兵藤一誠おっぱいを語る 作:空孫悟
普通に言うとイッセーレベルのおっぱい好きが女神の手によって二人目の赤龍帝として転生する話。
コイツも他に違わずおっぱいが大好きです。
――俺は変態だった。
友人連中にもよく言われた、お前は飢えた獣だと、野獣だと、見れば孕ませられると。
俺個人としては一般人よりちょっち性欲が強いだけだと思っていたし、これも思春期としては当たり前のことだと思っていた。
だがいつだろうか自分が異常だと知ったのは、そう、確かそれは死ぬ直前だった――
中学生を卒業した俺は一年間浪人しバイトに励んだ。その理由はただ一つ実家から遠くに離れた私立高校に通いたかったためである。
ある日、ネットサーフィンをしていて読んだその記事。
――○○市の△△高校には巨乳が多い。
動悸で死にそうだった。まさかと思い調べてみる、今年共学になったばかりだというその高校はやはり巨乳が多かった。
ホームページに巨乳の女の子たちの写真がいっぱい貼ってあるんだぜ?五時間ぐらい見続けたよ。
とにかく、その高校に入学するのを決めるのに時間はいらなかった、問題は金銭、あと距離だ。両親には一人暮らしは認めないと反対されたが死ぬ気で説得し特待生として入学すること、生活費は自分で稼ぐことで納得させ、一年浪人。朝方のバイトと昼からのバイトを行い、残りは勉学に回した。
自他ともに認めるおっぱい大好きの俺ではこの生活に耐えられず、一度巨乳の母を変な目で見たことで父に殺されかけたことは今でも思いだせる。
おっぱい、おっぱい、小さいおっぱい、大きいおっぱい、綺麗なおっぱい、大変なおっぱい、爆乳のおっぱい、卑猥なおっぱい。
あの時の俺は廃人一歩手前だった、母の手によってエロ本を見なければ死んでいただろう。
そんなわけで死ぬ気で一年間を息抜き俺は高校に特待生として入学した、そして自分の一人暮らしも開始だ。
だが俺はこの時、あることを忘れていた、俺の鼻血体質を。
――入学式初日、廊下を緊張半分で歩いていると女子が前から歩いてきた。ネクタイの色からして同じ一年だろう。しかし、そんなことがどうでもいいぐらい俺の眼を引くものがあった。
そう爆乳だったのである。90、いや100は行ってんじゃないかというぐらいのバストサイズ。ああ、今ここでサイズを測れるスカウターのようなものがあれば。
悔しさに泣きたい気持ちを抑えながら、俺は彼女の横を通ろうとした。また会えるんだと我慢しながら。
そこで幸福(後々考えれば悲劇)が起こる。
彼女が躓いてしまったのだ。俺と彼女の横幅の距離は一メートル以上あったが俺は光速に達しそうな反復横跳びで彼女を受け止められる位置に移動した。
そして爆乳の彼女が俺にもたれかかってきた。至福だ最高の瞬間だ、これが爆乳のおっぱい――
最高の気持ちだった。死んでもいいぐらいに最高だった。
「ぁんっ」
彼女が胸を押された衝撃で声を上げた。それと同時に胸がさらに押さえつけられる。
柔らかぁぁぁぁぁぁい!!
最高じゃないかむにむにっとした最高級のクッションよりも良質であろうこの感触っ!
そして、胸の頂にある硬めの感触。あれ?コレってもしかして乳首?この子ってノーブラ?
ブシャァァァァァァッッ!!
梨汁ブッシャーならぬ鼻血がブッシャー。噴水のごとく天を突いた俺の鼻血は、豪雨のように俺と彼女の周りに降り注ぐ。
――キャァァァァァ!
女子生徒たちの悲鳴が聞こえる。だが俺は力尽きるわけにはいかない。爆乳美少女を抱きしめながらそう思ってた。
彼女の顔を見るまでは。
そう彼女は、俺のことを異常者を見るような眼をしていた。
――死因、女生徒に抱き付かれたことによる失血死――
「ちくしょょょょょょょ!!俺がなにをしたっていうんだ!!」
真っ白い、何もないただ広い空間で俺は叫んだ。なぜ俺が死ななければならない、なぜ彼女にあんな目で見られなくてはならない!
「何って自業自得ですよね、因果応報ですよね。」
「誰だちくしょう!」
そこに居たのは絶世の美女だった。一言で言うなら女神。これ以外に合っている言葉があるだろうか、無い。
「言っても無駄だと思いますが、卑猥な目で見ないでください」
「べ、べつに見てないし!」
確かに大きい、美乳というものだ。だがさっきの女の子の方が大きい。
「で、なんなんだキミはまさか女神なのか」
「そうです、理解が早くて助かります。突然ですが貴方には転生してもらいます」
はあ?転生ってそんな。めんどくさいな断わって天国に早く行きたいんだけど。
「言っておきますけど、貴方は天国に行けませんよ。前世での行いが煩悩に溢れすぎています」
「んなバカな!じゃあ死んだ後ですらおっぱいを揉めないのか!」
「何言ってるんですか揉めるわけないでしょう。ですけど転生すれば揉めるかもしれませんね」
なんだって?おっぱいが揉める?前世でも成し遂げられなかったことが出来るのか?
