真・恋姫†無双 王匡伝 三国志ガチ勢の軌跡   作:ニーガタの英霊

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サブタイの元ネタはアニメ恋姫です


劉備、幼馴染には甘いのこと

 董卓討つべし。袁紹、そして橋瑁の名の下に発せられた檄文を元に様々な諸侯が集った。目立った諸侯は公孫瓚や先の戦いで敗北を喫した劉表、南陽の袁術らのほか、先に金旋に協力する意を見せた者たちのほか多くの者が参加した。

 

「まったく、あの時は死ぬかと思いましたよ」

 

「うんうん、朱里ちゃんも元気そうで良かったね」

 

 そして、今回の反董卓連合の要ともいえる劉備も自身の側近を集めて義勇軍として参加していた。

 

「しかし、よく無事だったものだ。我々とは別口だったのだろう?」

 

「はい。私も雛里ちゃんも行幸の前に少し野暮用で外に居ましたので。いやはや運が良かったですよ。はわわわわ!」

 

 淡々と笑い声を響かせながら諸葛亮は面白半分にそう語り、対して龐統は溜め息を吐きつつ主君への説明責任を果たそうとしていた。

 

「それと身を寄せる場所もありましたので、桃香様の居場所が知れれば合流も楽でした。何より身を寄せた勢力が反董卓連合として起ってくれたのが何よりの幸運でしゅ」

 

「いやいや、明らかに読んでいたでしょ。ていうか時々そうやって私を試すのは止めてくれないかなぁ?」

 

「それはとんでもない。桃香様が逆境から立ち直る姿を見るのが私の楽しみなのですから。それに信じています。桃香様はこの程度で倒されるお方でないと。貴女が折れない限り、諸葛孔明は貴方の味方です。はわわ?」

 

「いや、はわわ? じゃないから。ていうか憲ちゃんは」

 

「憲和さんは公孫伯圭殿のところへいますよ。桃香様は一人でも信用に足る人間は必要でしょうから」

 

「そ、憲ちゃんが生きてるならいいや」

 

「貴女は憲和殿に優しいですねぇ・・・・・・いや、甘いのでしょうか。どちらにしろ情は捨てることですよ。上に立つとはそういうことです。幼馴染みとて、切り捨てる瞬間があるのですから」

 

「嫌だね。それをしたら、貴女は私を切り捨てるのかな? 身近な人を守れない奴が皆の笑顔を守れるわけがない。そうだよね?」

 

「はわわ・・・・・・それはどうでしょう? 少なくとも私に二心は有りませんよ。私は貴女の軍師で友人なのですから」

 

 諸葛亮は扇を口元にやり口元を隠すとにっこりと笑みを浮かべる。その様子に対してやや癪に障ったが表情に出すほど劉備は愚かじゃない。その様子に対抗するように笑みを浮かべて劉備は話を転換させた。

 

「ところで、兵力はどんな感じかな?」

 

「韓州牧より借り受けた兵数はおよそ千です。まったく骨が折れました、ねぎらってくれてもいいのですよ」

 

「そ、こっちの千五百と合わせて総勢二千五百だね。愛紗ちゃん、練兵のほうをよろしく。多少なりとも動けるようにしておいて」

 

「わかった。義姉上の予想を上回るように努力しようではないか。存分に扱いて見せよう」

 

 関羽は腕がなるとでもいう表情を見せ、愛用の武器を片手に陣中を出る。その様子を見送ると劉備は気が滅入りながらも諸葛亮と向き合い合議を続ける。

 

「連合軍の編成について話そうよ。とりあえず劉表さんは兵八千、先の戦いで出鼻をくじかれたのかな、指揮は蔡瑁さんが取るみたい。軍師は蒯越さんが付いて、それから将がちらほらと。よほど先の戦いの雪辱を晴らしたいみたい」

 

「益州のは出てきませんでしたね。どうやら静観を決め込むようです。幽州のは公孫伯圭を派遣したようです。まあ体のいい追い出しみたいなもんですね。兵力は五千」

 

「白蓮ちゃんはまだ州牧と喧嘩している訳だね。手を取ればさぞ繁栄を約束されているっていうのにね。まあ私たちにとっては都合がいいけど」

 

 公孫瓚と幽州牧劉虞の反目は今に始まったことではない。異民族に対し徹底抗戦を唱える公孫瓚と異民族との融和を掲げる劉虞はその一点に対し譲れなかった。文武にわたって優秀であり、一見して普通の領主として涿郡を治めるまでとなったが、その実、統治能力はこの時代では稀有な商業を重要視した政策を行い先見の才に関しては王匡に勝るとも劣らないとされ、個人的武勇に関しても何倍ともいえる烏丸に対し勝利するなど『白馬長史』の異名をほしいままにしている。

