真・恋姫†無双 王匡伝 三国志ガチ勢の軌跡   作:ニーガタの英霊

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 久しぶりの王匡伝だ! 残念な戦闘描写で済まない!


試合にも引き分け、勝負にも引き分け

「援軍派兵はない。各々の奮闘を祈るか・・・・・・」

 

「将軍・・・・・・」

 

「致し方あるまい、やるしかないんだ」

 

 旋門関は奇妙な静寂にあった。旋門関前にて対峙する董卓軍は陣を張りはや八日、得意の騎馬運用も攻城戦となれば無用の長物、即席の攻城兵器などを使い戦いに乗り出すも旋門関は堅く、未だその守りを突破することは出来ない。

 

「にしても守りが巧い。王河南伊はよほどの戦上手かそれとも優秀な参謀がいる様だ。後は、優秀な指揮官がいるようだな」

 

「完全に包囲し、補給を絶ってもなお高い士気を維持する。並大抵のことではないかと」

 

 現在、旋門関は完全に包囲されていた。董卓軍の狙いは王匡の首。司隷州において勇名を馳せ、様々な改革を行い民の生活を向上させた王匡はそれだけに董卓軍に警戒された。

 

「しかし、これほどの手合いを敵にするとは、やはり味方に引き入れた方が良かったのでは」

 

「仕方なかろう、李傕のことだ。あやつの言うことは逆らえんよ」

 

 董卓軍四天王の中で筆頭とされる男、李傕稚然。若くして董卓軍に入り政戦両略の将として獅子奮迅した名将。中央官吏に勝るとも劣らない知恵者であり、歩兵を中心とした董卓軍の精鋭である『黒備』を統括。近頃は兵器開発に精を出している。

 

「少なくとも、董仲穎様に対する忠誠心は本物だ。それに実績もある、少なくとも俺は能力は認めている」

 

「・・・・・・わかりました」

 

「すまんな、苦労かける」

 

 渋々といった様子で副官は下がる。樊稠は苦笑いを浮かべるとその視線を旋門関へ向けた。

 

「周囲の隣村の様子は?」

 

「それが、旋門関の近くに砦があるようでうかつには近寄れません」

 

「兵力の分散は下策だ。補給に難はあるが、当初の目的を達成できるように励むしかあるまい」

 

 旋門関近くには砦があり、そこには兵站統括、後詰としておよそ一万の兵が詰めていた。総司令官である樊稠は動けず、兵力を分散すれば各個撃破の餌食だ。

 

「砦は動きがあるまで斥候に監視を、俺はいろいろと用意をせねばな」

 

「・・・・・・用意とは?」

 

 樊稠は鼻で笑い、苦笑を浮かべると言い放った。

 

「撤退戦の準備だ。こちらは痛み分けだ。後はほかの奴らの活躍を期待するとしよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・河南伊、これは」

 

「ああ、気づかれたな・・・・・・」

 

 旋門関の司令として議場に集まった王匡、韓浩、張奮は連日連夜の攻勢に耐え、疲弊しながらもこうして軍議を始めることとなった。

 

 兵の陳情や前線の指揮をする韓浩と、様々な情報を取捨選択し適切な場所に適切な配置を指示する王匡の二人のコンビはこと籠城という限られた戦場においては非常にうまく回っていた。

 しかし、そんな彼らだからこそ樊稠の作戦はやりづらいことこの上なかった。

 

「樊稠将軍は中々に優秀の様だ。攻城戦から消耗戦に切り替えた様だ」

 

 序盤においては攻城兵器を使った力攻めが見えた董卓軍であったが、ここに至ってがらりと戦略を変えてきた。

 

「こちらの狙いが補給路の破壊、並びに軍の孤立化だったが、気づかれたようだな。樊稠将軍は兵力の保全とこちらの消耗を狙っている」

 

「攻撃も遠くから弓を射かけるのみ、おそらく撤退も視野に入れてるかと」

 

 王匡軍の戦略は実に簡単なこと、兵力や装備で劣る王匡軍はその不利を補うために旋門関での籠城戦を敢行、それに加え敵の冷静さを失わせるために井戸に毒を放り、焦土戦術を行うことで敵の士気の低下を狙ったものだ。そして本命は敵補給路の分断。王匡は旋門関に来る前に河内に書状を送り、孟津砦の救援と地政学上から導き出された敵補給路を分断し、そのまま河内軍と王匡軍の全軍をもって挟み撃ちにするつもりだった。

 

「だが、戦況はこちらが優位だ。籠城を続ける限り負けることはない。期限はあと十日ほど。兵糧に関してはあとひと月は持つ」

 

「ただ、敵の将兵がいきり立っているようでそこが懸念かと」

 

「・・・・・・何をするかわからないか、出来るだけ対策を講じるしかないか。にしても、樊稠将軍がここまで粘り強いとは思わなかった。こうも士気がガタ落ちすれば命令違反の一つや二つは出てくるかとおもったが、そうもいかんか」

 

 出来ることをやった結果がこれだ。五倍以上の兵力に対し足止めを敢行することが出来たが、実際の物事は物語のようにうまくはいかない。

 

 籠城戦からおよそひと月、孟津砦に籠る杜襲に対し河内の援軍が到着。敵董卓軍補給部隊を蹴散らすとともに、補給路を分断。

 

「頃合いだな、我が軍は撤退を開始する!」

 

 この一報を聞き、董卓軍先遣隊は撤退戦を開始、殿である張遼を残し董卓軍はすぐさま反転し、洛陽へ向かうと、兵力を十全に維持した状態で帰還に成功した。

 

「追撃開始、奴等に二度と河南伊に立つことが出来ないように徹底的に追い詰めろ!」

 

 撤退の最中、王匡軍は追撃を開始。王匡の指揮のもと、追撃戦が始まることとなったが、追撃の最中王匡軍従事である張奮が戦死し、王匡にとってほろ苦い勝利となった。

 

 戦果から見れば大した失策なく勝利をおさめ、張遼軍を散々に追い散らし民衆は勝利に奮え、王匡を讃えたが、王匡にとって見ればこの戦いは勝利ではなく痛み分けであった。

 

「村の再興は可能だ、董卓軍の装備も手に入り、勇名も手に入れた。だが、敵兵力の消耗を狙えなかった。敵にとって出来得るだけ有利な状況を整えたというのにこの始末か。戦訓だな、まあ連合ではいい顔させてもらうさ」

 

 戦後、王匡は側近に対しそう語っていたという。

 

 

 

 

 

 

 

 そして、王匡は戦後、ある一報を耳にした。荊州にて董卓軍による攻勢により劉表軍が半壊、涼州において馬騰の戦死が報じられたと。

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