ご注意ください。
//.富山基地
富山基地、その拘留場に一人の男がいる。秋月健也。深海棲艦の発生と、それに伴う艦娘たちの指揮者。……提督として海軍に所属した青年。
成績は、決してよくない。任務の選り好みが激しく。直前で出撃の取止めや演習の欠席など、問題行動も多い。……もっとも、一部の提督にはありがちな事。彼自身が特別重要というわけでもないので放置している。
そう、ありがちな事。泊地や基地の連携に鎮守府があまり口を出さないのはそれが理由の一つ。
「で、あんたがうちの馬鹿提督に殴り込みしてくれた糞野郎ね」
健也は目を開ける。……確か、「曙?」
「こっち見んなっ、糞野郎っ!
うちの馬鹿提督に殴り込みしたようなやつの顔なんか見たくないわよっ!」
「ひどい言い方だな」
「っさいな。
でー、なんであんたうちの馬鹿提督に殴り込みしたのよ。ばかじゃないの? 軍規知らないの?」
「知ってる」
自分は代将で、ここの提督は少将。階級としては二つ上だが、代将、准将と少将の間には高い壁がある。
当然、上官である相手に殴り込みをしたなんて事になったら、拘留は当たり前。
けど、
「島風を殺したんだ」
「はあ? ばっかじゃないの?
島風、艦娘は兵器よ。あいつは囮として完璧な仕事を果たした。深海棲艦十匹の命が駆逐艦の艦娘一つで得られたんだから安いものでしょ」
「ふざけるなっ! 島風は、あいつは俺の、大切な人だっ!
それに艦娘は兵器じゃないっ! 俺たちと同じ、そして大切な家族だっ!」
「……なにそれ? あたし達艦娘は護国を形にする兵器。この国を荒らす深海棲艦どもをぶち殺すための兵器よっ! それを何、家族? ふざけるなっ!
大切な人ならなんで戦場に出したっ! なぜ当たり前のように殺される場所に大切な人を送り込んだっ! 大切な人だって言いながら殺されてもいいとか、頭おかしいんじゃないの?」
なんで、戦場に出したか、……それは、
「俺は、……それが、提督の役目、だからだ」
応じる声に、曙は鼻で笑う。
「だったらうちの馬鹿提督に文句言うのは筋違いでしょ。
それで効率よく深海棲艦どもをぶち殺せた。それこそが提督の役割なんだから」
「それ、……は、」
言葉に詰まる。その姿を見て曙は笑う。
「ばっかじゃないの?
ろくに仕事もできないような無能野郎が、うちの馬鹿提督に文句言うなんて千年早いのよ。悔しかったらうちの馬鹿提督くらい深海棲艦どもぶち殺してからいいなさい。……ま、あんたの生ぬるいやり方じゃあ千年たっても無理だろうけどね」
「曙は、……それでいいのか?
艦娘を兵器としてしか見ないような、ブラックなやつに使われて」
なにかが、切れる音がした。
「なにが、……ブラックだ。糞野郎」
その言葉の意味は知っている。艦娘を兵器として運用している提督たちにつけられる蔑称。
気がつけば、その男の襟首をつかみ捻りあげていた。
「ろくに、提督の役割も果たしていない劣等提督が、うちの提督をばかにするっての?
ふざけんなっ! 馬鹿提督の事を知らない分際でっ! 偉そうなことを言うなっ!」
健也が目を見開く。曙の表情は、激怒。自分の主をばかにされた事を、本気で怒っている。
突き飛ばすように手を離す。健也は倒れこみ曙を見上げる。
「あんたさ、艦娘を人と同じって言ったわよね? 駆逐艦の魂を持つあたし達を、兵器じゃなくて人だって」
「あ、ああ」
「ならさ、最上を殺したあたしはなに? 殺人鬼かなにか?」
「は?」
殺した? と、その言葉への理解が遅れ、曙は皮肉気に口元を釣り上げる。
「なにぼけ面さらしてんのよ糞野郎。
答えなさいよ。最上を雷撃処分した曙は、人としたらなに扱いされるのよ?」
「殺した、……って?」
問いに、曙は嗤う。
「なによ? そんな事も知らないの?
