兵藤一誠おっぱいを語る 作:空孫悟
――おっぱい
それはこの世の真理にして愛だ。小さかろうとも大きかろうともそこには母性の象徴があり愛がある。小さいおっぱいを持った女の子が恥じらう姿も大きなおっぱいを持った女の子が恥じらう姿も、すべてに愛と男に与えてくれる幸福感、そして愛情が生まれる。
問題は次だ、この世で最高のおっぱいとはなにか。俺の恩師ならこう答えるだろう、おっぱいは平等だ綺麗などといった言葉で片付けていいものではないと。俺の兄ならこう答えるだろう、ハリと艶そして大きさを兼ね備え物が俺にとっての極上だと。俺の友ならこう答えるだろう、小さいおっぱいそしてそれを恥じらう健気なロリっ娘(ここ重要)の姿だと。
じゃあ俺はどんなおっぱいがいいか、簡単だ。愛した女のおっぱいが最高に決まってるだろう。
――その男に会ったのは奇跡だった。まさしく偶然が重なった奇跡とでもいうようなことだった。
中学を卒業まじかにしていた俺達は祝勝会を上げていた。それは当然、受験合格の祝いのためである。イッセーや俺にとって最難関、無理、イッセーの性欲が無くなること並に行けないと言われた駒王学園、そこに合格することができたのだ。
合格を知った俺達は狂喜乱舞した天にも昇る気持ちだった逆立ちしながらおっぱいプリンを吸った。
いやホントそれぐらい奇跡だったんだ。前世で一度合格してたからまたイケるだろ!と楽観視していたが中学の模擬試験で応仁の乱の年号を言えなかった時はマジで絶望したね。
結局そこから寝る間を惜しんで勉強した。紙芝居を読む練習は止めなかったがおっぱいプリンを吸う練習は中止した。なんでかって?そんなの一番遠い夢だからに決まってるだろ!
死ぬ気で勉強したおかげか見事受験合格した俺達は祝勝会を上げるに至ったというわけだ。実は悪友となった松田と元浜も誘ったんだけどアイツらは部活の仲間連中との集まりがあるらしい。
いやーそれにしても松田と元浜が友達になった時は驚いた。前世では俺を全力で拒否してきたからな松田なんて何度俺を足蹴にしてきたことか。俺のクラスメイトの友人は桐生ぐらいしか居なかった。
ホント桐生はどうしてるんだろうか、アイツも性転換してるだろうからもしかしたら足蹴にしてくるかも知れない。
現在はドラグ・ソボールの歌を歌い終わり喉が渇いたのでドリンクバーに来ている。
まったく、イッセーには困ったものだ。性欲の塊と言われた前世の俺ですら学校にエロ本を持って来たりはしなかった。
なのに今のイッセーときたら先生の眼につかないようにエロ本を持ち込んで……………もう……最高ですよね!前世の俺はおっぱいについて語り合える人間が少なかったと思う、少なくとも今の松田や元浜のような友人は居なかった。桐生は女子の尻にしか興味がないやつだったし。
ああ前世の頃は毎日桐生と語り合ったものだ。尻より胸の方がいい、胸より尻の方がいい、間をとって腹……いやそれは無い。こんなやり取りを何十回も繰り広げていたものだ。
「うわっ」
前世での思い出にふけているとやけに心地よいイケメンボイスが聞こえて来た。続いてビシャッという何かがかかる音、そして太ももにかかる熱湯。
「あっづ!」
「うわっご、ごめん!」
何すんだコノヤローと思いながら右手を振り向くとそこに居たのはどこか見覚えのある金髪碧眼のイケメンだった。
「ごめん、コーヒーこぼして」
そう言いながら頭を下げてくるイケメン。いつもならイケメン死ね!ぐらいに思うのに何故かこいつにはそういう感情が湧いてこない。
そうだ当たり前だ。こいつはあまりにも似ている、俺の最愛の人に。
「いや、いいんだそれよりも拭こうぜ。床にコーヒーこぼれちまっているし」
「いや手伝ってくれなくても」
こんなとこで止まってた俺も悪いんだと言いながら一緒になって床をふく。
まずいこのままではコイツが誰なのかわからないまま終わってしまう。
いや正体に察しはついている後は確証がほしいだけだ。
「紅茶か?だけど今茶葉は切れてるぜ」
