仮面ライダー555 Angel Awakening 作:ファイ Φ
メイドの一人がオルフェノクに覚醒したことを確認した美波は満足そうな笑みを浮かべる。一方で明菜は人間がオルフェノクとして覚醒する瞬間を初めて自分の目で見たためか少々驚いているようだ。
「“アタリ”もでたことだし、オルフェノクの授業もこれで終わりね。貴方にも次の段階にいってもらうわ」
「次の段階?」
「ええ、貴方には数日中に“灰澤女子学園”に転校してもらうわ」
灰澤女子学園。それはこの街に住んでいる人ならば誰でも知っている大企業、スマートブレイン社が設立母体である学園だ。スマートブレイン社の全面的な支援を受けているこの学園は広大な敷地に最新の設備が整えられスマートブレイン関係の大学や研究機関とも提携している。それにより人気のあるこの学園は毎年多くの入学希望者が全国から受験するが入学出来るのは極僅かな為、難関校としても有名である。
「灰澤女子学園ってあのスマートブレインが設立したっていう超難関校ですよね、入学できる人が毎年数十名しかいないって言われてる。そんなところに私が行けるんですか?」
「大丈夫よ。灰澤女子学園の入学者数が少ないのは特別な理由があるからなの」
「特別な理由······ですか?」
「あそこは“オルフェノクの学園”なの」
“オルフェノクの学園” 明らかに普通ではないその言葉を聞いた明菜は沈黙し、美波の次の言葉を待つ。
「あの学園はオルフェノクになった者を匿い、育てる為の学園よ。学園の生徒や教師は皆がオルフェノクなの。灰澤女子学園以外にもオルフェノクの為の施設はいくつもあるのよ」
オルフェノクを匿い、育てる為の学園、それを聞いた明菜は驚愕するが同時に一つの推測をする。
「待ってください。灰澤女子学園が“オルフェノクの学園”なら学園を設立したスマートブレイン社はもしかして······」
「あら、察しがいいわね。スマートブレインもオルフェノクの企業よ。オルフェノクを統率し、世界を支配しようとしているのもスマートブレイン。ちなみに私もスマートブレインの関係者だし、貴方の存在もスマートブレインから知らされたの」
あのスマートブレインが裏でオルフェノクと関係していたという事実に明菜は最初は唖然とするがオルフェノクを匿い、統率するなどということが出来るのもスマートブレインぐらいの組織なら可能なのだろうと納得がいく。
「転入の手続きはこちらでしておくわ。家まで送るから今日は休んで転校の準備をしておいてね」
「分かりました。色々とありがとうございます」
「どういたしまして。貴方が“良い学園生活”を送れることを願っているわ」
灰澤市の中でも特に人通りの少ない区域、そんな場所にある古びた建物の中では数人の男女が何かを話しており、部屋の中には未解決事件や行方不明者の資料が積み上げられている。
「俺達が独自に確認したのだけでも行方不明事件が今月に入ってもう六件目だ。恐らく奴らの仕業だろうな」
「ああ、奴らの動きもここ最近どんどん活発になっていやがる」
「オルフェノクに関する事件はスマートブレインがほとんど揉み消しているのが厄介ね」
スマートブレインの統率の下、極秘裏に人間を襲い続けているオルフェノク。その存在にいち早く気付いた者達がいた。彼らはオルフェノクに対抗するためレジスタンス組織を結成し、自分達のことをオルフェノクの暗躍から人々を解き放つ者達、“人間解放軍”と呼ぶ。
解放軍のメンバーである彼らは今、オルフェノクに対する反抗作戦を計画中である。
「藤田、例の情報の件はどうなっている?」
「“あれ”の情報の信憑性は高い。場所の目星もついている」
解放軍のリーダーである水原隆俊はメンバーである藤田に作戦の進捗状況を尋ねた。彼らはスマートブレインが新兵器を開発したという情報を手に入れ、それを解放軍が奪取しようと計画している。
「“あれ”は現在、スマートブレインの第六研究所に運び込まれたようだ」
「第六研究所か······。あそこの警備はかなり厳しい。問題はどうやって中に入るかだな」
「それについては考えてある。あの研究所の近くにはスマートブレインが経営している学園がある。その学園はスマートブレインの研究機関と提携しているから学園の関係者の一部は研究所の入館許可証を持っているはずだ」
水原達は比較的警備の緩い学園に潜入して入館許可証を手に入れ、警備の厳しい研究所には入館許可証を使って入り、スマートブレインの新兵器を奪取しようと計画する。
「藤田君、その学園は何て名前なの?」
「確か、“灰澤女子学園”だった筈だ」
「よし、作戦の決行は三週間後だ。それまでに各員準備を整えておけ」