政治を腐敗させた原因は我々にあるというのに」

 

「全くだ・・・・・・」

 

 重たい沈黙がまた場を支配する。金旋は異民族の血縁の証である茶色い髪を無造作に掻くと蹇碩に切り出す。

 

「貴様はあと、何日生きられる」

 

 蹇碩は包帯にまかれているにも関わらず、金旋の方向へ首を動かし、乾いた唇から何とか言葉を零す。

 

「私の感覚ですと、死んでなるものかと気持ちが強くてですね。とりあえず吉先生の言った三か月を目安に生きてみようと思っていますよ」

 

 死の寸前から生還した蹇碩であるが、吉本は経過観察を提案した。しかし、蹇碩はそんなことを聞く気はなかった。その時に吉本はこのまま無理をした場合およそ三か月で衰弱して死ぬといったのだ。

 

「三か月です、三か月もある。ならきっと和平を実現することも可能でしょう」

 

「・・・・・・そうか」

 

 蹇碩は気づかない。金旋の手が強く握られ、血がにじみ出ていることに。

 金旋は前漢の名臣の末裔だ。本人はそれを誇りに思っているし、その名に恥じないために研鑽を積んできたつもりだ。太学でトップクラスの成績で卒業し、地方で太守の仕事も完遂した。しかし、いざ中央に戻って凱旋しても中央の政治は腐敗に腐敗を重ね既に酷いものであった。

 自身を支えてくれるものがいなかったら、遠からず自分もその腐った官吏の一人になっていたかもしれないと考えるとぞっとしてしまうものだ。

 

「あぁ・・・・・・すまない、すこし・・・・・・、ねむく・・・・・・なっ、て・・・・・・」

 

「そうか、ならばゆっくり休むといい」

 

 その言葉を最後に蹇碩の意識は途切れていった。睡眠を邪魔して悪いと部屋を出ると、金旋はお付きの人間と協議することとなる。

 

「どう思う、趙範」

 

「あー、その、なんだね」

 

 金旋より一回り年上の男性、ひどく痩せており、申し訳程度に口髭をはやしている覇気のない凡庸な男であるが、金旋はこの男を買っていた。

 

「僕は頭がそれほどよくないから、あまり大それたことは言えないけれど。ウン、このままじゃウチの派閥は空中分解するだろうね」

 

「その心は?」

 

「立場的な問題がまず一つ、ウチで最も家名高いのは金議郎、貴方なわけなんだけど、金日磾は『前漢』の名臣だ。別に悪いわけじゃないけど、『後漢』の名臣よりか名声は低い。とても派閥を維持するのには荷が重い、いっその事劉弁派に鞍替えした方がまだ勝率自体は残るだろうね」

 

 だがそれは自らの主張を変えることと同意だ。信用を一から積まなければならないし、最悪は佞臣扱いすら免れないだろう。

 

「だが、陛下の閥に入ろうにも、しょせんは陛下を見限った者たちだ。そう簡単に事は運ばないだろうな」

 

「だね・・・・・・。でも、ウチは派閥内でも最弱だ。一番いいのは相国を巻き込めればいいんだけれど」

 

「無理だな、相国はあえての中立だ。それこそ状況が変わらない限り考えを変えることはないだろう。だが確かにあそこの人材の豊富加減には参ったものだ」

 

「なに、しょせんは自分で結論を先延ばしにしている蝙蝠とでも思えばいいさ」

 

「ふん、貴様という人間は・・・・・・」

 

 金旋にとって趙範という男との付き合いは長い、それこそ太学の同輩であった頃からの付き合いだ。しかし、金旋はエリート街道をまっしぐらに歩いて行ったことに対し、趙範は長らく閑職に置かれていた。

 そんな状況からたまたま拾っただけであるのだが。この男、自己主張は低く、太学でも平々凡々な成績ながらも裏方としては十分に高い能力の持ち主であった。

 

 なにはともあれ、彼という人間と出会えたこと、それが金旋にとっての幸福であったのだ。

 





 史実でそれほど活躍していない人が活躍する、これがバタフライエフェクト。
 はいそこの人、別世界で死んだ人とか言わないの。
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