レイテ沖海戦、撤退中の最上は空襲食らって航行不能になった、そして、護衛艦のあたしが雷撃処分したわ。
笑っちゃうでしょ、あたしは護衛艦だった、なのに、とどめを刺したのは、最上を殺したのはこのあたしなのよ。……で? 艦娘を人間って言い張る提督さん。人間だってんなら、あたしはどういう人間?」
「…………それは、」
答えは、ない。曙は笑う。
「だから言ったでしょ。あたし達は兵器なのよ。
命令さえあれば護衛する対象さえ処分できる兵器、それが艦娘。……まあ、強いていえば、護国のために作られた。それがあたし達の誇り。それを叶えることこそがあたし達の生きる意味なのよ。
それを、家族だとか言ってその誇りさえ汚す、本気で、邪魔な糞野郎ね。じゃあさ、島風を轟沈させたのはあたしって聞いたらどうすんの?」
「は?」
頭が、空っぽになった。
島風を、大切な彼女は、無茶な命令に耐えられず轟沈した、と思っていたから。
きょとんとした彼に、曙は嗤う。
「命令伝えたのに勝手に先行して、深海棲艦の大軍引っ張って戻ってきた。……まあ、止めたのに勝手に先行した時点で七割こうなるってわかってたから、うちの馬鹿提督に伝えて待ちかまえてたんだけどさ。
案の定、戻ってきた島風ごと戦艦の主砲と空母の爆撃で一網打尽にできたわ。いい餌になってくれた事は感謝してる。だからあの島風がMVPになったのよ」
「…………んで、だ」
「なに?」
「なんで、島風を助けなかったっ!」
「本気で救いようのない馬鹿ね。
乱戦に持ち込んだらより多くの被害が出るからに決まってんでしょ? 大軍が突撃して来たら囲って飽和攻撃なんて当たり前じゃない。
それとも何? 普通にやれば駆逐艦一つで終わるのを、その倍以上の被害出せっての? 勝手に突撃した馬鹿のために?
本気で頭おかしいんじゃないの? これだから「曙」」
声。曙は視線を向ける。
「馬鹿提督」
声の先には、一人の女性。
柔らかい印象の女性。この基地の提督。春日清海少将。彼女は穏やかに微笑む。
「そういう言い方をしてはだめですよ。曙」
「はっ、っさいなあ。どうせ気にしてないんでしょ?
いつまでも起きてないでさっさと寝ちゃえばあ? あんたが死ぬと深海棲艦撃滅が遠くなるから困るのよ」
「その時は貴女の引き取り先も決まっています。お墓の場所はもう渡していましたね?
曙、私が死んだらそこで深海棲艦を沈めて回りなさい。それに、貴女もいつまでも起きていないで早めに眠りなさい。旗艦の貴女が疲労で判断を誤ったら面倒な事になります」
「はっ、艦娘が轟沈するだけでしょ。なにが面倒よ。
どーせ資材はあるんだから、さっさと作り直せば?」
「錬度を取り戻す時間もかかります。
それだけの時間があれば、どれだけの深海棲艦を轟沈出来ると思っているのですか? 目標達成のために、貴女には体調を十全に整えてもらう必要があります」
「やっさしーわね、馬鹿提督。
目標達成のためだけ? あたしに気を使っているんじゃなくて?」
「気を使っていますよ。兵器の整備には手を抜かない、当然のことです」
「はっ、相変わらずわかりやすくて気持ちいいわ、戦争終わったら死ね。馬鹿提督。
んじゃ、話し終わったらあたしは寝るわ」
「ええ、そうしなさい。
間違えても翌日に疲れを残さないようにしなさい」
「はいはい」
ひらひらと手を振って曙は去っていく。清海は振り返る。変わらぬ、柔和な表情で、
「曙が失礼しました、が。彼女に当たるのは筋違いですよ?