 まさしく弱点たる弱点が存在しない有能な人間であった。

 しかし、辺境という立地と名士を優遇しないこと、何より卑しい商人を重用しているなどの悪評のせいで凡庸な郡太守とされていた。

 

「白蓮ちゃんは面倒くさい子だよね。普通に接すれば普通にいい人なんだけど、若い時に異民族に攻められて何か月と城に籠城して味方の兵士の肉を食ったぐらいで異民族嫌いになっちゃってさ。まあ気持ちはわからないでもないけどさ」

 

「はわわ、桃香様、ここは陣中ですので不要な発言は抑えるべきかと」

 

「わかったよ。ほかはどうかな?」

 

 劉備は深くため息を吐き、諸葛亮に続きを促した。

 

「王河南伊は河内の兵を取り込んで指揮系統を確立しました。兵力は二万。今回の反董卓連合では五指に入る兵数でしょう。一番多いのは青州の袁紹、荘園から集めてきたのか兵は三万。時点は袁術、兵は二万。王匡と同じくらいですね。ただし、ひと昔に長沙の孫堅の残党を取り込んでいるので将兵の厚さはどっこいでしょうね。練度不足で足を引っ張るということはないかと」

 

 連合軍の中核はおおよそこの三巨頭であろう。特に戦功をあげている王匡は平民の生まれとしても確かな実績を持つために総大将すら狙える可能性はある、しかし。

 

「ただ、総大将は両袁家のどちらかでしょう」

 

「だろうね、家柄のない王匡さんがまとめられるはずがない。最悪両袁家が脱退する可能性もあり得る。後は、みんなどの程度この連合で本気になるかが問題だね。王匡さんはともかく、両袁家の出方次第では風向きを変えないと」

 

 金旋による必死の嘆願、説得であっても一大勢力である董卓を真の意味で打倒するかはまた別だ。誰だって消耗はしたくない。大敗北した暁はそれこそ力を失い、没落の可能性すらある。

 

「あとは、兗州の曹操、揚州の劉繇、太原の張楊もこちら側で参加ですね。冀州牧韓馥も参戦、細かいところは孔融、袁遺。ああ! 私たちの後に平原の相になった張温殿も参戦していますねぇ」

 

 董卓軍の兵力は見積もって二十万。対して連合軍の太守格はおおよそ五千、州牧クラスとなると一万近くになる。そうすれば大体十五万ほどの軍勢であった。

 

「兵力の差は案外それほど開いていないのかもね。まあとりあえず軍議まではゆっくりしていようか」

 

「それもそうですね。やるべきことをやったなら、あとは天命を待つのみでしゅ」

 

 河内、孟津砦へと向かう道筋のその道程の夜営の中、劉備はまだ見ぬ戦友に思いを馳せながら天幕の中でしばしの休息を楽しむのだった。

 

 

 

 

 

 河内、孟津砦にて、急速な要塞化を進めている軍団がいた。

 河南伊、河内を手中に修め、司隷州において大軍勢を整えた王匡らである。

 

「驚いた」

 

 連合を迎えるために準備を進める中、王匡は執務室でポツリと言葉をこぼした。

 

「これは、想像以上の拾い物だったな」

 

「はい、金議郎はこれからの世の中に必要なお方です」

 

 こちらで董卓軍との前哨戦を行っている間、金旋は大陸中を駆け回り、様々な勢力のもと、反董卓連合を作り上げる地盤を作り上げた。短期間でこれほどの軍勢を集めることが出来た。これもすべて金旋の不断の努力のたまものだった。

 

「外交能力、これは確保しておきたい。普通なら自分の真意をさらけ出すだけなのは交渉人として失格だが、あれはそれが有効だと分かってやってるだろう。それだけじゃない、人脈として京兆の名士の伝手を辿るための口添えも期待できる。どうしてこいつが生き残ったのかと落胆したが・・・・・・、いやはや予想以上だ」

 

「相手と友好関係を築くためには誠意が必要となります。幸い、それは金議郎は備えている。まさしく徳ある者の行いでしょう」

 

 単純な弁舌の力じゃない。必死の嘆願、まさしく命を削る心意気が諸侯を動かした。まさしくその必死さこそ王匡が求める人材であり、加えて高貴な血筋と優秀さも持っている。

 

「周りに取られる前に囲い込もう。出来得るなら、京兆に行って軍を起こしてもらう」

 

「よろしいかと。金旋殿には河南伊と極力足並みを合わせるようにお願いしましょう」

 

「ああ、それから軍を起こす以上、補佐役も必要だ。杜襲を回そうと思う」

 

「慧眼かと、杜襲ならば必ずや金議郎をうまく操縦してくれるでしょう」

 

 金旋の不断の努力によって築き上げた反董卓連合の始まりが刻一刻と迫る中、王匡は次なる一手を打つために水面下の画策をはじめていた。




 たった一人で反董卓連合の下地を創り上げた交渉の達人。それが金旋である。
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