仮面ライダー555 Angel Awakening 作:ファイ Φ
土曜日の午後、麻美と結子と泊りで遊ぶことになった明菜はアパートの前で二人を出迎える。準備をして明菜のアパートに来た二人を見ると麻美はパーカーにミニスカートという普通の私服だが結子は何故か学園の制服で来ていた。
「こんにちは、小林さん。今日はよろしくお願いしますね」
「明菜、お邪魔するねー......って、委員長は何で休みの日なのに制服なの?」
「これですか? どうにも着慣れているものなので着てきてしまいました」
そう言われ、いまいち納得できない二人だがこれ以上追及することをやめ、明菜は二人を部屋の中に入れる。
部屋に入ると三人はお茶やお菓子を食べながらしばらくの間おしゃべりをしたり明菜が借りてきた映画を見たりとするが、一通りのことをし終えると結子があることを思い出し麻美に尋ねる。
「そういえば、瀬田さん 月曜日のお昼に“ゲーム”をしようと言ってましたがあれって具体的には何をするんですか?」
「そういえばそんなこと言ってたね。あの時は結局おしえてくれなかったけど」
結子と明菜にそう言われた麻美は楽しそうな笑みのまま身体にオルフェノクの紋様が浮かび上がり、二人に言い放つ。
「三人で競争しようよ......誰が一番多く人間を襲えるか......」
その言葉に明菜は不意に胸が高鳴る。美波にオルフェノクのことを教わったあの日からオルフェノクとして人を襲うことはなかった明菜だが、麻美に“ゲーム”を提案されるとあの日、人間を襲った時の快感が蘇りオルフェノクとしての本能が心の中でどんどん膨れ上がっていく。
内容を聞き麻美のゲームに参加することをすぐに決めた明菜の心はもうオルフェノクのものとなっていた。
「ゲームってそのことだったんですね......。小林さんが転入してくる前もそれ一度やったじゃないですか。あの時は後始末が大変だったんですよ」
「そうだっけ? まぁ、でもそんなこと言ってるけどあの時は委員長も楽しんでたじゃない。あの時は4,5人ぐらいで競争したけど勝ったの、確か委員長だったよね。ホントはやりたいんでしょ?」
「それは......まぁ......否定しませんが......」
「じゃあ、決まりだね......」
少し参加を渋っていたかのような結子だが彼女も以前のゲームの時のことを思い出したのか拒否することはなく麻美によって参加が決まる。
姿は普通の女の子の二人も明菜同様にその心と本能は人間ではなく完全にオルフェノクのものだった。
その日の夜、明菜たちは灰澤市の繁華街に来ていた。繁華街は灰澤市で最も賑わう場所であり、土曜日の今は仕事帰りの大人たちや娯楽を求めてやってきた若者など、多くの人であふれている。
三人は繁華街の中心にある駅の前まで来ると、麻美はゲームの二人にゲームのルールを説明する。
「それじゃあ、今からゲームスタートね。今から二時間で一番多く人を襲えた子が勝ちね。襲う人間以外にはオルフェノクの姿を見られないようにすること。分かった?」
「OKだよ」
「はい、承知しました」
嬉々とした声でルールを説明した麻美に明菜と結子は了承するとゲームが開始される。三人は駅を離れるとそれぞれ、目的のために好きな場所に散っていく。
二人と別れ、明菜は繁華街から住宅街に向かって歩き始める。人の多かった繁華街を後にし、住宅街に差し掛かるころには外を歩いている人はほとんどいなかった。明菜は狙えそうな人を探しながら歩いていると住宅街の中程にある公園の近くで一人の壮年の男の姿を見つける。スーツを着て歩いているその男はおそらく仕事帰りのサラリーマンか何かなのだろう。明菜はその男を最初のターゲットに決めると男に近付き、話しかける。
「ねぇ、おじさん ちょっといいかな?」
「な、何かな!? 私に何か用かね?」
いきなり知らない女の子に話しかけられ男は少し驚いているようだが明菜は気にせず話を続ける。
「私、今ヒマなんだけどあっちでいいことしない?」
そう言って公園の方を指さす明菜の言葉に思わず目を見開いたその男は明菜のことを警戒しているのか、それとも誘いに乗ることを躊躇しているのかしばらく沈黙するが、そんな男の様子を見た明菜はわざと胸元が見えるような体勢でその男に軽く抱き付き誘惑する。最初は動揺していた男もやがて明菜の顔や身体を舐めまわすように見ると下卑た想像をしたのか誘惑に負け、明菜に連れられるがままに公園に向かって歩いていく。
明菜は誰かに見つからないようにするため男を公園のトイレに誘導する。誰もいないトイレの個室に入ると男は血走った目で明菜を見つめ、体にいやらしい手つきで触れてくる。そして明菜が着ている服に手をかけようとしたとき無抵抗だった明菜が口を開く。
「おじさんも楽しんだし今度は私の番ね......」
そう言うと明菜はその場でオルフェノクの姿に変身する。目の前で女の子がいきなり怪人になる様をみた男は声を上げ驚愕するが明菜は構うことなく男を襲う。狭い個室の中で襲われた男は逃げることもできないまま明菜によってオルフェノクの触手で心臓を刺され身体が灰になってしまう。
男を襲い終わると明菜は人間の姿に戻りそのまま何事もなかったかのようにトイレから外に出る。麻美と結子は今頃どんな調子だろうなかどと考えながら次の標的を探し、歩き始める。