引き金を引いたのは私です。くれぐれも彼女に当たらないように、彼女は深海棲艦撃滅を実現する為の大切な兵器。何の意味もない損傷など論外ですから」
「じゃあ、あんたにならあたっていいのか?」
「そうですね。兵器に責任を押し付けるなんてただの責任逃れですし、それが筋でし「その時はあたしがあんたをぶち殺す」…………だ、そうです」
では、と清海は歩き出す。一度止った曙の足音もまた響き始める。そして、
「兵器、……なの、か」
ぽつり、声が響いた、
//.富山基地
//.富山基地
先日殴り込みをしてきた秋月健也には理解できない事だろうが、春日清海は艦娘から信頼が厚い。
理由は簡単で、おそらく、理解できないだろう。
なぜなら、彼女たちは、艦娘なのだから。
「こんな夜に呼び出しなんて、本当に不幸だわ。何の用なのかしら」
眠そうな表情の山城、彼女は欠伸を一つ。傍らを歩く扶桑は苦笑。
「さあ、まあ、提督が意味もなく呼びだすなんて事はしないでしょう」
「それもそうよね。……ふぁあ、ふ」
そう、こんな時間に呼びだしたりはしない。休憩にあてる時間だ。清海が艦娘の調整を無駄にするとは思えない。
つまり、なにか用事があるのだろう。
「飛鷹、艦載機を使い夜間の警戒を強化しなさい。
代わりに、明日の遠征は祥鳳を出します。朝一番で引き継ぎ連絡後、一日休憩をする事」
「了解よ。
警戒は索敵っていう事でいいわね? 対象は?」
「基地周辺近海だけでいいです。
対象は、艦娘、深海棲艦です」
「艦娘?」
問いに、応じるのは欠伸をした彼女の秘書艦、曙。
「この前、うちの馬鹿提督に殴り込み掛けてくれやがった糞野郎がいるでしょ。
あいつんところの勘違いどもが乗り込んできかねないって事よ。ったく、本気でむかつくわ」
「そういう事ですか。了解しました」
「という事は、艦娘相手に夜戦?」
呼び出された一人、足柄は首を傾げる。初めてだが、とはいえ、躊躇するつもりはない。
相手が何であれ、敵は敵。主が引き金を引くのなら、その先にある存在を撃ち抜くのが兵器としての役割なのだから。
だから、艦娘と戦う事に躊躇はない。けど、
「艦娘が来た場合、深追いは不要。追い返すだけで十分です」
「えー、なんでよー」
「不要だからです。
第一、資材の無駄です。艦娘を相手とする場合は、深追いは不要、迎撃のためのみ交戦しなさい」
「そ」
「余計な手出しをして経歴に傷つくのが嫌なんでしょ?」
「その通りです。
外面を気にする必要はありませんが、無駄な傷はないに越した事はありません。まあ、拘留自体も大した意味はありませんけどね」
「へ? ないの?」
意外そうな足柄の問いに清海は肩をすくめて「軍規にあるため仕方なくです。正直、どうでもいい、……というか、食事などの用意が面倒です」
「人間って面倒ね」
パフォーマンスで拘留か、と。足柄は溜息。清海は頷くだけで応じ、
「足柄、那智。二人で追い払いなさい。扶桑、山城は援護砲撃。先にも話した通り、積極的な交戦は不要。防衛のみを考えなさい。
参加者は翌日、日中は休み、夜間の警戒となるので眠気を残さないようにしなさい。眠れないようなら睡眠導入剤やアイマスクの申請を早めにしなさい。この日程で、動きがあるか、もしくは一週間行動すること。……以上、質問は?」
「秋月代将、だったか? 提督のところに殴り込みをした男は。
艦娘の目的は彼の身柄確保にあるだろう? 奪回されたら再度の奪取は必要か?」
「ありません。もっていってくれるならそれでいいです」
