真・恋姫†無双 王匡伝 三国志ガチ勢の軌跡 作:ニーガタの英霊
張範司馬朗諸葛瑾「!!?!??!!?」
劉伯升「うちの弟化けもんや・・・・・・」
「面白い」
河内修武県、河内郡の中で非主流派でありながら気骨のある県令がいたため河内の乱においては完全な中立を保っていた県である。その県人である、張範はつり上がる口角を抑えることが出来なかった。
「お・・・・・・、お兄ちゃんが、笑った・・・・・・!?」
口をあんぐりと開け、彼の妹、張承は椅子から転がり落ちる。
「・・・・・・
「えっ、スーパーニート?」
「ゴフッ!」
心ない言葉に傷付き悶絶する兄を妹は冷めた目で見つめる。
「まあさ、兎にも角にもさ、故郷のことなんてどうでもいいから早く逃げるよ」
「そうか、寂しくなるな・・・・・・」
「・・・・・・なにいってるの、お兄ちゃん頭大丈夫?」
ダメだこいつ、道教面に堕ちてしまったと妹は嘆き悲しむ。思えば昔からそうだった。幼い頃から、儒教とか糞だわやはり道教こそ至高だ。と血迷ったことを言ってあの黄巾の乱のやることにも一理あるとアホをいった馬鹿兄貴だ。
何が納得いかないかというと、このアホは妹である張承よりも優れた頭脳を持つということだ。
天は二物を与えざるというが、せめてまともな人格ぐらい与えてやってもよかったんじゃないかと張承は常々思っていた。
「お前、俺を馬鹿にしてるだろう」
「えっ? うん。当たり前じゃん」
「いや、否定しろよ」
いつの頃からだろうか、常日頃からこの妹と言う生き物は兄に対する尊敬と言うものが欠落している。もとい、舐めきっているのだろうと張範は結論付ける。
「兎も角、俺は宗県令の下にいく」
「あっそう。行ってらっしゃい」
「まてまてまてまて、そこは私もついていくとか言うところじゃないのか」
「親子二代で三公の地位に昇った張家の出身の癖に勝手に官を辞した無職に着いていくわけないでしょう。むしろ私の逃避行に誘っただけでも感謝しなさい」
「うごごごご、そういわれると辛いが・・・・・・」
こんな腐った政治の舞台にいられるか! 俺は帰ってニートすると飛び出したは良いものの、待っていたのは冷たい御飯と祖父の冷めた目だったのは今でも記憶に刻まれている。
「大体ニートとかスーパーとか、訳のわからない言葉使うの止めてくれない? 馬鹿じゃないの?」
「お前、吉平先生を馬鹿にするなよ! あの人凄いんだからな!」
「高々医者の端くれの狂人じゃない」
その言葉に思うところがあったのか、張範は思い切って自身の蔵書の数々をひっくり返す。やがて探し当てたのは一冊の新書だった。
「―――これを見よ張公先。吉先生の描いた著書だ」
そこに描かれていたのは所謂デッサン絵というものであり、加え、それは人間の肉体、内蔵、血管等を精巧に描いた解体書であった。
「ちょ・・・・・・、そんなおぞましいものを―――」
「おぞましい・・・・・・? たわけたことをいうな公先。これらすべてお前の中に詰まってるんだぞ、それをおぞましいとは短絡的にもほどがあるぞ!」
張範は張承に妙に精巧かつリアルなスプラッタ画像を見せながら張承を叱りつける。
「確かに、罪人の死体や病死した人の死体を弄くり回し、時には墓を荒らしたり、あの人がやったことは決して褒められたことじゃない。しかし、だがしかしだ!
