仮面ライダー555 Angel Awakening 作:ファイ Φ
二人の女子生徒の命を奪った怪人は明菜の姿に戻り目の前にある灰の山を凝視する。夢のような光景ではあるが紛れもない現実だ。自分は人ではない何かになり、二人を襲った。自分は一体どうなってしまったのかと心の中で考えるが答えは一向に出ない。そんな時、明菜の後ろから声がかかる。
「おめでとう。素敵な姿だったわよ」
後ろを振り向くとそこには一人の女性が立っていた。その女性は明菜に近づいてくる。
「あなたは誰ですか?」
「私? 私は貴方の仲間よ。名前は戸田美波」
“仲間”その言葉の意味がよく分からなかった明菜だが目の前の美波と名乗る女性は明菜の意図を察したのかその場で先程の明菜のような怪人に変身する。驚き、後退りする明菜だが怪人は人の姿に戻ると再び口を開く。
「貴方も知りたいでしょ。この力のことを」
「·····」
「一緒にいらっしゃい。詳しく教えてあげるわ」
無言を肯定と受け取ったのか美波は明菜を連れ、近くに停めてあった車に向かう。
数十分後、明菜を乗せた車は郊外の一画で停まる。車を出ると目の前には明らかに豪邸と呼べるような大きな建物がある。明菜はその凄さに少し萎縮するが美波に促され中に入る
中は外から見た建物の凄さに違わず、豪華だった。広い入口には見たこともないインテリアいくつもが置かれている。それらに目を奪われつつも美波の後に付いていくと小柄な女性が近づいて来て前を歩いている美波に挨拶をする。
「お帰りなさいませ、お嬢様。こちらの方はお客様ですか?」
「ええ、私の部屋に通すわ。それと後で貴方も私の部屋に来てくれるかしら」
「かしこまりました」
そう言うとその女性は二人の元から離れる。その様子を見ていた明菜は思わず美波に尋ねるてしまう。
「今の人、誰ですか?」
「家で働いているメイドの一人よ」
“メイド”などという言葉を現実に聞いた明菜は唖然とする。先程の会話を聞いて薄々気付いてはいたがやはり美波はお嬢様と呼ばれる部類の存在でこの家には他にもメイドの人が働いているのだろう。
広い家の中を少し歩くと美波は一つの部屋の前で止まる。
「ここが私の部屋よ。さあ、中に入って」
美波に言われ中に入ると明菜は奥のソファに座らされる。美波も同じく座ると口を開く。
「さあ、何を知りたいの?私に答えられることは何でも答えるわ」
美波にそう言われ、明菜は暫し逡巡したがやがて口を開き、美波に尋ねる。
「あの力は何なんですか?」
「オルフェノク。私達はそう呼んでいるわ」
「オル··フェノク?」
「そう、オルフェノクは人類の進化形態であり、人類との生存競争に晒されているの」
そこまで言われ訳のわからなくなった明菜は話を遮り自分の中にある疑問を美波にぶつけることにした。
「待ってください。人類の進化形態? それに生存競争ってどういうことですか?」
「私達オルフェノクにはある目的があるの。人類の進化も生存競争も全てはそこに繋がっているの」
「目的ですか?」
「私達の最終目的はオルフェノクが支配する世界を実現させること」
“オルフェノクが支配する世界”そんな言葉を聞いた明菜はどんな顔をすればいいかわからなかった。本気でそんなことを実現させようと思っているのだろうか。それに何故オルフェノクにはそんな目的があるのか。疑問に思った明菜は美波に質問する。
「本気でそんなこと考えているんですか? それに何でオルフェノクが世界を支配する必要があるんですか?」
「勿論、オルフェノクが生き残るためよ。人間はオルフェノクの存在を認めないわ。必ず私達を排除しようとするわ。」
そこまで言われて明菜はここに来る前のあの出来事を思い出す。自分が怪人ーオルフェノクになった時のあの二人の反応を。確かに自分達とは明らかに違う異形の怪人がいるとなればそれを排除しようとするのは想像に難くない。
「でもオルフェノクの支配する世界なんて本当に実現できるんですか?」
「今はまだ厳しいでしょうね、何せ人間の方が圧倒的に数が多いから。でも大丈夫、私達は仲間を増やすことができるから」
「仲間を増やす?」
「そう、オルフェノクには仲間を増やす力があるの」
美波がそこまで話すと部屋のドアをノックする音が聞こえる。音のする方を見ると、ここに来たとき美波に挨拶をしていた小柄な女性のメイドさんが入ってきた。
「お呼びでしょうか? お嬢様」
「待っていたわよ」
そう言うと美波は立ち上がり、突然にオルフェノクに変身した。マントを着け、烏賊のような容貌のそのオルフェノクは手に持っていた棍棒をメイドの女性に向け、そこから墨のようなものを発射する。墨はメイドの顔に命中する。
「うっ!?」
メイドの女性は顔に墨を発射され苦しむが墨は口や鼻から女性の体内に入ると、そのまま心臓を焼失させる。心臓を失ったメイドの女性は絶命し、その場に倒れるとやがて体が灰になり、着ていた衣服だけが残った。