「そうか」
「他になければ解散とします」
ない、と皆が頷く。清海は立ち上がる。向かう先。「提督、それは?」
飛鷹が示す先、細長い箱が大量に積まれた台車がある。
「ブラインドです。
夜間、探照灯を点灯します。外が明るくなるので、それで眠れなくなる艦娘がいては困ります」
なので、艦娘の部屋に持っていって必要なら配置させる、と、それを聞いて扶桑は溜息。
「提督、その程度の事は私達がやります」
山城や那智、足柄と飛鷹も頷く。けど、清海は不器用に台車を押しながら、
「不要です。
それよりも、詰め所の確認に向かいなさい。曙はあと二時間で就寝、私も三時間後には就寝します。それまでに夜間の警戒に必要な物品を提示しなさい」
そう告げて、がらがらと清海は台車を押して執務室を後にした。……溜息。
「ほんとに、馬鹿提督。
ま、そういうわけ、山城。あんたはちょっと私に付き合って、点灯する探照灯と点灯時間を教えるから、他の連中はあの馬鹿の言った通り、詰め所の確認ね。
寝惚け面さらした揚句負けましたなんて事になったら本気で怒るから、ちゃんとやりなさいよ」
「なにそれ?」
「んー?」
必要な話を聞き終えた山城、退室する前、ふと、曙が手の中で弄ぶ箱を示す。曙は「睡眠導入剤」と応じる。
「曙の自前?」
「な訳ないでしょ、馬鹿提督から押し付けられたのよ。
旗艦が寝ぼけてたら面倒だってさ」
「寝ぼけ? 曙がそんな事するとは思えないけど」
首を傾げる。曙は旗艦としての意識が高いし、それ以上に自分を兵器として強く意識している。自己の整備に手を抜くとは思えない。
けど、
「ああ、……気が立ってるわね」
「…………あの糞野郎の話聞いたら腹立ってきた。
それだけよ。寝れば治るわ」
「聞いたらねえ?」
「艦娘が家族だってさ。
あんたがもともといたところの提督も、そんな事言ってたんだっけ?」
問いに、山城は淡々とした表情で「らしいわね。欠陥戦艦は家族じゃなかったみたいだけど」
「選り好みね。あんたの能力、低くないはずなんだけど」
「欠陥戦艦と名高い私は家族じゃないのよ。それだけ。
駆逐艦のちっちゃい娘を家族だって囲って悦に入ってたわ」
「……うあ、…………それであんな簡単に山城と扶桑を手放したんだ。
あんたら無料同然とか、あんまりな馬鹿さ加減に小躍りしたわよ」
「扶桑姉さまと一緒に、この基地に捨ててくれた事が、あの提督に唯一感謝していることね」
山城は今の提督に感謝をしている。確かに、彼女は艦娘を兵器と言っている。事実そう接している。
だからこそ、欠陥戦艦などという呼び名など無視して、あくまでも性能だけを評価し、戦果のみを判断基準にする。無駄な情がない分、信頼できる。
「貴女も、そっち行けば家族の一員になれるわよ。
出撃も何もしなくていいんだもの。ちやほやされるのが仕事なんて、素敵じゃない?」
「願い下げ、気持ち悪い。ま、あんたもせいぜい頑張りなさい。
性能通りの戦果を出せないなんて、本物の欠陥品なんだしね」
もちろん、彼女、山城は欠陥品ではない。慎重すぎるきらいはあるが、丁寧に、着実に任務をこなしている。性能と戦果を比較すれば間違いなく優良品だ。
曙の言葉に山城は笑う。
「もちろんよ。勘違いした艦娘なんて、戦場には不要だし、後々邪魔されるくらいならここで海没処分するわ。
甘やかされている艦娘に、度重なる不幸で鍛えられた私の主砲叩きこんであげる」
「………………あんた、馬鹿提督の話忘れてんじゃないでしょうね?