そのお陰で一体どれ程の人が救われた! どれ程の人をあの人は救ってきたと思う! そんな彼を、俺が尊敬する俺の友人を馬鹿にすることは許さんぞ!」
吉平。本名は吉本、字は称平。司隷馮翊郡池陽県の生まれであり、一族の中で吉茂と共に二吉と称された麒麟児であったが、成長するに従い、その気性は不気味の一言につき、やがて一族を追放された過去を持つ男である。
そんな男が張範と友人であるなどとんだ奇縁ではあるが、兄が言うに心構えだけが一丁前な儒者と比べ、吉平先生のほうが余程徳高いお方だと評するなど好評価を得ていた。
吉平は市井から順調に出世を重ね、現在官に上がり皇太子劉弁の主治医として彼に仕えている。あの神医華陀と並び評されるほどの人物であるが、そのやり方、手前によって多くの者からは余り好かれていない。
それは兎も角、現在の状況に関して見てみよう。
兄は妹にスプラッタ画像を見せ、妹を叱りつけている。そんなことをされたらどうなるか、火を見るより明らかだ。
「・・・・・・ふっ、うぅ・・・。うえぇぇぇん・・・・・・!」
「あ"・・・・・・」
張範、痛恨のミスである。やり過ぎたと後悔してももう遅い。おかしい、俺はもっと穏やかで物静かな性格だった筈なのにと仕舞いには現実逃避を始めてしまった。
「ご、ごめんなー、お兄ちゃん。友達の事となるとつい頭に血が上っちゃって、うん。やり過ぎたからさ、ええっと・・・・・・ごめん。本当にごめんな」
「うぅ、うっ・・・・・・ぐすっ・・・・・・、うう」
郷挙里選でいくら優秀と唱われようと、こうもテンパってしまったら、その姿も形無しだ。
「ほら、なんでも言うこと聞くからさ、あっ! 確か先生に教えてもらって作った水飴が・・・・・・!」
「うええぇぇぇぇぇん!」
「アイエエエエエ!? 泣き止まない!? 泣き止まないナンデ!」
「また吉平だぁ! うあぁぁぁぁん、お兄ちゃんが寝取られたぁ! うええぇぇぇぇぇん!!」
「ちょ・・・・・・、おま、バッ、馬鹿いうなおい。あーもう、ほら泣かないで! お兄ちゃん何処にも行かないよー。大丈夫だからね」
「・・・・・・ほんと?」
「ほんとほんと! 大丈夫、お兄ちゃんを信じて!」
「じゃあ一緒に楊州に逃げよ?」
「それはちょっと・・・・・・」
「うええぇぇぇぇぇん! お兄ちゃんが嘘ついたぁ!」
なにがなんだかわからない。張範は今にも逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。
宗慈、字は孝初。彼は河内修武県の県令である。既に老境に達し頭髪は抜け落ち、肋骨が浮き出るかの如し体はまるで蝋燭を思わす。視力は落ち、ビン底の眼鏡を掛けながら、執務室で書面をじっくりと見つめる。
宗慈は不正が嫌いだ。毎日を懸命に生きる者達にとって、それは赦されざる裏切りであるのだから。
宗慈という男は愚直なまでの誠実さと断固たる決意をいつだって忘れなかった。しかし、気持ちがどれ程上回ろうと、現実は非常に困難であった。
頭の巡りは悪くない、仕事だって出来る。ただ、宗慈よりもそれを得意とする者がいる。ただそれだけのことだった。
気持ちは負けてない、寧ろ誰よりも正義心の篤い人物である。それなのに一生懸命頑張るやつが報われずに適当にやってる奴が評価される。
才能の差とただそれだけなら割り切れた。しかし、世の中はそんな簡単じゃない。名門の出身だとか、高名な誰かの知り合い、或いは弟子で評価される。
そんなことに憤慨し、嘆き、そして嫉妬した。
そして今、何よりも悔しかった。
「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ・・・・・・ッん!」
漸く真っ当な太守にあったと思ったらこれだ。自身でももう長くないと思っている。口から零れ落ちた血を拭いながら、宗慈はこれからのことを考える。
王太守のやり方は十分に理解した。嘆くべきは理解までにかかった時間を無駄に浪費してしまったことだろう。その状況で出来ることは限られている。全盛期に比べ錆び付いた頭を捻りながら、たった一人思考に耽るのだった。
オリキャラが増えてきた、早く殺さなきゃ・・・・・・(使命感)