「あ、ホントだ。しょうがないね、他ので我慢してもらうしかないか」
「待ってくれ、確か――」
ここのドリンクバーは下の扉に茶葉がストックされてたはず。
「ああ、あったあった。だぶんこれだろ」
「うん、これみたいだ。ここには良く来るのかい?」
よかったようやく話がつながった。にしてもイケメンだな、声もそうだし対応も。
「中一の時から来てるよ。ここってドリンクバーの種類が豊富でさ、あと部屋も綺麗だしな」
「そういえばそうだね。カラオケに来るのは初めてだけどここは綺麗だと思うよ」
そうだよな、ここは祐美も綺麗だって言ってた所だ。部員みんなでカラオケに来たりしていた。
「俺、兵藤誠一。これから駒王学園に通う予定のピチピチの高校生だ」
「君も駒王学園に?僕も春から通う予定なんだ。申し遅れたけど僕は木場祐斗、よろしく兵藤くん」
お互いに出した手を握り握手する。にしても祐斗か名前まで似すぎやしないか。
「兵藤じゃなくて名前で呼んでくれ。双子の兄弟でさ苗字で呼ばれるの馴れてないんだ」
「それじゃあ誠一くん、でいいかな」
「ああ、それで頼む。ま、一緒のクラスになれたらいいな」
「うん、そうだね。僕は紅茶を淹れなくちゃならないから。それじゃ」
「ああじゃあな」
木場と別れて部屋に戻る。ったく笑顔まで似てやがる、なんで神は試練をお与えになるんでしょうかね。ああ神様居ないんだっけ。
ホント、木場祐斗とか。男になってるとか、マジで――
「笑えねえよ……!」
約束破って覇龍使った罰なのか?記憶が無いならまだしも、性別まで違うとか……。覚悟はしてたけどホントダメだな。涙がボタボタ出てきやがる。
もう見れないのか……アイツの嬉しそうに笑うおっぱいも怒ったおっぱいも泣きそうなおっぱいも。
面影はある、だが決定的に違う。木場祐斗と木場祐美には決定的な違いがある。おっぱいがあるかないかだ。いや、祐斗に至ってはいらんものも生えてたな。
まあいいや、どちらにせよ祐美のおっぱいも祐美も帰ってこない。結局見れなかったよなぁ、祐美のメイド服……。
いや、まてよ。確かあの時、アザゼル先生は性転換ビーム銃なんて物を開発してたよな。それを使えばもう一度祐美に会える……?
だめだ、外見上は祐美であっても内面が違えばそれは別の誰かでしかない。ち○こが無くなっておっぱいが増えた祐斗でしかない。
――ちくしょう、救いは無いのか。
その時、茫然としていた俺の横を見覚えのある紅髪が通った。
そうあの、俺が忠誠を誓った。部長リアス・グレモリー先輩。同性も見惚れさせるほどのイケメンでカリスマがあり、所々子供らしさも忘れず、売られた喧嘩は買う主義でライザーにタイマン勝負してボコボコにした俺の主。だがそんな先輩も性転換しているだろう。
絶望で濁り切った目で紅髪を追いかける。そこに居たのはイケメンではない。――女神だった。
いや悪魔だろ。というツッコミはよしてくれ、悪魔とかそんなの関係ないくらいの好みドストライクだった。
光の下でも映える紅髪、宝石のような碧眼、シミひとつない白い肌。そして何よりそのおっぱい。巨乳といって差し支えないそれはタユンタユンではない、バインバインという音を鳴らしながら揺れている。
おっちゃん本当だったんだね。本当の巨乳はタユンタユンじゃない、バインバインなんだね。今なお、忌まわしき国家権力に屈しているおっちゃんに思いをはせる。おっちゃんは本当の巨乳を見た、だからこそあのようなタユンタユンではないバインバインと表現できたのだ。
ははは。神は試練を与えるだけではない、希望も与えるのだ。とは誰の言った言葉だったか。ったく最高だぜ神様!最高のおっぱいを取り上げた代わりに完成した巨乳を見せてくれるなんて!だが祐美のおっぱいは見たりなかった、しょうがないここは脳内フォルダでまた我慢しよう。
その時俺は忘れていた。部長(女)が祐斗を探しに来ていたことに、祐斗を探していた部長がすぐ後ろにいたことに。
――俺は最高のおっぱいを喪った。だが本当の巨乳を見た。