真・恋姫†無双 王匡伝 三国志ガチ勢の軌跡   作:ニーガタの英霊

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痛快サツバツ戦場 風雲!虎牢関

「これはまたとんでもないな」

 

 軍を二つに分け、虎牢関へ進軍していた王匡たちはその様相に震え、慄いていた。

 

「叔父上・・・・・・、従姉上・・・・・・」

 

 太傅袁隗を筆頭に並べられた首の数々。それは彼らにとっては知古であり、中には深い間柄の死をまざまざと見せつけられた。

 

「・・・・・・」

 

 ある者は泣き、ある者は義憤に駆られ今にも怒りで狂いそうになり、ある者はその威容をただ恐れていた。

 

「・・・・・・そうか、死んだか親父・・・・・・」

 

 王匡軍左翼を司る荀爽の副将として軍を預かる裴潜はそこでようやく実の父親と対面した。生気なく、虚ろな眼窩はどこか安らいでいるようで、父親が死んでしまったというのに、どこか虚ろな気持ちだった。

 

「六徳・・・・・・」

 

 そしてもう一人、その死を深く嘆きながらも、涙を見せずに気丈に振舞う一人の人間。

 あの地獄からの生還者である金旋だった。

 

「議郎、お気を確かに」

 

「嗚呼、大丈夫だ。私は大丈夫だ・・・・・・」

 

 嘆く暇などない。私は彼らの死を無駄にしないためにこうしているのだと。ただ視線で語る金旋。

 河内に戻り、反董卓連合の発足させた立役者である金旋は、京兆で兵を募ることはなく、王匡と共に一人の人間として虎牢関へと向かっていた。

 

「見るに堪えない光景かもしれない。それでも私はこの光景を焼きつけなければならない。それが、あの洛陽の地獄を知る私の責務だ」

 

「背負いすぎては、いつか潰れましょう」

 

「潰れないさ。そんな逃げ道、とうに塞いで来た」

 

 これが自分の罪であり、一生かけて背負っていくものと誓った金旋。忘れるな、この道の為に犠牲になった人々がいることを。その結果を、彼は背負い続ける。

 

「私よりも荀慈明殿を気にかけてくれ。あの人は、今一番つらいだろうから」

 

「既に伯然をやっています。どうしても駄目なら、私に報告するでしょう」

 

 この地獄を回避するために身を窶した荀爽と言う男。それがまるで無駄だったかのような証明を目の前に再現させられてはとても正気とはいかないだろう。

 

「公節、首の身元が分かったぞ。それぞれ穏健派官人に皇族の劉範、劉誕。太傅袁隗とその一族。確実に面識のある人物を送っている。しかも皇族と袁家の首は縦に切られていると来た。こりゃもう半分は益州と汜水関に送ってるだろうな」

 

「それはいかんな。こちらの陣容がばれているということだ。ある程度予想はつくだろうが、ここまで細かくやられると内通の可能性もあり得る」

 

 示威行為にしてはあまりにも此方の陣容を把握しすぎてはないだろうか。そういった疑問が浮かび、やがて振り切る。

 

「違うな、内通なら一番怪しいのは我が陣営だ。他の陣営では都に接点はない。そうでなくとも董卓政権下で都に行き来したのは伯然と董卓のもとから逃げた司馬伯達だ」

 

「成る程道理だな。あとは金旋たけだな可能性があるのは」

 

「ああ、だが議郎は違う。議郎が内通者なら度々反董卓連合など作らん。此度のことで最も衝撃を受けたのは明らかに董卓軍であり、益が無さすぎる。

―――ああ思い出した、これを可能な奴が一人いたぞ」

 

 ふと思い付いた様に空を見上げる王匡。晴れ渡る快晴と陽光はジリジリと肌を焦がす。

 

「張楊だ。死んだ執金吾丁原の古巣の出で、飛将軍呂布と張遼とは面識がある。繋がっている可能性は高い」

 

「成る程、では本体の方にそれとなく注意喚起でも―――」

 

 呉壱が最悪に備え、そう発言しようとしたとき。思わぬ報が王匡の耳に飛び込んできた。

 

「伝令ッ! 敵軍の大将徐栄の先制攻撃に対し李旻様が捕らえられたほか、太原太守、張楊が裏切り、各諸侯にも影響が出ている模様!」

 

「・・・・・・あい分かった。下がれ」

 

 先手を打たれた。眉間にシワを寄せ、その表情は苦痛に歪む。

 

「どう思う止水」

 

「諸侯は数の上では有利である。しかし足並みが整っていないほか、恐らく張楊が内通していた。李旻は張楊に焚き付けられて捕らえられたと考えていいだろう」

 

「時間は此方の味方ではない。戦いが長引くにつれて疲弊するのは同じだろう。最悪、我らの手で虎牢関を落とさねばなるまいて」

 

 本隊に損害が出た以上、作戦にあたる方針に齟齬が出るだろう。最悪、本隊が関を突破できない可能性も視野に入れなければならない。

 

「出来るか? 空雅」

 

「止水、お前なぁ・・・・・・」

 

 呉壱は溜め息を吐きつつ、虎牢関のその威容を見るかのように眺めて言った。

 

「軍を預かる者として、出来ないなどは怠慢だ。落として見せようとも、必ずな」

 

「では、その手腕を見せてもらおうか」

 

 獰猛な笑みを浮かべる呉壱。その頭脳はいかにして虎牢関を攻略するかに注視していた。

 

 

 

 

 

 

「崩れないな」

 

「少数精鋭の性だろう。よく軍規を守らせ統制を取っている。敵軍・・・・・・もとい王匡らと共に来た軍はそれほど自己主張が激しいわけではないからな」

 

「成る程、それに皇族の劉繇と名門の袁遺をしっかりと監督していることも一目置かれる所以という訳か」

 

 虎牢関主将として派遣された黒備副将である孟達と法正は関の城壁にて敵軍の様子を見ていた。

 虎牢関に詰める将兵は孟達、法正のほかに董卓軍四天王の一人である張済の甥である張繍、牛輔など卓越した騎馬戦術家たち総勢五万の軍であった。顔ぶれを見るに若く最高齢でも二十前半であり、それでいて董卓軍の次代を引き継ぐ者たちであった。

 

「援軍はこっちには来ないだろうな、来るとしたら汜水関だ。まあ関係はないだろう、俺たちに出来ることをすればいいだけだ」

 

「ああ、いかなる策とて、私が看破して見せる」

 

「おう、そりゃ頼もしいこった」

 

 この戦場に限って言えば兵の数はほぼ同数、或いはあちらの方が少し多い程度。しかし、虎牢関に詰めるは若き董卓軍精鋭。如何な軍勢とて生半可なことでは落ちないと自負している。

 

「さて、最低で残酷な楽しい戦争を始めようか」

 

 その日、虎牢関と王匡ら反董卓連合の第二部隊は虎牢関にて彼らと向かい合うこととなった。

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