それと、度重なる不幸とか、自虐を胸張って言わないでよ」
欠陥戦艦のどや顔に曙は溜息をついた。
//.富山基地
//.曙
あたしには駆逐艦だったころの記憶がある。
もっとも、鮮烈な記憶。重巡洋艦、最上を雷撃処分した記憶。
………………泣いている。
海に沈んでいく最上、そちらに向かって敬礼する男たち。
海に消えていく。航行不能となり、雷撃処分された最上。生存者は皆、消えていく最後の瞬間まで敬礼の姿勢を崩さない。
泣いている。屈強な軍人たちは、歯を食いしばり涙をこらえ、……けど、こらえきれずその頬を涙が濡らす。
そこで暮し、そこで戦った。そして、そこで死ぬと思っていた。軍人と艦船は、文字通り運命共同体。ともに生き、戦い、そして、ともに死ぬ。生死を共にする存在なのだ。
だからこそ、眼前で沈んでいく最上に、その乗組員たちは涙を流す。そして、その後ろには一人の軍人がいる。
曙の艦長。最上の雷撃処分を受け入れ、実行した責任者。
彼はその後ろ姿を見つめている。……覚悟は、ある。
彼は少佐だが、仮に、二等兵が憤りに任せて殴りかかってきても、仕方ないと思っている。彼が軍法会議にかけられたとしても、自分が庇おうと思っている。
その気持ちは、わかるのだから。
仮に、この、曙が雷撃処分をされたら、自分は悲しむだろうし、嘆き、怒るかもしれない。…………考えたく、ない。
だから、どのような罵声も受け入れよう、と。
どうしてなのよ?
そして、彼らは視線を向ける。
まっすぐ、彼は前を見る。
相対するのは艦長代理、中佐。彼は、…………
なんで、敬礼なんてするのよ?
あんたたちの大切な最上を殺したのはあたしなのよ? 恨みなさいよ? 怒りなさいよ?
なのに、なんで、敬礼なんてするのよ?
「……面倒を、押し付けて、……すまない。
私達が、不甲斐無かった、…………ばかりに」
「いえ、私達も、護衛艦としてきながら護る事が出来なかった。
最上の事は、私達にも責任があります」
その言葉に、中佐は寂しそうに微笑む。
「貴官のような軍人に送ってもらえて最上も幸せだろう」
そして、表情を改める。
「総員っ! これより我らは駆逐艦、曙の一員として、艦長の指揮下に入るっ! 命を救ってもらった恩義に報いるため、礼を尽くせっ!
本土に戻ったら、次は我らが最上を航行不能にした敵艦に敵討だっ! 我らが命っ! 同胞たる最上とともに海に沈んだと思い、お国のために、そして、最上のために死力を尽くして戦うぞっ!」
その言葉に、皆が頷く、瞳に強さが戻る。
…………そういうことね。
あたしはそこにいる人たちを見て思う。
最上の乗組員は、雷撃処分をした曙の艦長を罵らなかった、曙の艦長は、例え自分より位が低い相手から暴言を吐かれても受け入れるつもりだった。
彼らは、確かに軍人なのだから。誇り高くて、寛容な、護国のために戦う英雄なのだから。
だから、彼らとともにいられる曙は幸いで、…………だから。
あたしは、完璧な兵器になろう。
国を、そして、そこにいる人を護るために、あたしは兵器として護るべき存在を脅かすすべてを叩き潰す。
それこそが、あの誇り高き軍人たちの横に並び立つにふさわしい存在なのだから。
あの人たちに憧れたから、あんな強さを持ちたいと、そう、思えたから。
だから、その意思を継ごう。強く、誇り高い彼らが死力を尽くして、命をかけて護ろうとしたものを、護ろう。
そして、未来を夢見る。
いつか、この国を護りきったら。
彼らが護ろうとしたこの国を、護れたら。そしたら、墓参りに行こう。
駆逐艦曙の乗組員に感謝の言葉を、
重巡洋艦最上の乗組員に謝罪の言葉を、
皆が護ったものを、あたしもちゃんと護ったよ、と。伝えたい。
そう、かつてのあの人たちのような、誇り高い英雄にふさわしい存在だと、胸を張りたい。
だから、あたしの誇りにかけて、この国のために戦った英雄のように、戦い抜く。この国を護る。
…………だから、
ぽつり、寝言が零れた。
………………あたしが零した我が侭のために、徹夜で墓の場所を調べた彼女。本当に、馬鹿な事をした彼女。
「ん、…………てい、とく、……」
//.曙
投稿を始めてから58話目、ようやくちゃんと提督が登場しました。
こんな二次創作ですが、これからも、よろしくお願いします。