「マジか!揉めるのか!?」
「揉めます、それにあなたが転生する世界は美少女が多いです」
「マジかやったぁ!あなたが神か!」
「女神です」
俺の言葉に不服そうにする女神様。あぁなんてすばらしい姿なんでしょうか、おっぱいが光輝いているように見えます。
「あなたが転生する世界はハイスクールD×D。小説の世界です」
「なんで転生するんだ?」
「急に態度が良くなりましたね」
まあね、だって転生したいし。おっぱい揉みたいし。
「ハイスクールD×Dの世界では悪魔や天使や堕天使、妖怪などといった修羅神仏が跋扈している世界です」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ。そんなんじゃ生きていけないだろ」
「人の話は最後まで聞いてください。いいですか、問題はその後です。主人公の兵藤一誠は神滅具という特殊な力を持っています。ここまでいいですか?」
オッケー理解した。主人公が修羅神仏相手に戦う現代ファンタジー系か。
「大丈夫みたいですね。主人公の持つ特殊な力は対になる物と合わせて世界で二つしかありません。しかし今回、邪神がとある人間を転生させました。その者は主人公と対になる白龍皇の光翼を持って転生したのです」
「いや別にそれならそれでいいんじゃ」
「言い方が悪かったですね。転生した人間は二つ目の白龍皇の光翼を持って転生しました」
「それってかなりやばいよな」
「ええ、かなりヤバイです。神滅具はそれこそ単体で神を滅するレベルの力を所有者に与えます。白龍皇の力を止められるのは対になる赤龍帝の力です。そこで貴方に主人公と同じ赤龍帝の籠手を持たせて転生させます」
「は?」
いや、ちょっとまてそれってつまり神を殺せるレベルの人間を増やすってことになるよなそれってヤバくないか?
「このまま無干渉を貫いてもいいのですが、もし二人目の白龍皇が世界を破壊などしたらいろんな意味で困ります。そこで保険としてあなたが行くんです。一応私達も助けますが、目には目を歯には歯を白龍皇には赤龍帝をです」
「俺が悪いことするかもとかは思わないのか?」
「私達が見張ります、それにあなたは女性の胸が揉めればいいのでしょう?」
確かに間違っちゃいないけどさ。なにそれ完全に俺を変態以外の何者とも見てないよね。
「あなたは変態です。認めなさい」
人の心を読まないで!そしてついに敬語が無くなったな。
「いや、ちょっと待ってくれよ。力を与えたのは邪神なんだよな?元栓締めなきゃダメなんじゃないのか?」
「そこは大丈夫です。邪神は私の夫ですから」
「へ?」
「邪神は私の夫です」
「いや、二回も言わなくても分かってるよ!なに邪神って!?邪神と女神は戦うものだろ!」
そう言うと、女神は俺のことをまるで養豚場のブタを見るような目つきで見た。おっぱいも心なしか怒っているように感じる。
「いつの時代の話をしているんですか。今の私たちは完全な夫婦ですよ」
女神はその言葉と共に俺の後ろの方を目線で指す。俺はそれにつられて後ろを振り向くと――――邪悪として形容できないような巨漢が居た。
いや、巨漢と言っていいのかすら分からない。人の見た目をしていないのだ、体色は人類ではあり得ないようなレザースーツのような紺色。顔面は頭蓋を削りだしたような起伏の無い顔をしており唇が無く歯がむき出しになっている、おまけには瞳には光彩が無い。頭頂部には後ろに流れるように角が二本生え、背中には一対の巨大な黒翼を持ってる。
その容姿も問題だが最大の問題は――――正座をして足に石板を乗せられていることだ。
「え?え、え?」
「夫です」
「こんな姿ですまんな」
「シャベッタァァ!?」
なんでだ、なんで唇無いのに流暢に喋れんだよ!そして無駄にイケボ!?
「まあ、邪神と呼ばれる俺も喋るさ。なにせ喋れなければ女性の素晴らしさについても語ることが出来ないからな!」
「何言っているんですか。昔は『言葉などいらん戦いで語るのみ』とか言っていたくせに」
やべぇよやべえよ、この人紳士の上に変態だよ。邪神が平和な心を持つとこうなるのか。
「ていうか自分の夫のことぐらい自分でどうにかしろよ!!」
「そのことについては申し訳ないと思っています。ですが転生できるのです。これ以上にない特典だと思いますが?」
「前世でできなかった女のおっぱいを揉めるんだぞ?断ることはないよな?」
「あなたは黙っていなさい」
ゴシャアという衝撃波を放ちそうな一撃を邪神に喰らわせる女神。うわぁスゲーシュールだ。
「まあ!おっぱい揉めるんならいいですけどね!」
「チャンスを与えるだけです」
俺に突っ込む女神様。どうやら怒りも静まったようだおっぱいを見れば分かる。
「まあいいでしょう。これから貴方を転生させます。赤ん坊からではないから安心しなさい」
そう言い女神が俺に手をかざす。なにかの魔法でも発動するようだ。
「私達もあちらの世界で貴方たちを支援します。安心して夢を見なさい」
女神の美声に包まれ眠りに落ちていく。ああでも最後にその美乳だけでも脳内メモリに保存させてくれ。
「あ、あと貴方は言動が卑猥すぎます。なので言動だけでも真人間にしますね。呪いを解きたかったら性欲を抑えてください。」
え?
次の瞬間には世界は変わっていた、目の前にはあの爆乳ちゃんがいる。そして俺は本能に命じられるまま左手を――
最初にこの短編集を書きたくなった理由はハイスクールD×Dの二次小説の主人公たちにあまりにも常識人たちが多いからでした。変態系の主人公も居ていいんじゃないかと思って。まあ変態系の主人公も居ないわけではありませんが。
補足ですがノーブラの彼女は驚いていただけです、異常者を見るような眼はしていません。